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二章
2話 乱入者
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アマリエと酔っ払いの男の間に、フードを被った長身の男が横から割って入ってきた。
突然の乱入者に驚き、アマリエの集中は途中で切れた。
魔道具から発せられた青白い光は収束し、魔法は発動しなかった。
アマリエはハッと我に返った。
今、人を傷つけようとした自分に激しく動揺する。
「誰だ!テメェは…!!」
酔っ払いの男は息巻いて叫びながら、フードの男に突進した。
しかし、フードの男は無言で、酔っ払いの男の肩を掴んで押しとどめた。
ギリギリと骨が軋む音が微かに聞こえる。
「いてででっ!!」
悲鳴を上げながら酔っ払いの男は悶えるように身を捩った。
その拍子にアマリエの手首をパッと離す。
アマリエはすぐに距離を取るように、後退った。
それを見届けたようなタイミングでフードの男は酔っ払いの肩から手を離す。
「ちくしょめが!」
烈火の如く顔を赤くした酔っ払いの男はフードの男に拳を繰り出した。
それはやすやすとフードの男の掌で止められる。
酔っ払いの拳を握り潰す勢いで手を閉じると、そのままグイッと大きく捻った。
その反動で酔っ払い男は半回転しながら地面に倒れ込んだ。
低く呻きながら、酔っぱらいの男はだらーんと伸びる。
「おい!そこのお前ら!!何を騒いでいる!!」
騒ぎを聞きつけた警邏隊がこちらに向かって駆けてくるのが見えた。
「面倒だな…」
フードの男が低い声で言った。
「ネクタリウス様!こっちです」
凛とした高い声。
アマリエが声のする方向を見ると、細い路地裏から誰かが手招きしている。
するとフードの男はアマリエの腰に手を回した。
「…は?え?きゃ!!」
地から足が浮いたと思うと、アマリエはフードの男の腰で担がれていた。
「え、え、えー!?」
状況が飲み込めずにアマリエは、思わず声を上げる。
しかしお構いなしにフードの男は、細い路地裏に向かって駆けた。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「あれ、確か、この路地に逃げ込んだような…」
駆けつけてきた警邏隊がランタンを掲げて細い路地裏に進むが、すぐに壁に行き当たった。
3階はありそうな高い壁で、この短時間でここをよじ登るのは不可能に近い。
「おかしいな…」
警邏隊は首を傾げながら、大通りに戻って行った。
「解除」
フードを被った小柄な人物がそう唱えた。
警邏隊が行き当たった壁がスゥ…と消える。
地面に下ろされたアマリエは、その光景に目を瞬かせた。
「もーう!下手に首をつっこまないでくださいよね」
小柄な人物は自らのフードを剥ぎながら、怒り口調で言った。
肩口で切り揃えられた青みがかった銀色の髪。
愛らく整った顔をしていて、一見は可憐な少女のように見えるが、発する声は少し低く…少年特有なものだ。
しかし彼はただの人間の少年ではなかった。
琥珀色の瞳をよく見るとアーモンド状に縦長の瞳孔をしている。
そして髪からひょこっと三角の耳が生えていた。
少年は獣人だった。
「今夜は僕しか付いてないんですから、何かあったらどうするんです!」
「別に付いてきてほしいと頼んではいないが…」
「そうはいかないですよ!いいですか!!」
腰に手を当てながら、獣人の少年は叱りモードだ。
「僕は別に貴方の身を心配をしてる訳ではないんです。僕は面倒事に巻き込まれたくないんです!!」
少年はそう言い切った。
「そうか…悪かったな」
フードの男が率直に言うと、少年は急に慌て始めた。
「ま、まぁ、ちょっぴりだけ、貴方のことも心配してあげてもいいですけど…」
少年はプイッとそっぽを向き、気恥ずかしいそうに言う。
「そうか」
フードの男は少年の頭に手を載せて、やや乱暴な手つきで撫でた。
マントに隠れているが少年の尻尾はきっとパタパタと横に振っているに違いない。
(この子…ツンデレってやつね)
アマリエは思わずクスッと笑った。
すると少年が耳をピクリとさせて、アマリエの方を見た。
「あ、ごめんなさい」
「………」
獣人の少年は無言だ。やや不機嫌そうに見える。
「助けて頂きありがとうございました」
アマリエは構わずに深々と頭を下げた。
アマリエの態度に、少年は驚いたように大きな目を少し見開いた。
獣人と言っても少年はほぼ人間と同じ見た目をしている。
おそらく獣人と人間の混血種だ。
純血の獣人は獣が二足歩行しているような姿が普通だ。
地上界では混血種は“汚れた血”と言われており、人々から冷遇されている。
