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70 アイラン連行される
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「何なの?」
アイラン様は、自分の身体を見回している。
「だから、『捕まえた』といったと思うが、聞いてなかったかな?」
「あ、これは他の奴には触らせないぞとかいう独占欲ね!口で言ってくれないと伝わらないわよぉ!」
頭、お花畑ね…。
「少し違う。『他の奴には』ではなくて『他の奴を』だ。」
「ん?」
アイラン様は首を傾げている。
「隊長。魔道具ください。」
「ああ。」
隊長さんはロープとバングルのような物を持ってアイラン様へ近づいた。そして、バングルをアイラン様の右腕、肩に近い部分につけ、ロープでアイラン様の手を後ろに縛った。
「ちょっと、何するのよ!」
アイラン様の問いかけには、隊長さんが答えた。
「何するも何も、悪いことをしたら捕まるのが分からないのか?」
「悪い事はしてないわよ!」
「これだけの人数がいて、公爵令嬢に危害を加えては言い逃れはできないと思うが?」
周りを見ると、大勢の学校関係者が集まっていた。ナンシー様もいる。
呼んできてくれたのかしら?
私はナンシー様へ『もう大丈夫ですよ』の意味を込めて、小さく手を振った。
それが見えたのだろう。ナンシー様は大きく手を振り返してくれた。
「さぁ、行くぞ。連れて行け!魔導具をつけているからと言って気を抜くなよ!」
「はい!」
「ちょっと離しなさいよ!アイザック様!なんとか言って!愛する私が連れて行かれるのよ?」
「何を勘違いをしている?俺の愛する人はリーナだけだ。」
それを聞いたアイラン様は、表情を変えこちらを睨んだ。
「何なの貴方?何者なの?」
「私はサリーナ·スウィンティーです。」
「それ、誰よ。」
「私ですが?」
「そういう事じゃないわよ!」
「行くぞ!」
話は終わらない内に、アイラン様は騎士たちに囲まれて、連れて行かれた。
周りに集まっていた学校関係者達も散らばっていく。
その場に残ったのは、私、ザック様、隊長さん、契約獣たちだった。
「リーナ。大丈夫かい?」
「はい。思っていたより早く来てくださったので。」
「それは、彼のおかげだ。ハンニー嬢がリーナに向かっていった時点で公爵に連絡が入った様だよ。」
ザック様は空を見上げる。
そこには、アイラン様の見張りについていたジャズの姿があった。
「ジャズ!」
名前を呼ぶと、こちらへ向かって降りてきた。
「サリーナ、ブジ?」
「ええ。貴方のお陰でね。ありがとう。」
「ヨカッタ。ジャックノトコロ、モドル。」
「気をつけてね。」
「ハイ。」
ジャズは再び空に上がり、王城の方向へ飛んでいった。
「リーナ。こちらは俺の所属している第2部隊のハンス隊長だ。」
「サリーナ·スウィンティー様。お疲れの所申し訳ございませんが、お話を伺いたいのです。」
「はい。」
「隊長。自分も同席してよろしいでしょうか?」
「ああ。ここでは周りの目もある。場所を変えよう。」
私達は学校を出て、騎士団の詰め所へ移動することにした。
アイラン様は、自分の身体を見回している。
「だから、『捕まえた』といったと思うが、聞いてなかったかな?」
「あ、これは他の奴には触らせないぞとかいう独占欲ね!口で言ってくれないと伝わらないわよぉ!」
頭、お花畑ね…。
「少し違う。『他の奴には』ではなくて『他の奴を』だ。」
「ん?」
アイラン様は首を傾げている。
「隊長。魔道具ください。」
「ああ。」
隊長さんはロープとバングルのような物を持ってアイラン様へ近づいた。そして、バングルをアイラン様の右腕、肩に近い部分につけ、ロープでアイラン様の手を後ろに縛った。
「ちょっと、何するのよ!」
アイラン様の問いかけには、隊長さんが答えた。
「何するも何も、悪いことをしたら捕まるのが分からないのか?」
「悪い事はしてないわよ!」
「これだけの人数がいて、公爵令嬢に危害を加えては言い逃れはできないと思うが?」
周りを見ると、大勢の学校関係者が集まっていた。ナンシー様もいる。
呼んできてくれたのかしら?
私はナンシー様へ『もう大丈夫ですよ』の意味を込めて、小さく手を振った。
それが見えたのだろう。ナンシー様は大きく手を振り返してくれた。
「さぁ、行くぞ。連れて行け!魔導具をつけているからと言って気を抜くなよ!」
「はい!」
「ちょっと離しなさいよ!アイザック様!なんとか言って!愛する私が連れて行かれるのよ?」
「何を勘違いをしている?俺の愛する人はリーナだけだ。」
それを聞いたアイラン様は、表情を変えこちらを睨んだ。
「何なの貴方?何者なの?」
「私はサリーナ·スウィンティーです。」
「それ、誰よ。」
「私ですが?」
「そういう事じゃないわよ!」
「行くぞ!」
話は終わらない内に、アイラン様は騎士たちに囲まれて、連れて行かれた。
周りに集まっていた学校関係者達も散らばっていく。
その場に残ったのは、私、ザック様、隊長さん、契約獣たちだった。
「リーナ。大丈夫かい?」
「はい。思っていたより早く来てくださったので。」
「それは、彼のおかげだ。ハンニー嬢がリーナに向かっていった時点で公爵に連絡が入った様だよ。」
ザック様は空を見上げる。
そこには、アイラン様の見張りについていたジャズの姿があった。
「ジャズ!」
名前を呼ぶと、こちらへ向かって降りてきた。
「サリーナ、ブジ?」
「ええ。貴方のお陰でね。ありがとう。」
「ヨカッタ。ジャックノトコロ、モドル。」
「気をつけてね。」
「ハイ。」
ジャズは再び空に上がり、王城の方向へ飛んでいった。
「リーナ。こちらは俺の所属している第2部隊のハンス隊長だ。」
「サリーナ·スウィンティー様。お疲れの所申し訳ございませんが、お話を伺いたいのです。」
「はい。」
「隊長。自分も同席してよろしいでしょうか?」
「ああ。ここでは周りの目もある。場所を変えよう。」
私達は学校を出て、騎士団の詰め所へ移動することにした。
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