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わたしとアイツとアイツ
◆9話①
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咲希が起きたらしく物音で目が覚めた。
夜中に二人で何か話してるのも気づいてた。
邪魔しなかったのは、過去と別れるときがきたと悟ったから。
「……あれ? 起きてたの?」
「っす」
外に咲希を残したまま、透さんが部屋に戻ってきた。寝る前よりもスッキリした顔をしている。それに腹が立つのは俺が咲希を好きだから。
好きな女を傷つけられてキレない男はこの世にいない。腸が煮えくり返るのを我慢してやってるだけだ。
殴らないのを、心の底から感謝してほしい。
「気は済んだかよ」
「うん」
「とことん傷つけやがって」
「ごめん」
「んで、これからどうすんの?」
クソ野郎は絵を描くというより、過去と向き合い決別したかったんだと思う。懺悔したかっただけ、といえば聞こえがいいだろう。
でも実際は、自分の罪を暴露して罪悪感から解放されたかっただけで、聞かされた方の傷なんかちっとも考えちゃいない、エゴイスト野郎の総じてクソ野郎。
「僕は別に部屋を取ってあるから、明日のチェックアウトまで二人でゆっくり過ごしてね。帰りのチケットもフロントに預けてるし、そのまま二人で帰っていいから」
クソ野郎のくせにそういう気遣いだけは一丁前だ。そういうとこだけは。
「絵は? モデルが要るんすよね?」
「大丈夫だよ。まぶたの裏に引っ付いちゃってるから」
「その眼球刳り出してもいいっすか?」
「ほんと好きだよね、咲希のこと」
「そりゃもう好きだぜ。好きすぎて……おい、今、俺の咲希を呼び捨てにした?」
「またね、勇樹君」
すっとぼけたまま部屋を出て行く。何であんなクソ野郎に惚れたのかちっとも理解したくねぇが、咲希にとって【本気の恋】だった。そこは理解したい。
「ったく、クソ野郎の手本だな。ああならないように俺も精進しよう」
テーブルに置いてあった水を一口飲む。
「おえッ!」
酒だった。
すぐに吐き出したけど、口に残る匂いも苦手だったから歯磨きをした。こんなのが好きっていう咲希は理解出来ねえ。こんなん飲まなくてもいいだろ。コーラのがうまいっつーの。
「さーて、咲希と遊ぶぞぉ」
庭に続く勝手口を開けると、やけに明るく感じた。空を見上げると真ん丸のお月さんが目に入る。
今日は満月。
どこぞのお姫様にピッタリの日だ。
(俺のお姫様は……)
一本の桜の木の下にある茶椅子に腰掛けて桜を見上げている。その横顔といったら……。
(無理もないか)
あの懺悔は咲希の心を、縋り付いてた過去をボロボロにした。泣いて怒ってもよかったと思う。一発や百発殴っても誰も責めない。
それでも受け入れたのは、咲希。
(まったく、いい大人が揃いも揃って)
バレないように後ろに回り、震えてる小さな体を、俺の持ちうるすべての愛情を使って抱きしめた。
「俺のかぐや姫、見ぃーつけた」
「そのネタ、アイツが使ってたわよ」
「いいの、俺のかぐや姫って所は使ってねぇから」
「そーいうもん?」
「そーいうもん」
くすくすと小さく笑う咲希の首に鼻を押し当てる。すうっと息を吸えば咲希の匂いが肺に入り込んで、幸せで満たされた。
「お別れできた?」
咲希に聞くと小さく頷いた。
「最後まで好きって言わなかったの」
「言ってやるもんかっていう意地だろ」
「何で知ってんの!?」
「咲希のことくらいお見通しぃ」