人間の血が混ざっているのに関わらず混血種というだけで、まず人間扱いはされない。
純血の人間が混血種に感謝を述べて頭を下げるのはレアケースなのだ。
「…別に貴女を助けた訳ではないですが…」
半獣人の少年は居心地が悪いように視線を彷徨わせた。
「ラウルはこうすると喜ぶ」
フードの男は空気を読まずそう言って、ラウルの頭を乱暴に撫でた。
「あら、“感謝の仕方”が違ったのですね」
アマリエは見当違いなことを言いつつ、フードの男に倣ってラウルの頭を撫でた。
(サラサラな髪ね…あ、この耳もモフモフ…)
「ひゃい!」
アマリエが耳を触ると、ラウルは間の抜けた声を上げた。
「…そこは敏感だそうだ」
「そ、そうなのですね。魅力的なモフモフだったので、つい…」
アマリエは名残ほしそうにラウルの頭から手を引っ込めた。
「そ、そんなことより!!聖職者がこんな時間にこんな所で何をしているんですか!?」
ラウルは話を逸らすように、露骨に話題を変えた。
「…え。あ、ま、魔物討伐で仲間の方々とはぐれててしまって…」
アマリエは近く遠からずな返答をした。
姉に殺されかけたことはとても言えない。
ふーんとラウルは胡乱げな目でアマリエを見つめた。
「魔物か…イオロスにアンデットの大群が出たと聞いたが…」
「あ、僕も聞きました。しかし軍勢は引いたようですよ」
「引いた?」
「はい。ここに着いたばかりの隊商から聞いたんです。理由までは分かりませんが…」
「………」
フードの男は、顎に手を当てて考え込む。
(確か、ラウルさんはこの方を『ネクタリウス様』と仰っていたわね…どこかで聞いたことがあるような気がするのだけど…どこだったかしら)
「一旦そちらを先に調べるか」
「はい。そろそろ行きますか?」
「ああ…」
ラウルに促されて、ネクタリウスはアマリエを一瞥してから、無言で身を翻した。
「…と言うことなので、僕達は失礼します。貴女もぐれぐれも面倒事に巻き込まれないように注意することですね。では…」
わざわざアマリエに忠告してから、ラウルはフードを被り直して、ネクタリウスの後を追った。
「あの方たちは何だったのかしら」
ネクタリウスと言う男は、終始フードを被っていて素顔は見られなかった。
彼に対して引っかかるものがあったが、それが何なのかわからない。
ネクタリウスとラウルは主従関係であるようだったが、親子のような親しげな雰囲気があった。
(ネクタリウス様…ラウルさん…)
二人の名前を頭の隅に置いて、アマリエは細い路地裏を出た。
突然の乱入者に驚き、アマリエの集中は途中で切れた。
魔道具から発せられた青白い光は収束し、魔法は発動しなかった。
アマリエはハッと我に返った。
今、人を傷つけようとした自分に激しく動揺する。
「誰だ!テメェは…!!」
酔っ払いの男は息巻いて叫びながら、フードの男に突進した。
しかし、フードの男は無言で、酔っ払いの男の肩を掴んで押しとどめた。
ギリギリと骨が軋む音が微かに聞こえる。
「いてででっ!!」
悲鳴を上げながら酔っ払いの男は悶えるように身を捩った。
その拍子にアマリエの手首をパッと離す。
アマリエはすぐに距離を取るように、後退った。
それを見届けたようなタイミングでフードの男は酔っ払いの肩から手を離す。
「ちくしょめが!」
烈火の如く顔を赤くした酔っ払いの男はフードの男に拳を繰り出した。
それはやすやすとフードの男の掌で止められる。
酔っ払いの拳を握り潰す勢いで手を閉じると、そのままグイッと大きく捻った。
その反動で酔っ払い男は半回転しながら地面に倒れ込んだ。
低く呻きながら、酔っぱらいの男はだらーんと伸びる。
「おい!そこのお前ら!!何を騒いでいる!!」
騒ぎを聞きつけた警邏隊がこちらに向かって駆けてくるのが見えた。
「面倒だな…」
フードの男が低い声で言った。
「ネクタリウス様!こっちです」
凛とした高い声。
アマリエが声のする方向を見ると、細い路地裏から誰かが手招きしている。
するとフードの男はアマリエの腰に手を回した。
「…は?え?きゃ!!」
地から足が浮いたと思うと、アマリエはフードの男の腰で担がれていた。
「え、え、えー!?」
状況が飲み込めずにアマリエは、思わず声を上げる。
しかしお構いなしにフードの男は、細い路地裏に向かって駆けた。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「あれ、確か、この路地に逃げ込んだような…」
駆けつけてきた警邏隊がランタンを掲げて細い路地裏に進むが、すぐに壁に行き当たった。
3階はありそうな高い壁で、この短時間でここをよじ登るのは不可能に近い。
「おかしいな…」
警邏隊は首を傾げながら、大通りに戻って行った。
