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75 ダリオンのバリア訓練
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すぐに訓練の時間は作られ、ザック様はリオン兄様にバリア魔法を教えることになった。
そりゃそうだ。バリアは2日くらいしか持たないらしいから、急いで覚えなくてはならない。
「これを僕にやれと?」
「できるだろ?」
「そんな簡単に…。魔法が苦手だったのが嘘のようだね。」
「ああ。スウィンティー家の皆には、感謝しているよ。」
「『皆』ね~。」
「特にリーナ…と言うのは、言わなくても分かっていると思ってな。」
「はいはい。分かっていますよ。」
「リオン兄様。頑張ってください。」
『まだ離れ難い』と言うザック様に呆れたハンス隊長が、訓練を私も見学できるよう取り計らってくれた。
その為、アルが家へ報告に飛んでくれている。
リオン兄様にも会えたし、良かった。
「リーナ、ありがとう。…ナイス、頑張るしかないみたいだよ。」
ダリオンに話しかけられた契約獣のナイスは頷く。
ナイスは口数が少ないが、表情や仕草で気持ちを伝える。
「では、続きを。俺にバリアをかけてみてくれ。」
「…リーナにかけるのじゃ駄目かな?」
「何故?」
「ザックの手を握るとか…考えただけで、ちょっと…。」
「身体に触れていれば、手を握る必要はない。」
「…はいはい。」
「それに失敗して、リーナに何かあったら困るだろう。」
「それは困るな。」
「ザック様に何かあっても困ります!」
「その時は、リーナも協力して助けてくれ。」
「そうだな。リーナなら何とかしてくれそうだ。」
「リオン兄様まで…。」
そして、リオン兄様はザック様の左肩に触れ、練習を始めた。
「う~ん…違うな。こうか?…出来ない。だったら…」
小声でブツブツ言いながら試行錯誤していく。その間、ザック様は口を開かず、只々その場に立っていた。
「お!」
ザック様の肩から腕がバリアの膜に覆われ、少しして消えた。
「リオン兄様、惜しいです。」
「うん。だんだん掴めてきたよ。」
◇
「はぁ…疲れた。リーナ、少し早いけど、騎士団の食堂で、夕飯を一緒にどう?」
「お昼を食べれてなかったので嬉しいですが…。」
「そうだったのか!?」
「ええ。タイミングが悪く…。」
そう。アイラン様に絡まれたのは、軽食をとりに行こうとしていた途中だった。
「気が付かなくてごめん。」
ザック様が、肩を落とす。
「いいえ、私も言いませんでしたし。…食堂には、騎士ではなくても行って良いのですか?」
「大丈夫、大丈夫!味も、案外イケるよ。」
「それなら…」
「帰りは、送っていくから安心して。父さんとロンドに連絡しておこう。」
「よろしくお願いします。」
「いや、帰りは俺が送るよ。」
「ザックが?」
リオン兄様は、ジッとザック様を見た。
ザック様は、にこりと笑う。
「………はぁ、分かった。そう連絡しておくよ。」
何?今の間…。
そりゃそうだ。バリアは2日くらいしか持たないらしいから、急いで覚えなくてはならない。
「これを僕にやれと?」
「できるだろ?」
「そんな簡単に…。魔法が苦手だったのが嘘のようだね。」
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「『皆』ね~。」
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「はいはい。分かっていますよ。」
「リオン兄様。頑張ってください。」
『まだ離れ難い』と言うザック様に呆れたハンス隊長が、訓練を私も見学できるよう取り計らってくれた。
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「では、続きを。俺にバリアをかけてみてくれ。」
「…リーナにかけるのじゃ駄目かな?」
「何故?」
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「身体に触れていれば、手を握る必要はない。」
「…はいはい。」
「それに失敗して、リーナに何かあったら困るだろう。」
「それは困るな。」
「ザック様に何かあっても困ります!」
「その時は、リーナも協力して助けてくれ。」
「そうだな。リーナなら何とかしてくれそうだ。」
「リオン兄様まで…。」
そして、リオン兄様はザック様の左肩に触れ、練習を始めた。
「う~ん…違うな。こうか?…出来ない。だったら…」
小声でブツブツ言いながら試行錯誤していく。その間、ザック様は口を開かず、只々その場に立っていた。
「お!」
ザック様の肩から腕がバリアの膜に覆われ、少しして消えた。
「リオン兄様、惜しいです。」
「うん。だんだん掴めてきたよ。」
◇
「はぁ…疲れた。リーナ、少し早いけど、騎士団の食堂で、夕飯を一緒にどう?」
「お昼を食べれてなかったので嬉しいですが…。」
「そうだったのか!?」
「ええ。タイミングが悪く…。」
そう。アイラン様に絡まれたのは、軽食をとりに行こうとしていた途中だった。
「気が付かなくてごめん。」
ザック様が、肩を落とす。
「いいえ、私も言いませんでしたし。…食堂には、騎士ではなくても行って良いのですか?」
「大丈夫、大丈夫!味も、案外イケるよ。」
「それなら…」
「帰りは、送っていくから安心して。父さんとロンドに連絡しておこう。」
「よろしくお願いします。」
「いや、帰りは俺が送るよ。」
「ザックが?」
リオン兄様は、ジッとザック様を見た。
ザック様は、にこりと笑う。
「………はぁ、分かった。そう連絡しておくよ。」
何?今の間…。
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