「何か生意気っ!」
咲希だけには言われたくねぇって言いそうな口を咲希の首に引っ付ける。何度も、何度も。
「……ほんとはね、泣きたかった」
「だろうなぁ」
「無駄にイケメンな顔面と金玉潰してやりたかった。二度とその面見せんじゃねえって怒鳴りたかった」
「んーっ、俺のかぐや姫ってばわんぱくぅ」
「だから代わりに別れの言葉を言ってやったの。この私を傷つけたんだから世界一の画家になりなさいって。じゃないと許さないし、末代まで呪ってやるって」
「あはは! そら必死にやるしかねぇな」
「……頑張った?」
「おう、頑張った頑張った」
よしよしと頭を撫でると膝枕を要求してきた。断る理由もないし、長椅子に座ると咲希が頭を乗せてくる。甘えるように腹に顔を埋める様はまさに天使。甘えた咲希とか激かわ過ぎる。
嗚呼、こいつぁ憎いぜ。
「あー……今さら過ぎたけどさ、ちゃんとケジメつけれて良かったな」
「……本当の話なんて聞きたくなかったけどね。でも……勇樹がいてくれたから耐えることができた」
言っておくが俺は何もしていない。咲希が頑張って乗り越えたことだ。でも咲希にとって今回の事はとても重要なことだったと思う。だからこそ、そこに居られたことが嬉しい。
「ありがとう」
分かっちゃいるけどお礼を言われたら嬉しいもんで、返事の代わりに頭を撫でるとお返しといわばかりに、グリグリと腹に顔を擦り付けてきた。
「何で勇樹は優しいの? ヌードのこともあるし、普通は嫌がるよ」
「ふふん、この勇樹様をそこらの男と一緒にすんなよ」
「ビンビンに勃起させといて何を言ってるの?」
「くっ、腐った純愛が憎いですっ!」
「ふふ、かぁわいい」
かぷりとアレに噛み付く。イタズラするみてぇに、何回も。布越しから伝わる吐息に息が漏れた。
「ッ」
「まるで犬の息づかいね。犬らしく吠えてみなさい」
「んー、やるからお手本みせて?」
「わんっ!」
「自分で言っててかぁわいい!」
「……は!?」
「よしよーし、咲希ワン子も良きよ、良き」
いつもならここで生意気な口を叩くけど咲希は黙ったまま。そしてなぜか「わん!」と鳴いた。
「おおう、どした」
戸惑う俺に構うことなく咲希は起き上がり俺の前にしゃがむとこう言った。
「ご主人様のアレを食べるわん!」
「……え? ここで?」
「あーんしてあげるわん!」
ほら早くと言わんばかりに口を開けて待ってる。キャラ崩れもいいところだけど、咲希なりに考えてくれた今回のご褒美だと思う。
そんなもん要らねぇし、もっと他にお礼の仕方があるだろってツッコミたいが、何を隠そう俺の純愛は腐っちまったから、俺からすると願ってもない最高のご褒美。つまり、咲希ワン子万歳ってことだ。
「あざーっす!」
「んー」
すぐに着ていた浴衣をズラしてパンツからアレを取り出すと、咲希の口がアレを包んだ。
「うっわぁ、サイッコー」
「ん」
月明かりのおかげで咲希のやらしい顔も見られる。ちょっと上を見上げれば儚げに散っていく桜の花びらも見れる。フェラは腰が震えるほど気持ち良い。
もはや夢心地。最高過ぎて幸せ。
いっそのことこのままセックスしたい。桜を背景に乱れまくる咲希が見たい。浴衣が乱れていく様も見たい。
「……は!?」
いかんいかんいかーん!咲希ってばついこの前倒れたばっかだった!とようやく理性を取り戻した俺は、咲希の頭を掴んでソコから離した。
「ごめん、暴走するとこだった。体調が戻ってからしよーな?」
そう言う俺に咲希はむくれ面を見せる。
「私は元気だし、やってやるって言ってんだから大人しくヤラれてなさいよ」
