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13 登城
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サリーナは今、王城へ来ている。
応接室に通され、目の前にひとりの男性が座っている。
「いつも父がお世話になっております。娘のサリーナ·スウィンティーでございます。よろしくお願いいたします。」
「ああ、はじめまして。この国の国王だよ。そこへ座って。」
「は、はい。失礼いたします。」
私は陛下から机を挟んだ場所にあるソファへ座った。ソファの背もたれの上にはアル、足元にはルーフが座る。
陛下?…で良いのよね?
何か軽い?
「早く申請の受理をお願いします。」
陛下の横に立つお父様が無表情で言った。
「ジャック。そんなに慌てないでくれよ。」
「チッ。」
お父様、舌打ち!?
「ほら。サリーナちゃんが驚いているよ。」
お父様はそれを聞くと、慌てたような顔に変わった。
「リーナ、大丈夫だ。早く終わらせて、帰ろうな。さあ、早くお願いします。」
「お父様…。」
それにしても、二人の関係性って…。
「はいはい。…まずは魔力の量を。」
そう言いながら、机の上へ体重計のような物を出した。
陛下って、こんな事もするの!?
「さぁ、ここに手を乗せて。」
「えーと、こうですか?」
「そうそう。それで、魔力を流し込む。」
「流し込む?」
「魔力操作は出来るんだったよね?」
「1度だけ試したことはあります。」
「うん。ジャックにきいてるよ。」
「それと同じ要領で…。何かあっても私達がいるから大丈夫だよ。思いっきりやって。」
「は、はい!」
魔力操作と同じ…。
サリーナは目を閉じた。
血が流れるように…。
身体を巡って…。
サリーナの髪が揺らめく。
「ほぉ…。」
陛下が面白そうに笑った。
指の先から魔力を、機械に…。
サリーナは少しずつ魔力を流す。
体重計のような機械の目盛が大きい数字を指していく。
数字は、どんどん大きく、大きく、大きく…。
「まだか…?」
機械から煙が上がる。
「はい!ストップ!」
サリーナは、パッと目を開けた。
「えーと…。」
「リーナ!体調はどうだ?大丈夫か?」
お父様が、勢いよく近づいてきた。
「はい。問題ありません。」
「ジャック。お前の娘は、お前以上だね。測定不能だ。」
「…そうですか。」
「次は、契約獣の申請だね。これに記入が必要だが、字はかけるかな?」
「いいえ。」
「私が代筆します。」
「サリーナちゃんもそれで良いかな?」
「はい。」
私は、お父様に代筆を頼んだ。
お父様は、内容もきちんと読んでくれた。
「1、契約獣を悪用しない事。2、管理環境を整える事。3、鑑札を必ずつける事。4、有事には国に協力する事。」
「有事…。」
戦争とかって事よね…。
「リーナ。無理しなくて良い。」
「でも…。」
「現在、その兆候はないけど、もしその時が来たら、どんな協力とは書いていないから、前線でなくても良いんだよ。」
陛下がそれ言っちゃうの?
「分かりました。」
住所と名前を代筆してもらった最後に、私は拇印を押した。すると、申請書が光り輝く。
「すごい。」
「これは私の魔法だよ。改ざんされないようにして…」
「さぁ、リーナ。帰り支度を。」
お父様が陛下の話を遮った。
「お父様!流石に不敬です。」
「あー、良いんだよ。昔からこんな感じだからね。ここには他の者がいないし、王と宰相の前に友人だから。」
「…そうなのですか?」
「そうそう。他の者がいる時は、私もジャックもちゃんとしているよ。」
「そうなのですね。」
「サリーナちゃんは友達が欲しいかい?」
「いや、まだ必要ない。」
お父様が、私の代わりに答えた。
「サリーナちゃんに聞いているんだけど。」
「それでは。」
お父様は私の手を引き、立ち上がらせる。そして、ドアまで連れて行かれた。その後ろをアルとルーフもついてくる。
「鑑札はでき次第ジャックに渡すからね~。」
さらに後ろから、陛下の声がする。
「はい。よろしくお願いいたします。」
お父様は仕事がある為、王城に残る。私とアル、ルーフで馬車へ乗った。
「アル、ルーフ。リーナを頼む。」
「おう。」
「はーい。」
「リーナ。寄り道せずに帰りなさい。」
「はい。」
私達は、王城を後にした。
応接室に通され、目の前にひとりの男性が座っている。
「いつも父がお世話になっております。娘のサリーナ·スウィンティーでございます。よろしくお願いいたします。」
「ああ、はじめまして。この国の国王だよ。そこへ座って。」
「は、はい。失礼いたします。」
私は陛下から机を挟んだ場所にあるソファへ座った。ソファの背もたれの上にはアル、足元にはルーフが座る。
陛下?…で良いのよね?
