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ナディシアは、抱きかかえられたまま使用人たちに挨拶をして、部屋まで運ばれた。
「もう恥ずかしいわ…。」
使用人も少なくて、自分のことは自分でするのではなかったの?!
玄関に並ぶほどいるなんて聞いてないわ。
今は、シュトーレンが自分の部屋へ着がえに行っており、ナディシア1人頭を抱えていた。
そんなナディシアをカシス家の侍女が世話をしてくれる。
「奥様。お着替えをしましょう。湯浴みの準備も終わっています。」
お、奥様?
何だか照れくさいわ…。
…あれ?そういえば、
「ミリアとサイラは?」
「只今、他のものへの挨拶と屋敷の案内をしております。すぐにお戻りになりますよ。」
「そう。」
「それでは、湯浴みのお手伝いを、」
「いえ、良いわ。自分で出来るから。」
「しかし…」
「大丈夫よ。」
「…さようでございますか。それでは、扉の前にいますので、何かございましたらお呼びください。」
「分かったわ。ありがとう。」
ナディシアは、湯船に入って一息ついた。
「ふぁ~、良いお湯。気持ちがいいわ。」
そして、ふと思った。
「レン様も入るわよね?それとも他にもあるのかしら?まだ家を見て回れていないから、設備や規模が分からないわ。……とりあえず早く出ましょう。」
ナディシアは、早々に湯船からあがった。
「えーと、服は…」
近くにタオルはあったものの、服は見当たらない。
「失礼したします。」
困っていると、扉の外から声をかけられた。
ナディシアは、バスタオルを身体に巻き、そっと扉を開け、隙間から外をみた。
「寝間着をご用意いたしました。」
ナディシアは侍女からそれを受け取り、驚いた。
「何、これ…」
明らかに、質量の少ない畳まれた布。
「いつもの寝間着の半分以下の厚さしかない。」
恐る恐る畳まれている布を広げていく。
「うわぁ、向こう側が見えるわ。」
薄手のレースが付いたロングドレス。
「下着は……紐?」
布部分が殆ど無い。
「む、胸当ては……………ない。」
これでは、全てが丸見えではないのぉぉぉ?!
「奥様、着替えは済みましたでしょうか?」
「え、あ、もう少し待って。」
仕方ないわ!
ナディシアは、急いで手渡された寝間着を着る。
「やっぱり…」
丸見え…。
「はぁ…。」
「奥様?」
「あ、出来たわ。」
ナディシアが再び扉から顔を出すと、
「ガウンを。」
と、侍女がガウンをかけてくれた。
はぁ…助かった。
「ありがとう。」
「旦那様がいらっしゃるまでお部屋でお待ち下さい。お茶を用意いたします。」
「分かったわ。」
お茶はミリアが持ってきた。
「ミリア…。」
「奥様?」
「奥様か、違和感しかないわ…。」
「しかし、」
「分かっているわ。披露宴も終わったし、正式にこの屋敷の主の妻だもの。慣れないとね。……あなたの顔を見て少し落ち着いたわ。」
「それは良うございました。」
「サイラは?」
「荷解きをしております。」
「そう。」
「そろそろ、私も失礼いたします。」
「…レン様がいらっしゃるのよね?」
「作用でございます。」
さっきの続き…。
「わ、分かったわ。」
「では、失礼いたします。」
「ええ。また明日。」
ミリアも出ていき、ナディシアひとりになる。
…緊張してきた。
そして、
コンコンコン
部屋にいくつがある扉の1つが叩かれた。
廊下側の扉ではない?
「はい。」
「俺だ。入ってもいいか?」
「は、はい。」
扉が開きシュトーレンが部屋へ入ってくる。
「待たせたな。」
「いいえ。えーと、そちらの扉は、レン様の部屋へ?」
「あ、そうか。説明がまだだったか。すまない。ここはシアの私室で向こうが、ふ、ゴホン…ふたりの寝室だ。そして、その向こうが俺の私室になっている。」
「なるほど。」
「明日、きちんと屋敷を案内しよう。」
「はい、よろしくお願いします。」
「茶を飲んでいたのか?」
「はい。レン様も飲みます?」
「ああ、1杯だけ貰おう。」
そう言いソファに座ると、ナディシアはシュトーレンへお茶を用意した。
「ありがとう。」
それから、ふたりは会話なくお茶をすすった。
「もう恥ずかしいわ…。」
使用人も少なくて、自分のことは自分でするのではなかったの?!