「いやでも……ほら! ここ外だし!」
「公園のトイレでヤるよりマシでしょ」
それはそうだけど、でも春とはいえ山に囲まれたここは肌寒い。今は体調が良くてもぶり返す可能性だってある。
すっかり欲望に負けてアレを取り出した俺に言えた義理はねぇけど。
「勇樹の気づかいは分かってるけど、今、私が、あんたを抱きたいの。だ、か、ら……ね?」
咲希はやる気満々のようで、立ち上がると浴衣の裾を広げて手を中に突っ込んだ。取り出したのはパンツ。それを手に持ったまま、俺の太ももを跨ぐ。
「ちょっとちょっと! マジで?」
「んーぅ」
黙ってろと言わんばかりに咲希がキスをしてくる。それでも理性が勝ってるからやめろの意味を込めて咲希の腰を掴んだ。
「……これ、……ほしいの」
俺のを掴まれて理性が木っ端微塵に砕け散った。
「咲希っ」
「んう」
腰から頭に手を移動させる。力強く掴んでしまったけど、貪るようにキスをした。
さっきまで飲んでたらしく酒の匂いが鼻を抜ける。
酒の匂いにクラクラしてんのか、それとも息つく暇もねぇほどのキスで酸欠になってんのか。
もう、どっちでもいいや。
俺も、ほしい。
「はっ、ぁ」
咲希が俺のを掴んでアソコにあてがう。生暖かい咲希が入ってきて、ブルリと腰が震えた。
「何もしてねぇのに、濡れすぎ」
「お口でしたよ」
「フェラすると濡れんの?」
「勇樹のアレ、だいすきなの」
「っ」
「今日は私がしてあげる」
ゆっくりと咲希の腰が動く。いたれりつくせりで嬉しいんだけども、とっても気持ち良いんだけども!
もっと奥まで押し込みたい。もう少しはやく動いてほしい。
いつもみてぇに理性がぶっ飛んだ咲希が見たい。
こんなんじゃ、全然物足りねぇ。
「なぁ、交代しようぜ」
「やだ。あんた遠慮ないもの」
「でもさ」
「ほら、これ。あんた好きでしょ?」
「っ」
ぐんっと奥まで入ったけど、残念。まだ奥まで入る。それに気づかない咲希は腰を動かしている。
「ダメだぜ、咲希」
「イキそ?」
「まどろっこしくて全然イケねぇ」
「っ!」
がんと腰を突き上げると咲希の背中がのけ反った。必死に唇を噛む姿といったら激かわすぎてさらにビンビン。それを見てスイッチが入っちまうんだから、俺も大概のクソ野郎だ。
でも俺は思うわけですよ。優しさの代名詞である俺をこうさせる咲希が悪いから、俺は悪くないって。
そうそう、俺は、ワルクナイ。
「何だよ、もうへばったのかよ」
「っ!」
アレを抜いて力の抜けた咲希を抱きかかえて長椅子に寝かせる。俺は長椅子に跨ると咲希の腰を持ち上げてアレをアソコにあてがった。咲希はずっと首を横に振ってたけど、知らん顔して奥までいれる。
そうそう、これよ、これ。
「あー……気持ちー……」
「んぐっ」
咲希は唇を噛むのをやめて浴衣の袖を口に含んで声を耐えている。
着崩れていく浴衣姿が何とも官能的で、もっと崩したくて奥まで突き続けたら、そこから胸がぽろりと溢れた。
俺の精子も溢れた。
「くっ、あ」
限界まで押し込んで吐き出す。その瞬間が好きでもっと味わいたいと思うけども、出したらすぐに柔くなる体が憎い。
男の生理現象だろうけど、最近は特に……
「あっれぇ?」
「ゆ、うき……だめ」
「あはっ、ラッキー!」
「ああ!」
今回は出してもビンビンだ。これなら咲希を一晩中可愛がれる。
よかった。これでもっといっぱい気持ち良いことを……、
意識がぶっ飛ぶくらいに……
もっと、いっぱい……
「ふぁ、あっれぇ? さきがいっぱいいるぅ」
「……勇樹? どうしたの……」
「さき、おれのさぁきぃ、おしおきしよーなぁ」
