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生徒会は忙しい

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補佐に任命されてから一週間が経った。元凶である叔父には"金輪際勝手な真似をしたらどうなるか覚えておけよ龍治叔父さん"と脅しの連絡をいれた。叔父は"もう一生しません"と怯えながら言っていたので、俺は許すことにした。

補佐の仕事は、ほとんどが生徒会の人たちのサポートをすることで要するに雑用といったところだ。お茶を淹れたり、仕事を手伝ったりを主にしている。

今は、会長と副会長と一緒に風紀委員室に向かっているのだが、特に俺が行く意味が無いと思っているのだが、会長が"お前も来い"と言われたので、俺は黙って会長と副会長の後ろに付いていっている。ふと気づいたが、後ろ姿からでも少し会長の機嫌があまりよくない用に見えた。さっきから苛々している雰囲気が伺える。風紀委員室の前に着くと会長はノックもせずに扉を思いっきり開けて怒鳴り出した。

「どういうことだ時雨!!説明しろ!」

「はっ、どうもこうもなんてあるわけないだろ、そう言うことだ説明なんてしねぇぞ響生」

二人は睨み合いながら会長は"説明しろ"と言い、そして風紀委員長である藍澤 時雨あいざわ しぐれは"嫌だね"とどちらも意思を曲げる気は全くもってないらしい。そんな二人を副会長ともう一人、風紀副委員長の九条 京介 くじょう きょうすけが止めに入っている。俺はその光景を見て馬鹿馬鹿しいと思い給湯室に行き四人分のお茶を淹れる。会長には好きな紅茶を淹れて、他の人には緑茶を淹れた。会長は紅茶が好きらしくこの間お茶を出した時に文句を言われたので副会長が勧めてくれたものを使っている。お茶を淹れた頃には二人も落ち着いたらしく静かに睨み合いながら座っている。俺は"失礼します"と言ってお茶を置いた。会長は無言、副会長は"ありがとうございます"と言ってくれた。藍澤と九条にも出した。二人は"ありがとう"と言って俺の顔を見た瞬間、驚いた声をあげた。

「紅城!?なぜお前がここにいる!もしかして生徒会に入ったのか!お前俺が何度も風紀委員に誘っても断りやがった癖に生徒会には入るのか見損なったぞ」

「時雨の言う通りだよ、阿紀くん。何の役付きにも付きたくないって言ってたくせに嘘つき!!」

二人が俺の体を掴んで激しく揺らす、この二人とは、俺が一年の時に襲われそうになっていた生徒を助けたところを見られていたらしく、しつこく風紀委員に誘ってきてたがすべて断った。だって面倒くさいし、関わりたくなかったからだ。けど、二人は誤解している。俺は好きで生徒会に入ったわけではない。

「二人とも落ち着いてください。私は色々あって、入ることになっただけです」 

二人に生徒会に入った理由を説明した。二人は納得したらしく、掴む手を離してくれた。

「まぁ、紅城が自分から入ったわけではないのなら仕方がないな、だが、俺は諦めないぞ!お前を絶対に風紀委員に入れてやるからな」

「そうだね!阿紀くんが入ってくれるまで、僕も追いかけるから」

二人は納得はしたが、決して俺を入れるのを諦めないらしい。一年の時から勧誘は続いていたが最近はなかったので、諦めてくれたと思っていたが最近は忙しかっただけらしい。
それを聞いていた会長が口を出してきた。

「紅城、お前が生徒会補佐を辞めることは許さない」

「そうですよ、紅城さんは渡しません」

「はっ、出たよ響生の悪い癖、てめぇが決めることじゃねぇんだよ、紅城本人が決めることなんだよ」

「二人の独占欲が強い所も悪い所だよ。阿紀くんを縛り付けないで!」

はぁ、また始まったよ今度は副会長たちまでもが言い合いを始めやがった。まるで虎と竜の睨み合いだなと思った。俺は話が進まないことに苛々して机を手で思いっきり叩いた、その音に驚いた会長たちは黙ってこちらを見た。俺は一呼吸おいてから会長達に説教をする。

「いい加減にして下さい。会長、副会長、ここには用事で来ているんですよ、言い争っている場合ではないはずです。それに、私は自分の意思で辞めることを決めますのであなた方の許可など取りません。後、藍澤さん、九条さん、言い返すのを辞めてください。子どもですか?今は立派な風紀委員のトップなのだからしっかりしてください。はぁ、私は生徒会室に戻りますのできちんと話し合って下さいね」

そう言って風紀委員室を出た。あぁ、スッキリした!清々しい気持ちで生徒会室に戻る。生徒会室に入ろうとした時、國枝の怒っている声が聞こえてきた俺は何かあったのかと急いで入る。

「葉月先輩、いい加減にして下さい。去年もやっていたことなのに何で出来ないんですか!」

「えぇ~だって、俺一年の時は遊んでばっかいたから仕事やってないもん」

「そんなの知りませんよ」

話を聞いていて何となく原因が分かった。原因は西園寺が仕事をしないことだな。西園寺はあまり生徒会の仕事をしようとしないその分を今までは副会長が変わりにやっていたのだが、副会長も忙しい身だ、手が回らないのだろう。仕方ない、ここでまた争われたら頭が痛くなる。頭を抱えている國枝に声を掛けた。

「國枝さんどうしたんですか?」

「あ、阿紀先輩、助けてください。葉月先輩が仕事をしないんですよ」

「分かりました。私が西園寺さんに言いますので、國枝さんは自分の仕事をやってください」

國枝は"ありがとうございます"と言って自分の仕事を始めた。さて、西園寺にどう言えば仕事をしてもらえるだろうか?一番手っ取り早いのは、俺が手伝いながら仕事をしてもらうかな。俺はそう決めて西園寺に話しかけた。

「西園寺さん」

「何~阿紀ちゃん?」

「私と一緒に仕事をしませんか?そうしたら西園寺さんも仕事を覚えることができますよ」

「う~ん、阿紀ちゃんとならやる!」

「では早速やりましょう」

そう言って西園寺と一緒に仕事をやり始めた。西園寺はやる時はしっかりやるやつで助かる。仕事も終わり帰る用意をしていると会長たちが戻って来た。会長が席に座って今日の風紀委員との話を出した。

「明後日の新歓の内容はおにごっこだ。俺たち生徒会は鬼役になったが、紅城は昨年同様くじで決まるから覚えておけ」

会長が言ったことで思い出した。忘れてた、そう言えば明後日は新入生歓迎レクリエーションだ。去年はかくれんぼで鬼だったからよかったが、今年は鬼ごっこだと!鬼であってほしいと強く願った。そして地獄の鬼ごっこの日が訪れた。
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