何か軽い?
「早く申請の受理をお願いします。」
陛下の横に立つお父様が無表情で言った。
「ジャック。そんなに慌てないでくれよ。」
「チッ。」
お父様、舌打ち!?
「ほら。サリーナちゃんが驚いているよ。」
お父様はそれを聞くと、慌てたような顔に変わった。
「リーナ、大丈夫だ。早く終わらせて、帰ろうな。さあ、早くお願いします。」
「お父様…。」
それにしても、二人の関係性って…。
「はいはい。…まずは魔力の量を。」
そう言いながら、机の上へ体重計のような物を出した。
陛下って、こんな事もするの!?
「さぁ、ここに手を乗せて。」
「えーと、こうですか?」
「そうそう。それで、魔力を流し込む。」
「流し込む?」
「魔力操作は出来るんだったよね?」
「1度だけ試したことはあります。」
「うん。ジャックにきいてるよ。」
「それと同じ要領で…。何かあっても私達がいるから大丈夫だよ。思いっきりやって。」
「は、はい!」
魔力操作と同じ…。
サリーナは目を閉じた。
血が流れるように…。
身体を巡って…。
サリーナの髪が揺らめく。
「ほぉ…。」
陛下が面白そうに笑った。
指の先から魔力を、機械に…。
サリーナは少しずつ魔力を流す。
体重計のような機械の目盛が大きい数字を指していく。
数字は、どんどん大きく、大きく、大きく…。
「まだか…?」
機械から煙が上がる。
「はい!ストップ!」
サリーナは、パッと目を開けた。
「えーと…。」
「リーナ!体調はどうだ?大丈夫か?」
お父様が、勢いよく近づいてきた。
「はい。問題ありません。」
「ジャック。お前の娘は、お前以上だね。測定不能だ。」
「…そうですか。」
「次は、契約獣の申請だね。これに記入が必要だが、字はかけるかな?」
「いいえ。」
「私が代筆します。」
「サリーナちゃんもそれで良いかな?」
「はい。」
私は、お父様に代筆を頼んだ。
お父様は、内容もきちんと読んでくれた。
「1、契約獣を悪用しない事。2、管理環境を整える事。3、鑑札を必ずつける事。4、有事には国に協力する事。」
「有事…。」
戦争とかって事よね…。
「リーナ。無理しなくて良い。」
「でも…。」
「現在、その兆候はないけど、もしその時が来たら、どんな協力とは書いていないから、前線でなくても良いんだよ。」
陛下がそれ言っちゃうの?
「分かりました。」
住所と名前を代筆してもらった最後に、私は拇印を押した。すると、申請書が光り輝く。
「すごい。」
「これは私の魔法だよ。改ざんされないようにして…」
「さぁ、リーナ。帰り支度を。」
お父様が陛下の話を遮った。
「お父様!流石に不敬です。」
「あー、良いんだよ。昔からこんな感じだからね。ここには他の者がいないし、王と宰相の前に友人だから。」
「…そうなのですか?」
「そうそう。他の者がいる時は、私もジャックもちゃんとしているよ。」
「そうなのですね。」
「サリーナちゃんは友達が欲しいかい?」
「いや、まだ必要ない。」
お父様が、私の代わりに答えた。
「サリーナちゃんに聞いているんだけど。」
「それでは。」
お父様は私の手を引き、立ち上がらせる。そして、ドアまで連れて行かれた。その後ろをアルとルーフもついてくる。
「鑑札はでき次第ジャックに渡すからね~。」
さらに後ろから、陛下の声がする。
「はい。よろしくお願いいたします。」
お父様は仕事がある為、王城に残る。私とアル、ルーフで馬車へ乗った。
「アル、ルーフ。リーナを頼む。」
「おう。」
「はーい。」
「リーナ。寄り道せずに帰りなさい。」
「はい。」
私達は、王城を後にした。
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