「ひっ! や、やめっ、やらああ!」
咲希の叫び声を最後にプツンと何かが切れた。
夜中に二人で何か話してるのも気づいてた。
邪魔しなかったのは、過去と別れるときがきたと悟ったから。
「……あれ? 起きてたの?」
「っす」
外に咲希を残したまま、透さんが部屋に戻ってきた。寝る前よりもスッキリした顔をしている。それに腹が立つのは俺が咲希を好きだから。
好きな女を傷つけられてキレない男はこの世にいない。腸が煮えくり返るのを我慢してやってるだけだ。
殴らないのを、心の底から感謝してほしい。
「気は済んだかよ」
「うん」
「とことん傷つけやがって」
「ごめん」
「んで、これからどうすんの?」
クソ野郎は絵を描くというより、過去と向き合い決別したかったんだと思う。懺悔したかっただけ、といえば聞こえがいいだろう。
でも実際は、自分の罪を暴露して罪悪感から解放されたかっただけで、聞かされた方の傷なんかちっとも考えちゃいない、エゴイスト野郎の総じてクソ野郎。
「僕は別に部屋を取ってあるから、明日のチェックアウトまで二人でゆっくり過ごしてね。帰りのチケットもフロントに預けてるし、そのまま二人で帰っていいから」
クソ野郎のくせにそういう気遣いだけは一丁前だ。そういうとこだけは。
「絵は? モデルが要るんすよね?」
「大丈夫だよ。まぶたの裏に引っ付いちゃってるから」
「その眼球刳り出してもいいっすか?」
「ほんと好きだよね、咲希のこと」
「そりゃもう好きだぜ。好きすぎて……おい、今、俺の咲希を呼び捨てにした?」
「またね、勇樹君」
すっとぼけたまま部屋を出て行く。何であんなクソ野郎に惚れたのかちっとも理解したくねぇが、咲希にとって【本気の恋】だった。そこは理解したい。
「ったく、クソ野郎の手本だな。ああならないように俺も精進しよう」
テーブルに置いてあった水を一口飲む。
「おえッ!」
酒だった。
すぐに吐き出したけど、口に残る匂いも苦手だったから歯磨きをした。こんなのが好きっていう咲希は理解出来ねえ。こんなん飲まなくてもいいだろ。コーラのがうまいっつーの。
「さーて、咲希と遊ぶぞぉ」
庭に続く勝手口を開けると、やけに明るく感じた。空を見上げると真ん丸のお月さんが目に入る。
今日は満月。
どこぞのお姫様にピッタリの日だ。
(俺のお姫様は……)
一本の桜の木の下にある茶椅子に腰掛けて桜を見上げている。その横顔といったら……。
(無理もないか)
あの懺悔は咲希の心を、縋り付いてた過去をボロボロにした。泣いて怒ってもよかったと思う。一発や百発殴っても誰も責めない。
それでも受け入れたのは、咲希。
(まったく、いい大人が揃いも揃って)
バレないように後ろに回り、震えてる小さな体を、俺の持ちうるすべての愛情を使って抱きしめた。
「俺のかぐや姫、見ぃーつけた」
「そのネタ、アイツが使ってたわよ」
「いいの、俺のかぐや姫って所は使ってねぇから」
「そーいうもん?」
「そーいうもん」
くすくすと小さく笑う咲希の首に鼻を押し当てる。すうっと息を吸えば咲希の匂いが肺に入り込んで、幸せで満たされた。
「お別れできた?」
咲希に聞くと小さく頷いた。
「最後まで好きって言わなかったの」
「言ってやるもんかっていう意地だろ」
「何で知ってんの!?」
「咲希のことくらいお見通しぃ」
「何か生意気っ!」
咲希だけには言われたくねぇって言いそうな口を咲希の首に引っ付ける。何度も、何度も。
「……ほんとはね、泣きたかった」
「だろうなぁ」
「無駄にイケメンな顔面と金玉潰してやりたかった。二度とその面見せんじゃねえって怒鳴りたかった」
