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鬼畜変態野郎とお口プレイ

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 時間が来るまでセックスをした。疲れ過ぎて眠くて、帰る予定を明日に変更しようかと思ったけど、予定通り帰ることにした。
 それが私の役目なのだ。
 パパとママのご機嫌を取るための手土産は必須だから、帰る前にいつものカフェに寄って、一人で持ち帰れる限界までバームクーヘンを注文した。包装に時間が掛かるって言われたから、ついでにお茶をしていくことに。
 一緒に過ごせる時間が伸びた。
 これが本当に最後の時間だ。

「おまえの親父さんもハーフアニマルってやつなのか?」
「ううん、パパはキツネだよ」
「何でハーフが生まれんだよ」
「ママが人間なの。ママが魔界に迷いこんだ所をパパが見つけて、お互い一目ぼれで即入れだったんだって。今もラブラブなんだよ。でもパパの持ってた『獣姦専門SMプレイ』って本を……ごめん、今のパパの秘密だった」
「おいおい、どっちが秘密なんだ。どっちも気になって今晩眠れるか心配だぜ」
「そうやって私のことを気にしてるがいいわ!」
「おまえよりも親父さんの方が気になるんだが」
「もうっ、パパなんて大嫌いっ!」

 何だかんだで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。寂しいけど、こればかりは仕方ない。

「お待たせしました」

 会話に割り込んできた店員さんが、時間の終わりを告げてきた。渋る気持ちはある。でも、ワガママはこれで終わり。

「ごめん、ちょっとお手洗いに」

 帰る前に用を足そうと立ち上がった。

「わかった」

 鬼畜変態野郎も立ち上がった。
 
「しばらく借りるぜ」

 店員さんにチップを渡し、私の手を引いて店の奥のトイレに入った。一連の行動にポカン状態の私を便座に下ろして、トドメの一言。

「ほら、やれよ」
「言葉が見つかりません!」

 私は顔を手で覆って嘆いた。
 最後の最後まで鬼畜変態野郎だ。どこまでも突き進む気だ。もはや、俺たちに出来ないことを平然とやってのける! そこにしびれる憧れるゥゥウ!!状態だ。
 冗談を言ってる場合ではなくて、これは予想外の展開。でもおしっこを出しとかないと、魔界の入り口まで遠いし、途中でトイレに行きたくなっても、お店もトイレもないような所だ。だからってお店のトイレでお漏らしプレイをしなくてもいいと思う。

「……うー……」
「もう慣れてんだろ。さっさと出せよ」
「さっさと出せるか! 出てけよ、この鬼畜変態野郎!」

 扉に背を預けて腕組んで偉そうに突っ立ってる鬼畜変態野郎をにらむと、「やれやれ」とあきれられた。

「今さら照れる仲でもねぇだろ」
「照れるとかの話じゃないの!」
「あー、ハイハイ、後ろ向いてりゃいいんだろ。ったく、めんどくせぇキツネだぜ」

 めんどくさそうに背中を向けた鬼畜変態野郎に拳を握りしめた。そうじゃなくてトイレから出て行けって殴ってやりたいが、殴った所で出て行かないだろうし、別のお仕置きに発展しそうだ。
 気は進まないけど、さっさと出すことにした。
 慣れたもので、何の抵抗もなく、ズボンと下着を脱いで便座に座る。んじゃ出すぜってキュッとおなかに力を入れたら、ナカからゴポゴポと液体が溢れてきた。

「ッッ」

 一昨日から昨日にかけて、いっぱい出されたからなんだろうけど、今、出てこなくても。出した野郎と同じでタイミングが悪い。
 あれ? これって普通?
 ナカダシをした次の日の話って雑誌で見たこともないし、エッチな本でもそれに関することを見たこともない。ナカダシ直後なら垂れるって知ってるけど。
 精液って思ってたけど、実は違う液体だったりしないよね?
 鬼畜変態野郎の精液だよね?

