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63 アイザック成人祝の舞踏会
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普段、身分関係なく騎士をしているアイザックも、この時ばかりは王族であらねばならない。その為、婚約者とはいえ入場は別になる。
ザック様は騎士団に入り、前以上に逞しく精悍な顔立ちになった。
今日も格好いい…。
うっとりしていると、ザック様はこちらを見て一瞬固まった後、笑顔をくれた。
陛下の挨拶が終わると、ザック様はこちらへ来ようとするが、周りに止められている。
そりゃそうよ、本日の主役だもの。
招待客の挨拶を受けないと。
ザック様は、パールを撫でながら何やら耳打ちをしているのが見える。
“リーナ。早く終わらせるから待っててって。”
「クスッ。」
思わず笑ってしまった。
早く終わらそうとして、終わるものでもないでしょうに。
「リーナ、どうしたんだい?」
「ザック様が、挨拶を早く終わらそうとしているわ。」
「あ~、確かにこちらをチラチラ見ているな。俺達も早く挨拶に行こう。」
私達も他の貴族同様、挨拶の列に並んだ。
ん?
なんか変な感じ…。
王族に近づくにつれ、空気が淀んでくる。
「お兄様。」
「ああ。」
お兄様もこの空気を感じているようだ。表情がいつもより硬い。
王族の側に仕えているお父様へも目を向けると、顔が険しくなっていた。
お父様も気づいているみたいね。
この淀みの原因は…
サリーナが周囲の魔力を探ると、すぐに数組前の親子から放たれているものであると分かった。
さっきまでは何も感じなかったのに…。
まさか、王族に危害を加える気!?
“パール。”
“分かっているわ。”
挨拶中ザック様の横で伏せていたパールが立ち上がる。
“アルとルーフも準備しておいてね。”
“おう。”
“分かった。”
“アルはお父様の元へ。そして、何かあったら陛下まで飛んで。その旨もお父様へ伝えて。”
“は~い。”
アルはお父様の元へ飛び、肩に止まった。
アルが私の契約獣だというのは周知の事実。契約獣が物珍しくざわついてはいたが、お父様の元へ飛んだ事については、気にする者はいなかった。
お父様はこちらを見た。
その目は了承した事を語っている。
そして、親子の順番になった。
「陛下、王妃様、アイザック殿下、成人誠におめでとうございます。」
「ハンニー伯爵、今日は息子の為に感謝する。」
「ハンニー伯爵、感謝する。」
ハンニー伯爵…。
最近、愛人の元に産まれた娘さんを引き取ったのよね。
「これは、我が娘アイランでございます。お見知りおきを…。」
「よろしくお願いいたします。」
娘アイランが、言葉を発した瞬間。淀みが一気に広がった。
…が、一瞬で消え失せた。
「なぜ!?」
アイランは、礼をとって下に向いていた顔を勢いよく上げた。
「おい!アイラン!頭を下げろ!」
「え、ええ。」
ハンニー伯爵に言われ、アイランはすぐに元の姿勢に戻った。
「何が『何故』なのだ?」
陛下は、いつもより低い声でアイランに問いかける。
「い、いえ。何も…。」
陛下の目は親子を探っているようだ。
「……………まぁ、良い。今日はアイザックの祝いの日。楽しんでくれ。」
「ありがとうございます。」
親子は、そのまま陛下の前から下がった。
魔力が強い王族方も違和感は感じたはず。
お咎めが何もなしとは………未然に防げたし、今日は様子見と言う所かしら?
まぁ、見張りは付くのでしょうけど。
私はまたお父様を見た。目が合ったお父様は小さく頷いた。
大丈夫…という事かしらね。
ザック様は騎士団に入り、前以上に逞しく精悍な顔立ちになった。
今日も格好いい…。
うっとりしていると、ザック様はこちらを見て一瞬固まった後、笑顔をくれた。
陛下の挨拶が終わると、ザック様はこちらへ来ようとするが、周りに止められている。
そりゃそうよ、本日の主役だもの。
招待客の挨拶を受けないと。
ザック様は、パールを撫でながら何やら耳打ちをしているのが見える。
“リーナ。早く終わらせるから待っててって。”
「クスッ。」
思わず笑ってしまった。
早く終わらそうとして、終わるものでもないでしょうに。
「リーナ、どうしたんだい?」
「ザック様が、挨拶を早く終わらそうとしているわ。」
「あ~、確かにこちらをチラチラ見ているな。俺達も早く挨拶に行こう。」
私達も他の貴族同様、挨拶の列に並んだ。
ん?
なんか変な感じ…。
王族に近づくにつれ、空気が淀んでくる。
「お兄様。」
「ああ。」
お兄様もこの空気を感じているようだ。表情がいつもより硬い。
王族の側に仕えているお父様へも目を向けると、顔が険しくなっていた。
お父様も気づいているみたいね。
この淀みの原因は…
サリーナが周囲の魔力を探ると、すぐに数組前の親子から放たれているものであると分かった。
さっきまでは何も感じなかったのに…。
まさか、王族に危害を加える気!?
“パール。”
“分かっているわ。”
挨拶中ザック様の横で伏せていたパールが立ち上がる。
“アルとルーフも準備しておいてね。”
“おう。”
“分かった。”
“アルはお父様の元へ。そして、何かあったら陛下まで飛んで。その旨もお父様へ伝えて。”
“は~い。”
アルはお父様の元へ飛び、肩に止まった。
アルが私の契約獣だというのは周知の事実。契約獣が物珍しくざわついてはいたが、お父様の元へ飛んだ事については、気にする者はいなかった。
お父様はこちらを見た。
その目は了承した事を語っている。
そして、親子の順番になった。
「陛下、王妃様、アイザック殿下、成人誠におめでとうございます。」
「ハンニー伯爵、今日は息子の為に感謝する。」
「ハンニー伯爵、感謝する。」
ハンニー伯爵…。
最近、愛人の元に産まれた娘さんを引き取ったのよね。
「これは、我が娘アイランでございます。お見知りおきを…。」
「よろしくお願いいたします。」
娘アイランが、言葉を発した瞬間。淀みが一気に広がった。
…が、一瞬で消え失せた。
「なぜ!?」
アイランは、礼をとって下に向いていた顔を勢いよく上げた。
「おい!アイラン!頭を下げろ!」
「え、ええ。」
ハンニー伯爵に言われ、アイランはすぐに元の姿勢に戻った。
「何が『何故』なのだ?」
陛下は、いつもより低い声でアイランに問いかける。
「い、いえ。何も…。」
陛下の目は親子を探っているようだ。
「……………まぁ、良い。今日はアイザックの祝いの日。楽しんでくれ。」
「ありがとうございます。」
親子は、そのまま陛下の前から下がった。
魔力が強い王族方も違和感は感じたはず。
お咎めが何もなしとは………未然に防げたし、今日は様子見と言う所かしら?
まぁ、見張りは付くのでしょうけど。
私はまたお父様を見た。目が合ったお父様は小さく頷いた。
大丈夫…という事かしらね。
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