「んーっ、俺のかぐや姫ってばわんぱくぅ」
「だから代わりに別れの言葉を言ってやったの。この私を傷つけたんだから世界一の画家になりなさいって。じゃないと許さないし、末代まで呪ってやるって」
「あはは! そら必死にやるしかねぇな」
「……頑張った?」
「おう、頑張った頑張った」
よしよしと頭を撫でると膝枕を要求してきた。断る理由もないし、長椅子に座ると咲希が頭を乗せてくる。甘えるように腹に顔を埋める様はまさに天使。甘えた咲希とか激かわ過ぎる。
嗚呼、こいつぁ憎いぜ。
「あー……今さら過ぎたけどさ、ちゃんとケジメつけれて良かったな」
「……本当の話なんて聞きたくなかったけどね。でも……勇樹がいてくれたから耐えることができた」
言っておくが俺は何もしていない。咲希が頑張って乗り越えたことだ。でも咲希にとって今回の事はとても重要なことだったと思う。だからこそ、そこに居られたことが嬉しい。
「ありがとう」
分かっちゃいるけどお礼を言われたら嬉しいもんで、返事の代わりに頭を撫でるとお返しといわばかりに、グリグリと腹に顔を擦り付けてきた。
「何で勇樹は優しいの? ヌードのこともあるし、普通は嫌がるよ」
「ふふん、この勇樹様をそこらの男と一緒にすんなよ」
「ビンビンに勃起させといて何を言ってるの?」
「くっ、腐った純愛が憎いですっ!」
「ふふ、かぁわいい」
かぷりとアレに噛み付く。イタズラするみてぇに、何回も。布越しから伝わる吐息に息が漏れた。
「ッ」
「まるで犬の息づかいね。犬らしく吠えてみなさい」
「んー、やるからお手本みせて?」
「わんっ!」
「自分で言っててかぁわいい!」
「……は!?」
「よしよーし、咲希ワン子も良きよ、良き」
いつもならここで生意気な口を叩くけど咲希は黙ったまま。そしてなぜか「わん!」と鳴いた。
「おおう、どした」
戸惑う俺に構うことなく咲希は起き上がり俺の前にしゃがむとこう言った。
「ご主人様のアレを食べるわん!」
「……え? ここで?」
「あーんしてあげるわん!」
ほら早くと言わんばかりに口を開けて待ってる。キャラ崩れもいいところだけど、咲希なりに考えてくれた今回のご褒美だと思う。
そんなもん要らねぇし、もっと他にお礼の仕方があるだろってツッコミたいが、何を隠そう俺の純愛は腐っちまったから、俺からすると願ってもない最高のご褒美。つまり、咲希ワン子万歳ってことだ。
「あざーっす!」
「んー」
すぐに着ていた浴衣をズラしてパンツからアレを取り出すと、咲希の口がアレを包んだ。
「うっわぁ、サイッコー」
「ん」
月明かりのおかげで咲希のやらしい顔も見られる。ちょっと上を見上げれば儚げに散っていく桜の花びらも見れる。フェラは腰が震えるほど気持ち良い。
もはや夢心地。最高過ぎて幸せ。
いっそのことこのままセックスしたい。桜を背景に乱れまくる咲希が見たい。浴衣が乱れていく様も見たい。
「……は!?」
いかんいかんいかーん!咲希ってばついこの前倒れたばっかだった!とようやく理性を取り戻した俺は、咲希の頭を掴んでソコから離した。
「ごめん、暴走するとこだった。体調が戻ってからしよーな?」
そう言う俺に咲希はむくれ面を見せる。
「私は元気だし、やってやるって言ってんだから大人しくヤラれてなさいよ」
「いやでも……ほら! ここ外だし!」
「公園のトイレでヤるよりマシでしょ」
それはそうだけど、でも春とはいえ山に囲まれたここは肌寒い。今は体調が良くてもぶり返す可能性だってある。
