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番外編・後日談1

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皇子は変わった。二人の関係を良くしようとしてくれているのが伝わる。元々素直な性格だから、それが余計目立つ。

皇子の想いを信じていいものか、でもまた裏切られるのが怖い。それに私にはご主人様がいる。ご主人様を裏切るようなことはしたくない。

【前世】と【現世】、どっちつかずの宙ぶらりん。

結局、何がしたかったんだろ。そこを考え出すとうまく眠れなくて、最近は体調が優れない日が続いていた。

今日も授業をさぼって保健室で休んでいる。

先生も居ないし、私を見舞う友人も心当たりないし、ジャケットとスカートとストッキング、ついでにブラジャーを脱いで、ブラウスとパンティのみでシーツにくるまって寝ていた。

すぅすぅと夢の中にいたんだけど、誰かに頬を軽く叩かれて目を開けた。

「大丈夫か?」

皇子がそこにいた。

「……へ?……な、に?」

何度も目を擦ってみてもやっぱり皇子がそこにいる。こんなこと今まで一度もなかったのに、やっぱり仲を良くしようとしてくれている。

「少し、熱いな」
「皇子の手が冷たいだけですわ」

ひんやりとする手にすり寄ると、指で頬を撫でてくれた。皇子との距離が縮まっている証拠だ。何だか少しくすぐったい。

「ありがとうございます」
「別に!こういうことされると女が喜ぶってクラスの女が言ってたからな!」

本当に無神経のアホ皇子め。せっかくの寝起きが最悪だ。って言えないから、ニッコリと笑って皇子の手から離れた。

「わたくしは大丈夫ですわ。さぁ、お戻りになって」
「せっかく来たのに!?」
「あらやだ偽善の押し付けだわ、頼んでもないのに」
「言い方!」
「んー……」
「いや、いい、考えなくていい」
「押しつけにゃいでにゃ?」
「何だよそれ」
「あら、にゃん語を知りませんの?」
「にゃ、にゃん?」
「魔界に住むネコ族の言葉です」
「まねしなくていい」

そう言われても、久しぶりのにゃん語に気分が上がって、手を丸めてネコみたいにゴロゴロしながらネコ族のまねをした。

「にゃんにゃん、ご主人さまにゃー、にゃんでもするからぼくを飼ってにゃー、にゃんにゃん、ぼくはご主人さまについていくにゃー」
「やるなって言った!!」

慌てる皇子が面白くて、もっとしてやろうとシーツから出た。

「にゃんにゃん、ご主人さまにゃー、もっとかまってにゃー、にゃんにゃん、ぼくがきらいだにゃー?」

四つん這いになって、ネコが爪を研ぐみたいに、丸めた手で皇子の体を引っかいていく。皇子は今まで以上にあそこに布を張っていた。

パンティとブラウスしか着てなかったことを思い出して、わざとお尻を振りながらあそこを見た。

「にゃにゃにゃ!ご主人さま、ここ、こってるにゃー」
「うわあああ!」
「ただいまー!アルザ様、ご気分はどう?」
「ひっ!」

保険医が帰ってきた、それだけの話なのに、パニックに陥った皇子は、シーツの中に入って身を隠した。しかもぎゅうぎゅうに抱きついて。さすがアホ皇子、行動すべてがアホ過ぎて一周回ってかわいく見える。

「アルザ様?」

ベッドの周りを囲っているカーテンの外から声をかけられた。

「にゃ……ええ、まだ少し悪いですわ。もう少し眠ります」
「そう、わかったわ。気分悪くなったらいつでも声をかけてね」
「お気遣いありがとうございます」

しかし参った。保険医はしばらくここに居るみたいだし、この皇子をどうしようかとシーツをめくった。胸に顔を埋めたまま岩になっていた。

隠れるときたまたま胸に置いてしまった……って感じ?アホすぎて知らん顔しようと思ったけど、……これはこれで楽しめることに気づいて、自分の唇をペロリと舐めた。

「……っ!」

わざと胸を寄せてみた。皇子の顔が余計に埋まった。慌てて顔を上げた皇子に、ベッと舌を出してイタズラっぽく笑った。

皇子は真っ赤になりながらもとても悔しそうで、笑いそうなのを堪えて、足を皇子の腰に巻き付けた。

「!?」
「(にゃー)」

丸くした手を招き猫みたいにクイクイしたら、皇子はその手を掴んでガブリと噛んできた。

「(どうだ!)」

って言わんばかりのしてやったり顔に、ポカンと呆けてしまった。その二秒後、ぶわあああっと顔が熱くなるのを感じた。

だって!これもされたことがない!なにそのしてやったり顔のアホっぽさ!すごくかわいいっ!不意打ちだ、こんなの!

「(ははーん、弱点はこれか)」

人の焦りなんてそっちのけで、アホ皇子は私の手をガブガブ噛んできた。それもかわいいけど!アホ皇子のくせに私で遊ぶなんて生意気だ。

してやられたままが悔しいから、残った手を自分の口に持っていって、指をカプリと噛んだ。そして、わざと体を揺らした。まるで行為をしている時のように。

皇子がそれに気づくと、もう一度手を噛んで反応を確かめてきた。だから私もピクリと揺らして、皇子をじっと見つめてた。

どうせ皇子のことだ。真っ赤になって引くだろうって思ってた私の予想は見事に外れた。

「っ」

私の目を見つめながら、私の手をいやらしく舐めた。ねっとりと這う生暖かい舌が指に絡む。指の間まで丁寧に舐めて、口に含んだまま、舌を這わせて吸い上げた。

その舐め方を知ってる。それは前に私が皇子の指でやった舐め方と同じ。それを私の指でやってる。今度は皇子が……。

「ふっ」

思わず声が漏れてしまった。急いでガリッと自分の指を噛んだけど、一度入ったスイッチはオフにできない。

皇子はそれをいいことに、もう片方の手で制服のファスナーを下ろし、アレを取り出してしごき始めた。それならまだしも、アレの先を私のアソコに押し付けている。

下着の上からでもハッキリ感じる圧に、体がどうにかなってしまいそうだった。

「(と、く、べ、つ)」

ブラウスのボタンを下から一つずつ丁寧に外していく。少しずつ露になる肌に、皇子の視線が注がれた。

私を見てくれている。もっと興奮してくれている。私で、滾っていく。私も、滾っていく。

「っ、っっ!」

ブラウスのボタンを四つほど開けて、次は胸元を……というところで、耐え性のない皇子が果てた。その辺を学ばさせる必要があるらしい。

でも、迷うことなくパンティにぶっかけたことは、さすが皇子といえる。パンティに精子をぶっかけるなんて……思わず自分の唇をペロリと舐めた。

「あっ!そうだった!会議の資料コピーしなきゃだったわ!」

先生が保健室から出て行った。その扉が閉まった音で、皇子がようやく現実に帰ってきたらしい。真っ赤になったまま、ピシリと固まってしまった。

私の手を責めたことか、自らしごいたことか、パンティにぶっかけたことか、どれも原因だろうけど。

「ねぇ、皇子」
「……あぅ」

もはや言葉に出来ないほどの何かと戦っているみたいだ。

「お上手ですわ。さすが皇子です。……わたくし久しぶりに興奮しました」
「は?」

お前何を言ってんの?って目で見てくる皇子にニッコリ笑った。

「その前に退いてくださいますか。これ、拭かないと」

パンティを指さしてそう言うと、皇子は慌ててベッドから下りて背中を向けた。私は脱いである自分の制服からティッシュを取り出し、パンティに付いた精子を拭いて、それを脱いだ。

帰るときに拾えばいいやと、脱いだパンティを丸めてゴミ箱へ。ブラウスのボタンを止め直して、シーツの中に入って、皇子に声を掛けた。

「一緒に寝ましょうね」
「お、おう」
「こちらへどうぞ」

まくらの代わりに腕を伸ばすと、そこに頭を置いてごろんと横になった。かわいい皇子をぎゅっと抱きしめて、わざと皇子の顔に胸を当てた。

「ねぇ、皇子」
「やめろ、言うな」
「自慰行為をしたあげくパンティにぶっかける変態皇子」
「うあああ……」
「ふふっ、わたしは嬉しいです。それだけわたしで滾った証ですもの」
「おまえ変態だな」
「そうよ、わたしは変態なの」

皇子の手を取って腰を撫でさせた。

「ね?皇子の前なのに……」

何も履いてないことに気づいた皇子は、バッと飛び起きて、真っ赤な顔して走って行ってしまった。もっとイジメて遊びたかったのに残念。

「はぁ、……火照っちゃった」

自分の手をアソコに伸ばす。でも【自慰行為禁止】を思い出して、ぐっと手を握りしめた。あの人との約束だもの。破るようなまねをして裏切りたくない。

「……ねぇ、ご主人様。……あなたは一体……」

思い出すのは、あの日のことばかり。突然現れた、あの人のことばかり。

「わたしも裏切り者、ね」

でも思い出すとすぐに熱くなってしまうから、考えるのをやめて、また眠ることにした。


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