「ねぇ、ねぇ」

 私に背中を向けてる鬼畜変態野郎の上着をガシッとつかんだ。

「あ? 何だよ」
「アソコから液体が出てるんだけど、……これってあんたの精液だよね?」
「さぁ、知らね」
「知らない!?」
「見てないから確証がない」
「そ、そんな! どうしよう、……セックスし過ぎて、……わたしの体、……おかしくなったかも……」
「ったく、これだからアホのキツネは」

 もしもの時を考えると恐ろしくて、ブルブル震えていたら、鬼畜変態野郎がため息をはいて、向き合うようにしゃがんできた。

「触るぜ」
「うん」

 溢れ出てきた液を調べてくれるみたいで、アソコに向けて指を伸ばした。液体でグチャグチャになってる割れ目に指先が這う。入り口を見つけると、スッとナカに入っていった。

「……んん」
「声、我慢しろ」
「……ふぁ……」

 液体を掻き出すように指を動かしながら、もう片方の手で下腹部を押さえてきた。圧迫された子宮から、ダラッと液体が溢れ出てくる。
 でも、気持ち良いことよりも、液体の謎が勝ってるから、素直に快楽に走れない。それを分かってくれてるこの人は、ある程度ナカを掻き出した後、指を引っこ抜いてくれた。

「見ろ」

 液体でテカテカ光る指を顔の前に持ってきた。透明の液と白っぽい液が混ざりあってる。何だかいやらしく見えるのは気のせいだろうか。

「……それって」
「俺の精液とおまえの分泌液」
「おかしくない?」
「正常」
「……良かった」

 ホッと安心したのもつかの間、この人の手が頬をつかんできた。けっこう強めにつかまれたせいで口が半開き状態に。そしてその口に、液体まみれになった指をグボッと突っ込んできた。

「うっ、うーっ!?」

 それらの液体を絡ませるように、舌に指を這わせてくる。はき出したくなるほど生臭い味が口に広がった。

「おえっ」
「シィー、静かにしろ」

 静かに出来るかバカヤローって言ってやりたいけど、それを言うための口は、絶賛蹂躙中。

「舌を使え」
「っぐ」

 イヤだの意味を込めて指をガリィッと噛んだら、頬をつかんでる鬼畜変態野郎の手に力が込められた。
 それに負けじとガリィッと噛みついてると、舌打ちされてギロッとにらまれた。鬼畜を表した表情に、反抗心が一瞬で消滅した。
 心変わりしましたよ、反抗的な態度なんてとりませんよって伝えるために、この人の指をペロペロした。何もかも遅かった。

「予行練習だけにしてやろうと思ったが、反抗的な態度が気に喰わねえ」
「むぐぅ」
「……ぶっつけ本番、……おまえの大好きなお仕置タイムの時間だぜ」
「んうう」
「俺のアレ、舐めろ」

 お仕置としてフェラを要求された。フェラといえば、オクチでご奉仕。アレに舌を這わせて、吸ったり、くわえたり。つまりクチに含むからこそ、性的刺激がある。

「こんなモノをオクチに含めません。絶対にムリです」
「……こんなモノ、ねぇ」

 いつのまに取り出したのか、目の前にあるアレから顔を背けた。でも、頭をわしづかみにしたこの人の手が、アレと口を引っ付けようとしてくる。だからこの人の腰を掴んで全力で押し返した。

「キツネ様の小さくてプニプニのかわいいオクチになんてモノを入れようとしてるの!? それでも男なの!?」
「おまえのクチより小さいアソコに入ったモンだぜ。なんともねぇだろ」
「最低か!?」
「おら、観念して舐めろ」
「うぬぅぅ!」

 一生懸命押し返してたけど、鬼畜ド変態尻軽野郎のパワーに負けて、アレをほっぺたに擦り付けられた。

「もう! 分かったわよ!」

 どうせ舐めるまで続ける気だろうし、降参して舐めることに。

「舌、出せ」

 ちろっと舌を出すと、唇の上にアレを乗せてきた。エッチな雑誌で見たやり方を思い出して、アレに舌を這わせていく。
 唾液をいっぱいつけながら、アレの裏を舐め上げてチュッと吸い付いたり、固くて熱いアレが唇から伝わる。

(おっきくなってるけど……、ちゃんと……出来てる?……これでいいの?)

 ペロペロしながらこの人を見上げると、大きい手が髪の毛をなでてくれた。たったそれだけで安心して、またアレを舐め回した。
 ……これがナカを……
 そう思うと、自分の欲情に火がついたのがわかった。アレの感覚を体が思い出して、ほしがってるのだ。
 一昨日からヤりっぱなしなのに。でも、ヤりっぱなしだから、キモイチイイことを忘れられないのかも。
 それはこの人も同じだろうか。私ばっかり気持ちイイことをしてもらって、何だか……モヤモヤする。