すっかり欲望に負けてアレを取り出した俺に言えた義理はねぇけど。
「勇樹の気づかいは分かってるけど、今、私が、あんたを抱きたいの。だ、か、ら……ね?」
咲希はやる気満々のようで、立ち上がると浴衣の裾を広げて手を中に突っ込んだ。取り出したのはパンツ。それを手に持ったまま、俺の太ももを跨ぐ。
「ちょっとちょっと! マジで?」
「んーぅ」
黙ってろと言わんばかりに咲希がキスをしてくる。それでも理性が勝ってるからやめろの意味を込めて咲希の腰を掴んだ。
「……これ、……ほしいの」
俺のを掴まれて理性が木っ端微塵に砕け散った。
「咲希っ」
「んう」
腰から頭に手を移動させる。力強く掴んでしまったけど、貪るようにキスをした。
さっきまで飲んでたらしく酒の匂いが鼻を抜ける。
酒の匂いにクラクラしてんのか、それとも息つく暇もねぇほどのキスで酸欠になってんのか。
もう、どっちでもいいや。
俺も、ほしい。
「はっ、ぁ」
咲希が俺のを掴んでアソコにあてがう。生暖かい咲希が入ってきて、ブルリと腰が震えた。
「何もしてねぇのに、濡れすぎ」
「お口でしたよ」
「フェラすると濡れんの?」
「勇樹のアレ、だいすきなの」
「っ」
「今日は私がしてあげる」
ゆっくりと咲希の腰が動く。いたれりつくせりで嬉しいんだけども、とっても気持ち良いんだけども!
もっと奥まで押し込みたい。もう少しはやく動いてほしい。
いつもみてぇに理性がぶっ飛んだ咲希が見たい。
こんなんじゃ、全然物足りねぇ。
「なぁ、交代しようぜ」
「やだ。あんた遠慮ないもの」
「でもさ」
「ほら、これ。あんた好きでしょ?」
「っ」
ぐんっと奥まで入ったけど、残念。まだ奥まで入る。それに気づかない咲希は腰を動かしている。
「ダメだぜ、咲希」
「イキそ?」
「まどろっこしくて全然イケねぇ」
「っ!」
がんと腰を突き上げると咲希の背中がのけ反った。必死に唇を噛む姿といったら激かわすぎてさらにビンビン。それを見てスイッチが入っちまうんだから、俺も大概のクソ野郎だ。
でも俺は思うわけですよ。優しさの代名詞である俺をこうさせる咲希が悪いから、俺は悪くないって。
そうそう、俺は、ワルクナイ。
「何だよ、もうへばったのかよ」
「っ!」
アレを抜いて力の抜けた咲希を抱きかかえて長椅子に寝かせる。俺は長椅子に跨ると咲希の腰を持ち上げてアレをアソコにあてがった。咲希はずっと首を横に振ってたけど、知らん顔して奥までいれる。
そうそう、これよ、これ。
「あー……気持ちー……」
「んぐっ」
咲希は唇を噛むのをやめて浴衣の袖を口に含んで声を耐えている。
着崩れていく浴衣姿が何とも官能的で、もっと崩したくて奥まで突き続けたら、そこから胸がぽろりと溢れた。
俺の精子も溢れた。
「くっ、あ」
限界まで押し込んで吐き出す。その瞬間が好きでもっと味わいたいと思うけども、出したらすぐに柔くなる体が憎い。
男の生理現象だろうけど、最近は特に……
「あっれぇ?」
「ゆ、うき……だめ」
「あはっ、ラッキー!」
「ああ!」
今回は出してもビンビンだ。これなら咲希を一晩中可愛がれる。
よかった。これでもっといっぱい気持ち良いことを……、
意識がぶっ飛ぶくらいに……
もっと、いっぱい……
「ふぁ、あっれぇ? さきがいっぱいいるぅ」
「……勇樹? どうしたの……」
「さき、おれのさぁきぃ、おしおきしよーなぁ」
「ひっ! や、やめっ、やらああ!」
咲希の叫び声を最後にプツンと何かが切れた。
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