玄関に並ぶほどいるなんて聞いてないわ。
今は、シュトーレンが自分の部屋へ着がえに行っており、ナディシア1人頭を抱えていた。
そんなナディシアをカシス家の侍女が世話をしてくれる。
「奥様。お着替えをしましょう。湯浴みの準備も終わっています。」
お、奥様?
何だか照れくさいわ…。
…あれ?そういえば、
「ミリアとサイラは?」
「只今、他のものへの挨拶と屋敷の案内をしております。すぐにお戻りになりますよ。」
「そう。」
「それでは、湯浴みのお手伝いを、」
「いえ、良いわ。自分で出来るから。」
「しかし…」
「大丈夫よ。」
「…さようでございますか。それでは、扉の前にいますので、何かございましたらお呼びください。」
「分かったわ。ありがとう。」
ナディシアは、湯船に入って一息ついた。
「ふぁ~、良いお湯。気持ちがいいわ。」
そして、ふと思った。
「レン様も入るわよね?それとも他にもあるのかしら?まだ家を見て回れていないから、設備や規模が分からないわ。……とりあえず早く出ましょう。」
ナディシアは、早々に湯船からあがった。
「えーと、服は…」
近くにタオルはあったものの、服は見当たらない。
「失礼したします。」
困っていると、扉の外から声をかけられた。
ナディシアは、バスタオルを身体に巻き、そっと扉を開け、隙間から外をみた。
「寝間着をご用意いたしました。」
ナディシアは侍女からそれを受け取り、驚いた。
「何、これ…」
明らかに、質量の少ない畳まれた布。
「いつもの寝間着の半分以下の厚さしかない。」
恐る恐る畳まれている布を広げていく。
「うわぁ、向こう側が見えるわ。」
薄手のレースが付いたロングドレス。
「下着は……紐?」
布部分が殆ど無い。
「む、胸当ては……………ない。」
これでは、全てが丸見えではないのぉぉぉ?!
「奥様、着替えは済みましたでしょうか?」
「え、あ、もう少し待って。」
仕方ないわ!
ナディシアは、急いで手渡された寝間着を着る。
「やっぱり…」
丸見え…。
「はぁ…。」
「奥様?」
「あ、出来たわ。」
ナディシアが再び扉から顔を出すと、
「ガウンを。」
と、侍女がガウンをかけてくれた。
はぁ…助かった。
「ありがとう。」
「旦那様がいらっしゃるまでお部屋でお待ち下さい。お茶を用意いたします。」
「分かったわ。」
お茶はミリアが持ってきた。
「ミリア…。」
「奥様?」
「奥様か、違和感しかないわ…。」
「しかし、」
「分かっているわ。披露宴も終わったし、正式にこの屋敷の主の妻だもの。慣れないとね。……あなたの顔を見て少し落ち着いたわ。」
「それは良うございました。」
「サイラは?」
「荷解きをしております。」
「そう。」
「そろそろ、私も失礼いたします。」
「…レン様がいらっしゃるのよね?」
「作用でございます。」
さっきの続き…。
「わ、分かったわ。」
「では、失礼いたします。」
「ええ。また明日。」
ミリアも出ていき、ナディシアひとりになる。
…緊張してきた。
そして、
コンコンコン
部屋にいくつがある扉の1つが叩かれた。
廊下側の扉ではない?
「はい。」
「俺だ。入ってもいいか?」
「は、はい。」
扉が開きシュトーレンが部屋へ入ってくる。
「待たせたな。」
「いいえ。えーと、そちらの扉は、レン様の部屋へ?」
「あ、そうか。説明がまだだったか。すまない。ここはシアの私室で向こうが、ふ、ゴホン…ふたりの寝室だ。そして、その向こうが俺の私室になっている。」
「なるほど。」
「明日、きちんと屋敷を案内しよう。」
「はい、よろしくお願いします。」
「茶を飲んでいたのか?」
「はい。レン様も飲みます?」
「ああ、1杯だけ貰おう。」
そう言いソファに座ると、ナディシアはシュトーレンへお茶を用意した。
「ありがとう。」
それから、ふたりは会話なくお茶をすすった。
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