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56 メルの一面
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戻ってきたサリーナとアイザックを迎えたのは、メルだった。
私達の姿を見るや、速歩きで近づいてくる。
「サリーナ様、アイザック殿下。おかえりなさいませ。」
「ただいま。」
火の近くでは、苦笑いしているロンドが見える。
ん?なに?
「サリーナ様、心配いたしました。」
「ごめんなさい。メルはよく寝ていたし、ロンドも知っているから大丈夫だと思ったの。それにひとりで出かけたわけではないわよ?」
「だからこそです!」
「「?」」
私とザック様は、顔を見合わせる。
「メル、どういうこと?」
「アイザック殿下は信用おける方です。しかし、男性に変わりはございません!もし、万が一、可愛いサリーナ様を目の前に理性を失って、無体を働くなんてことも!」
「「え!?」」
「何ですか?その反応!…まさか!?」
「いやいや、何もしていない…こともないか?」
「やはり!」
「ザック様、混乱しますから余計なことは…。メルも落ち着いて。」
「私の可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛いサリーナ様が…。」
メルが頭を抱える。
私の?
それに、可愛いが多くない?
メルはどうしてしまったの?
私は、ちらりとロンドを見る。
ロンドは溜息をついて、メルに静かに声をかけた。
「メル。全てが駄々漏れだが、良いのか?」
「え?」
ロンドの声が聞こえたのだろう。メルは、目を見開きこちらを見た。
「ゴホン。…し、失礼いたしました。」
メルは何も無かったように、凛とした立ち姿を取る。
いつものメル…なのかな?
私たちは、ロンドに近づき小声で聞いた。
「どういうことかしら?」
「メルは病気か?」
ルーフまでそんなことを言い出した。
「サリーナ様が、大好きだということでございます。」
「それでは、説明が足りないような気がするわ…。」
「サリーナ様。」
「はい!」
後ろからメルに呼ばれて、思わず声が大きくなる。
「そろそろ遅い時間でございます。馬車に入りましょう。」
「分かったわ。」
そこで、サリーナはアイザックと手を繋いだままな事に気がつき、アイザックをみた。
「リーナ、おやすみ。」
「おやすみなさい、ザック様。パールもおやすみ。ルーフも行きましょう。」
ふたりは、そっと手を離すと、サリーナは、メルと馬車へ入っていった。
「騒がしかったですね。」
「公爵。」
サリーナがいなくなって、すぐにジャックがテントから出てきた。
「旦那様、起こしてしまいましたか。失礼いたしました。」
「メルの声のようだったが?」
「はい。アイザック殿下とサリーナ様の夜のデートに興奮したようです。」
「何!?リーナは眠ったのではなかったのか?」
「僕が火の番をしていた時に、寝付けないと起きてきました。」
「そ、そうですか。………あの。」
「はい?」
「いえ、何でもございません。」
「?」
「旦那様も何かあったのでは、と心配しているのですよ…。」
「ロンド!」
「アイザック殿下。父親というものは、娘が大事で仕方ないのでございます。そして使用人達はサリーナ様のことが大好きです。メル等は異常とも…ゴホン…とにかく、覚悟なさっていた方がよろしいかと思います。」
「覚悟?」
「そのうち分かります。」
「ロンド、お前はどちらの執事だ?」
「サリーナ様の気を煩わせることが、無いようにしているまでです。」
「私よりもリーナか…。」
「主は旦那さまでございますが、サリーナ様には嫌われたくございません。」
「リーナに嫌われる!?」
「あまりに心配しすぎると、そのような事もあるかと。」
「リーナはそんな事で嫌わないと思いますが…。」
「そうですよね!アイザック殿下、分かっていますね。ロンドは考えすぎだよ。」
「それなら良いですが、旦那様は家族に対して少し…。」
「少し?」
「アホでございますから。」
「アホ!?」
そんなこんなで時間が過ぎていった。
私達の姿を見るや、速歩きで近づいてくる。
「サリーナ様、アイザック殿下。おかえりなさいませ。」
「ただいま。」
火の近くでは、苦笑いしているロンドが見える。
ん?なに?
「サリーナ様、心配いたしました。」
「ごめんなさい。メルはよく寝ていたし、ロンドも知っているから大丈夫だと思ったの。それにひとりで出かけたわけではないわよ?」
「だからこそです!」
「「?」」
私とザック様は、顔を見合わせる。
「メル、どういうこと?」
「アイザック殿下は信用おける方です。しかし、男性に変わりはございません!もし、万が一、可愛いサリーナ様を目の前に理性を失って、無体を働くなんてことも!」
「「え!?」」
「何ですか?その反応!…まさか!?」
「いやいや、何もしていない…こともないか?」
「やはり!」
「ザック様、混乱しますから余計なことは…。メルも落ち着いて。」
「私の可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛いサリーナ様が…。」
メルが頭を抱える。
私の?
それに、可愛いが多くない?
メルはどうしてしまったの?
私は、ちらりとロンドを見る。
ロンドは溜息をついて、メルに静かに声をかけた。
「メル。全てが駄々漏れだが、良いのか?」
「え?」
ロンドの声が聞こえたのだろう。メルは、目を見開きこちらを見た。
「ゴホン。…し、失礼いたしました。」
メルは何も無かったように、凛とした立ち姿を取る。
いつものメル…なのかな?
私たちは、ロンドに近づき小声で聞いた。
「どういうことかしら?」
「メルは病気か?」
ルーフまでそんなことを言い出した。
「サリーナ様が、大好きだということでございます。」
「それでは、説明が足りないような気がするわ…。」
「サリーナ様。」
「はい!」
後ろからメルに呼ばれて、思わず声が大きくなる。
「そろそろ遅い時間でございます。馬車に入りましょう。」
「分かったわ。」
そこで、サリーナはアイザックと手を繋いだままな事に気がつき、アイザックをみた。
「リーナ、おやすみ。」
「おやすみなさい、ザック様。パールもおやすみ。ルーフも行きましょう。」
ふたりは、そっと手を離すと、サリーナは、メルと馬車へ入っていった。
「騒がしかったですね。」
「公爵。」
サリーナがいなくなって、すぐにジャックがテントから出てきた。
「旦那様、起こしてしまいましたか。失礼いたしました。」
「メルの声のようだったが?」
「はい。アイザック殿下とサリーナ様の夜のデートに興奮したようです。」
「何!?リーナは眠ったのではなかったのか?」
「僕が火の番をしていた時に、寝付けないと起きてきました。」
「そ、そうですか。………あの。」
「はい?」
「いえ、何でもございません。」
「?」
「旦那様も何かあったのでは、と心配しているのですよ…。」
「ロンド!」
「アイザック殿下。父親というものは、娘が大事で仕方ないのでございます。そして使用人達はサリーナ様のことが大好きです。メル等は異常とも…ゴホン…とにかく、覚悟なさっていた方がよろしいかと思います。」
「覚悟?」
「そのうち分かります。」
「ロンド、お前はどちらの執事だ?」
「サリーナ様の気を煩わせることが、無いようにしているまでです。」
「私よりもリーナか…。」
「主は旦那さまでございますが、サリーナ様には嫌われたくございません。」
「リーナに嫌われる!?」
「あまりに心配しすぎると、そのような事もあるかと。」
「リーナはそんな事で嫌わないと思いますが…。」
「そうですよね!アイザック殿下、分かっていますね。ロンドは考えすぎだよ。」
「それなら良いですが、旦那様は家族に対して少し…。」
「少し?」
「アホでございますから。」
「アホ!?」
そんなこんなで時間が過ぎていった。
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