17 / 27
17
しおりを挟む
温かい。この温もりをもっと…。
ナディシアは目を閉じたまま、温もりに手を伸ばし寄り添った。
「…ア、シア。」
「ん…?」
呼ばれているのに気付き目を開けると、眼の前にシュトーレンの顔があった。
「レン様?!」
「おはよう。」
「…あ、そうか。」
結婚したんだった。
「レン様、おはよう。」
「起きたようなら、離れてくれないか。」
「え?あ、ごめんなさい。…あ。」
ナディシアは、くっついていたシュトーレンの身体から離れようとしたが、寝間着の胸元が乱れ、シュトーレンから服の中が見える形となった。シュトーレンは慌てて視線を反らし、ナディシアを腕の中へ抱え込んだ。
「レン様?」
ナディシアは、シュトーレンの腕の中から顔を見上げている。
「…離れるよう言ったのに、すまない。」
「私は温かいからこれが良いわ。」
そう言いながら、ナディシアはシュトーレンの背に腕を回した。
「シア?!」
「…胸の音が早い。」
「それは!」
「この音と温もりで、もう少し寝れそう…。」
「このままか?!」
「…はい。」
「あ、いや、しかし…」
その時、
コンコンコン
寝室のドアが叩かれた。
この部屋は、寝室と寛ぎスペースの2室からなっている。
「シア、時間のようだ。起きなくては!」
「…分かりました。」
ナディシアは渋々身体を離し起きようとする。しかし…
「待て!」
シュトーレンの腕に力が入り離れられなかった。
「レン様、どうしたの?時間なのでしょ?」
「そうだ。…俺が先に着替えるから。」
「ん?…分かりました。」
シュトーレンは、ベッドから出ながら器用に掛け布団をナディシアに巻き付けると、早足で着替えに向かった。
まるでミノムシ…何?この状況。
少しすると、ミリアとサイラが朝の身支度セットを持ってやってきた。
「ふたりともおはよう。」
「「おはようございます。」…どういう状況でございますか?」
「…私も聞きたいわ。」
ナディシアは、ミノムシ状態の布団からモゾモゾと這い出した。
「添い寝して、レン様の言われた通りにしたわ。これで子ができるのよね?」
抜け出てすぐの言葉に違和感があったのだが、ミリアとサイラは会話を続けた。
「そうでしたか。おめでとうございます。」
「身体を清める準備もいたします。」
「ん?何故?もう出発よね?」
「しかし、汗を流すくらいは許されるかと思います。ベタついて気持ち悪いですよね?」
「そういうものなの?サイラは、旅なれしているのね。」
「旅ですか?慣れるほどしていませんが…。」
それまでの会話から何かを悟ったミリアはナディシアへ確認を込めて質問した。
「ナディシア様。痛む所はございますか?」
そういえば、馬車はお尻が痛くなると言っていたわね。長旅を心配してくれているのね。
「馬車はクッションが引き詰められていてふわふわだったし、どこも痛くないわよ。何も問題ないわ。」
「ナディシア様。」
この答えを聞いて確信したミリアは、男女のあれこれをナディシアへ淡々と語るのだった。
ナディシアは目を閉じたまま、温もりに手を伸ばし寄り添った。
「…ア、シア。」
「ん…?」
呼ばれているのに気付き目を開けると、眼の前にシュトーレンの顔があった。
「レン様?!」
「おはよう。」
「…あ、そうか。」
結婚したんだった。
「レン様、おはよう。」
「起きたようなら、離れてくれないか。」
「え?あ、ごめんなさい。…あ。」
ナディシアは、くっついていたシュトーレンの身体から離れようとしたが、寝間着の胸元が乱れ、シュトーレンから服の中が見える形となった。シュトーレンは慌てて視線を反らし、ナディシアを腕の中へ抱え込んだ。
「レン様?」
ナディシアは、シュトーレンの腕の中から顔を見上げている。
「…離れるよう言ったのに、すまない。」
「私は温かいからこれが良いわ。」
そう言いながら、ナディシアはシュトーレンの背に腕を回した。
「シア?!」
「…胸の音が早い。」
「それは!」
「この音と温もりで、もう少し寝れそう…。」
「このままか?!」
「…はい。」
「あ、いや、しかし…」
その時、
コンコンコン
寝室のドアが叩かれた。
この部屋は、寝室と寛ぎスペースの2室からなっている。
「シア、時間のようだ。起きなくては!」
「…分かりました。」
ナディシアは渋々身体を離し起きようとする。しかし…
「待て!」
シュトーレンの腕に力が入り離れられなかった。
「レン様、どうしたの?時間なのでしょ?」
「そうだ。…俺が先に着替えるから。」
「ん?…分かりました。」
シュトーレンは、ベッドから出ながら器用に掛け布団をナディシアに巻き付けると、早足で着替えに向かった。
まるでミノムシ…何?この状況。
少しすると、ミリアとサイラが朝の身支度セットを持ってやってきた。
「ふたりともおはよう。」
「「おはようございます。」…どういう状況でございますか?」
「…私も聞きたいわ。」
ナディシアは、ミノムシ状態の布団からモゾモゾと這い出した。
「添い寝して、レン様の言われた通りにしたわ。これで子ができるのよね?」
抜け出てすぐの言葉に違和感があったのだが、ミリアとサイラは会話を続けた。
「そうでしたか。おめでとうございます。」
「身体を清める準備もいたします。」
「ん?何故?もう出発よね?」
「しかし、汗を流すくらいは許されるかと思います。ベタついて気持ち悪いですよね?」
「そういうものなの?サイラは、旅なれしているのね。」
「旅ですか?慣れるほどしていませんが…。」
それまでの会話から何かを悟ったミリアはナディシアへ確認を込めて質問した。
「ナディシア様。痛む所はございますか?」
そういえば、馬車はお尻が痛くなると言っていたわね。長旅を心配してくれているのね。
「馬車はクッションが引き詰められていてふわふわだったし、どこも痛くないわよ。何も問題ないわ。」
「ナディシア様。」
この答えを聞いて確信したミリアは、男女のあれこれをナディシアへ淡々と語るのだった。
1
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
〈短編版〉騎士団長との淫らな秘め事~箱入り王女は性的に目覚めてしまった~
二階堂まや
恋愛
王国の第三王女ルイーセは、女きょうだいばかりの環境で育ったせいで男が苦手であった。そんな彼女は王立騎士団長のウェンデと結婚するが、逞しく威風堂々とした風貌の彼ともどう接したら良いか分からず、遠慮のある関係が続いていた。
そんなある日、ルイーセは森に散歩に行き、ウェンデが放尿している姿を偶然目撃してしまう。そしてそれは、彼女にとって性の目覚めのきっかけとなってしまったのだった。
+性的に目覚めたヒロインを器の大きい旦那様(騎士団長)が全面協力して最終的にらぶえっちするというエロに振り切った作品なので、気軽にお楽しみいただければと思います。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
18禁の乙女ゲームの悪役令嬢~恋愛フラグより抱かれるフラグが上ってどう言うことなの?