「……あのっ」

 舐めるのをやめてアレをそっとつかんだ。

「……どうしたら、……あんたも、……気持ちよくなってくれる……?」

 そう言うと一瞬だけ驚いてた。でもすぐに真顔に戻して、唇にアレを押し当ててきた。

「くわえてみろ」
「……うん」

 おっきいアレの先を口に含む。これが私の限界みたいで、喉の奥まで押しやると、アレに歯が当たってしまった。

「先だけでいい。無理はするな」

 先っぽをくわえて、亀頭やらカリやらを舌で刺激すると、この人は自分のアレを手で扱きだした。

「かわいいことを言うおまえに、……一から教えてやりたいが、……今は時間がない」
「……んぅ、……ふぅ」
「……っ、……はぁ、……ぁ」

 静まり返ったトイレの中に、この人の吐息が響く。それにゾクリとくるモノがあって、それが気持ち良くて、荒い息と名前を漏らしてるこの人をジッと見つめた。

「……あー……そろそろ、……うごくなよ……」

 キモイチイイことに夢中で、無防備な表情がやけに官能的だと思った。その表情をもっと見たい……なんて。

「ッ」
「……ンンンッ!?」
「あーあ、動くなっつっただろ」

 平気で顔射をする鬼畜変態野郎にそんなこと思ってやるもんか。

「動くなっつったのに何で動くんだよ」
「口に出されると思ったの!」
「出そうとした」
「出そうとすんな!」
「次は飲め」
「飲めるか!」

 とんでもないことを言いながらも、顔に出した精液をウェットティッシュで拭いてくれる。何やかんやで後処理してくれる辺り、さすがご主人様だ。
 しかし何でこんなことになったんだろ。……そうだ、ナカダシされた液体についてだった。

「ナカダシされたあとって、次の日も出てくるもんなの? これが普通なの?」
「俺が知るか」
「出したの自分じゃん!? そーいうの責任逃れっていうんだよ!?」
「おい、俺を何だと思ってやがる。責任くらいとるつもりだぜ」
「ううん、そういう話はしてないの」
「……あっそ」
「でも、次の日も出てくるの嫌だな。下着が汚れるし、何か精液って匂うし」
「それを出されてイキまくったくせによく言うぜ」
「はぁー……、何であんたってこうあるんだろ」
「おまえ少し調子に乗ってきてんな。……ほら、キレイになったぜ」
「ありがとう!」

 キレイにしてもらったお礼を言うと、ワシャワシャと頭をなで回してきた。

「頑張ったな、気持ち良かったぜ」
「えへへ!」

 オクチでしたことを褒めてくれた事が嬉しくて笑ってると、頭をなでてた手が頬っぺたに添えられた。
 グッと顔を固定されると、この人の顔が近づいてきた。それに合わせて目を閉じると、チュッと唇が重なった。
 お互いの唇を啄む。
 でも、この人の柔らかさを堪能する前に唇が離れた。この人の唇は柔らかくて好きなのに、とても残念だ。

「ここでお別れだ」
「……へ?」
「首輪の意味、忘れんじゃねぇぞ」

 何の話って聞く前に、この人は立ち上がって私に背中を向けた。無意識にこの人に手を伸ばしたけど、何もつかむことができず、トイレから出て行ってしまった。
 さすがに店内にいるんじゃないかと、急いでトイレから出ても姿はなかった。
 隠れてるんじゃないかとお店の中を見渡してたら、店員さんが慌てて声を掛けてくれた。

「お連れ様は帰られましたよ」

 出会いも突然なら、別れも突然だ。
 お別れの覚悟はしていたけど、こんなにもあっけなく終わるなんて想像してなかった。

「ほんとにサイテーな男」

 もっとちゃんとお別れしたかった。
 一生の思い出に残るように、キレイに終わりたかった。
 これじゃ本当にヤリ逃げされたみたいじゃないか。いろいろな意味で一生思い出に残りそうだけど。

「結局最後まで、行くなって言ってくれなかったな。ヤリ目的だから当たり前だろうけど、……ウソでもいいから……」

 ボロボロと涙がこぼれ落ちた。
 ずっと我慢していた負の感情が爆発して、泣かずにいられなかった。
 我慢すら出来なかった。

「おっ、お客さま!?」

 悔しいかな。
 どうやら私は鬼畜変態野郎のことが大好きで、大好き過ぎて、こんなにも愛を覚えてしまったらしい。
 きっともう忘れられない。
 この首輪がある限り、私はあの人に縛られたまま。
 名前も知らないあの人に、ずっと恋をし続けるんだ。




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