「解除」
フードを被った小柄な人物がそう唱えた。
警邏隊が行き当たった壁がスゥ…と消える。
地面に下ろされたアマリエは、その光景に目を瞬かせた。
「もーう!下手に首をつっこまないでくださいよね」
小柄な人物は自らのフードを剥ぎながら、怒り口調で言った。
肩口で切り揃えられた青みがかった銀色の髪。
愛らく整った顔をしていて、一見は可憐な少女のように見えるが、発する声は少し低く…少年特有なものだ。
しかし彼はただの人間の少年ではなかった。
琥珀色の瞳をよく見るとアーモンド状に縦長の瞳孔をしている。
そして髪からひょこっと三角の耳が生えていた。
少年は獣人だった。
「今夜は僕しか付いてないんですから、何かあったらどうするんです!」
「別に付いてきてほしいと頼んではいないが…」
「そうはいかないですよ!いいですか!!」
腰に手を当てながら、獣人の少年は叱りモードだ。
「僕は別に貴方の身を心配をしてる訳ではないんです。僕は面倒事に巻き込まれたくないんです!!」
少年はそう言い切った。
「そうか…悪かったな」
フードの男が率直に言うと、少年は急に慌て始めた。
「ま、まぁ、ちょっぴりだけ、貴方のことも心配してあげてもいいですけど…」
少年はプイッとそっぽを向き、気恥ずかしいそうに言う。
「そうか」
フードの男は少年の頭に手を載せて、やや乱暴な手つきで撫でた。
マントに隠れているが少年の尻尾はきっとパタパタと横に振っているに違いない。
(この子…ツンデレってやつね)
アマリエは思わずクスッと笑った。
すると少年が耳をピクリとさせて、アマリエの方を見た。
「あ、ごめんなさい」
「………」
獣人の少年は無言だ。やや不機嫌そうに見える。
「助けて頂きありがとうございました」
アマリエは構わずに深々と頭を下げた。
アマリエの態度に、少年は驚いたように大きな目を少し見開いた。
獣人と言っても少年はほぼ人間と同じ見た目をしている。
おそらく獣人と人間の混血種だ。
純血の獣人は獣が二足歩行しているような姿が普通だ。
地上界では混血種は“汚れた血”と言われており、人々から冷遇されている。
人間の血が混ざっているのに関わらず混血種というだけで、まず人間扱いはされない。
純血の人間が混血種に感謝を述べて頭を下げるのはレアケースなのだ。
「…別に貴女を助けた訳ではないですが…」
半獣人の少年は居心地が悪いように視線を彷徨わせた。
「ラウルはこうすると喜ぶ」
フードの男は空気を読まずそう言って、ラウルの頭を乱暴に撫でた。
「あら、“感謝の仕方”が違ったのですね」
アマリエは見当違いなことを言いつつ、フードの男に倣ってラウルの頭を撫でた。
(サラサラな髪ね…あ、この耳もモフモフ…)
「ひゃい!」
アマリエが耳を触ると、ラウルは間の抜けた声を上げた。
「…そこは敏感だそうだ」
「そ、そうなのですね。魅力的なモフモフだったので、つい…」
アマリエは名残ほしそうにラウルの頭から手を引っ込めた。
「そ、そんなことより!!聖職者がこんな時間にこんな所で何をしているんですか!?」
ラウルは話を逸らすように、露骨に話題を変えた。
「…え。あ、ま、魔物討伐で仲間の方々とはぐれててしまって…」
アマリエは近く遠からずな返答をした。
姉に殺されかけたことはとても言えない。
ふーんとラウルは胡乱げな目でアマリエを見つめた。
「魔物か…イオロスにアンデットの大群が出たと聞いたが…」
「あ、僕も聞きました。しかし軍勢は引いたようですよ」
「引いた?」
「はい。ここに着いたばかりの隊商から聞いたんです。理由までは分かりませんが…」
「………」
フードの男は、顎に手を当てて考え込む。
(確か、ラウルさんはこの方を『ネクタリウス様』と仰っていたわね…どこかで聞いたことがあるような気がするのだけど…どこだったかしら)
「一旦そちらを先に調べるか」
「はい。そろそろ行きますか?」
「ああ…」
ラウルに促されて、ネクタリウスはアマリエを一瞥してから、無言で身を翻した。
「…と言うことなので、僕達は失礼します。貴女もぐれぐれも面倒事に巻き込まれないように注意することですね。では…」
わざわざアマリエに忠告してから、ラウルはフードを被り直して、ネクタリウスの後を追った。
「あの方たちは何だったのかしら」
ネクタリウスと言う男は、終始フードを被っていて素顔は見られなかった。
彼に対して引っかかるものがあったが、それが何なのかわからない。
ネクタリウスとラウルは主従関係であるようだったが、親子のような親しげな雰囲気があった。
(ネクタリウス様…ラウルさん…)
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