KUMA
恋愛
※最初王子とのHAPPY ENDの予定でしたが義兄弟達との快楽ENDに変更しました。※
ある日前世の記憶があるローズマリアはここが異世界ではない姉の中毒症とも言える2次元乙女ゲームの世界だと気付く。
しかも18禁のかなり高い確率で、エッチなフラグがたつと姉から嫌って程聞かされていた。
でもローズマリアは安心していた、攻略キャラクターは皆ヒロインのマリアンヌと肉体関係になると。
ローズマリアは婚約解消しようと…だが前世のローズマリアは天然タラシ(本人知らない)
攻略キャラは婚約者の王子
宰相の息子(執事に変装)
義兄(再婚)二人の騎士
実の弟(新ルートキャラ)
姉は乙女ゲーム(18禁)そしてローズマリアはBL(18禁)が好き過ぎる腐女子の処女男の子と恋愛よりBLのエッチを見るのが好きだから。
正直あんまり覚えていない、ローズマリアは婚約者意外の攻略キャラは知らずそこまで警戒しずに接した所新ルートを発掘!(婚約の顔はかろうじて)
悪役令嬢淫乱ルートになるとは知らない…
★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい
石原 ぴと
恋愛
学園の入学式。デジャブを覚えた公爵令嬢は前世を思い出した。
――ああ、これはあのろくでもない18禁乙女ゲームの世界だと。
なぜなら、この世界の攻略対象者は特殊性癖持ちのへんたいばかりだからだ。
1、第一王子 照れ屋なM男である。
2、第二王子 露出性交性愛。S。
3、王弟の公爵閣下 少女性愛でM。
4、騎士団長子息で第一皇子の側近 ドMの犬志願者。
5、生徒会長 道具や媚薬を使うのが好きでS。
6、天才魔術教師 監禁ヤンデレ。
妹と「こんなゲーム作った奴、頭おかしい」などと宣い、一緒にゲームしていた頃が懐かしい。
――ああ、いっそ死んで生まれ変わりたい。
と思うが、このゲーム攻略対象の性癖を満たさないと攻略対象が魔力暴走を起こしてこの大陸沈むんです。奴ら標準スペックできちがい並みの魔力量を兼ね備えているので。ちな全員絶倫でイケメンで高スペック。現実世界で絶倫いらねぇ!
「無理無理無理無理」
「無理無理無理無理無理無理」」
あれ…………?
イケメン御曹司、地味子へのストーカー始めました 〜マイナス余命1日〜
和泉杏咲
恋愛
表紙イラストは「帳カオル」様に描いていただきました……!眼福です(´ω`)
https://twitter.com/tobari_kaoru
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は間も無く死ぬ。だから、彼に別れを告げたいのだ。それなのに……
なぜ、私だけがこんな目に遭うのか。
なぜ、私だけにこんなに執着するのか。
私は間も無く死んでしまう。
どうか、私のことは忘れて……。
だから私は、あえて言うの。
バイバイって。
死を覚悟した少女と、彼女を一途(?)に追いかけた少年の追いかけっこの終わりの始まりのお話。
<登場人物>
矢部雪穂:ガリ勉してエリート中学校に入学した努力少女。小説家志望
悠木 清:雪穂のクラスメイト。金持ち&ギフテッドと呼ばれるほどの天才奇人イケメン御曹司
山田:清に仕えるスーパー執事
乙女ゲーム王子ルートハッピーエンド役目を終えた悪役令嬢は王太子殿下の溺愛=セックスに………
KUMA
恋愛
ルルーシェは転生者見事悪役令嬢を演じた、そして王子から婚約破棄されヒロインの男爵のマトリーヌ・ラズベリーと王子の結婚は行われた。
そこで騒ぎをお越しルルーシェはその場で、処刑され二人は幸せな生活…何て馬鹿な事は私はしない。
悪役令嬢として婚約破棄されて、自由になれただからもう貴方方は必要ない。
その判断が悪役令嬢ルルーシェのエロ殿下ルートの始まり…
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる