18 / 19
15
しおりを挟む
「プリムローズ様。お話がありますので、本日時間を作っていただけますか?」
「え?ええ。分かったわ。」
ノアからの誘いにプリムローズは動揺した。
どうしよう…。何の話だろう。もしかして、振られる!?
でも、でも、最近は良い雰囲気だったような気がするのだけれど…。気の所為!?私の勘違い!?
プリムローズは落ち着きなく、部屋を行ったり来たり、椅子に座ったり立ったりしていた。
「プリムローズ様。少し落ち着かれたら如何ですか?」
「リラ!だって、ノアからの話よ!?落ち着けないわ!」
「違う事を考えたら如何ですか?」
「違う事?」
「そうですね…。お料理をするとか、買い物をするとか。商人をお呼びしましょうか?」
「いいえ。それは、必要ないわ。………リラは、お兄様と最近どうなの?」
「え!?わ、私でございますか?」
「違う事を考えようと思って。で?どうなの?」
「養子の手続きも無事に終えまして、結婚の日取りを決める所です。」
「リラがこうしてそばに居てくれるのも、あと少しと言う事ね…。」
「……そうなりますね。」
ふたりで、しんみりしてしまった。
「でも、お姉様になるのだから、いつも一緒とはいかないけど、これからもずっとよろしくね。」
「もちろんでございます。」
「その話し方も変えてね!それから、私の事はローズよ。」
「ローズ…様。善処します。」
「ふふっ。」
その後も色んな話をした。すると、あっと言う間にノアと約束の時間になった。
「リラ。行ってくるわ!」
「途中までお供いたします。」
「え?…ひとりで良いわよ。」
「そうはいきません。」
「……分かったわ。本当は少し心細かったの。ありがとう。」
プリムローズは裏庭に向かった。
裏庭のベンチが見えてくると、人が座っているのも見えた。
後ろ姿だけでもノアだと分かる。
「プリムローズ様。私はここで失礼いたします。」
「リラ。」
「行ってらっしゃいませ。」
プリムローズは、コクンと首を縦に振った。
そして、ベンチに近づいていく。
深呼吸、深呼吸…。
「ノア。待たせてしまったかしら?」
「いいえ。……プリムローズ様、こちらへどうぞ。」
ノアに促され、ベンチに座る。
「…」
「…」
沈黙が流れる。
何!?どうすればいいの?
と、考えているとノアが口を開いた。
「呼び出しておいて、失礼いたしました。話ですが………」
「…ゴクン。」
プリムローズは、唾を飲んだ。
「今までおまたせした返事をしたいと思いまして…。」
「え、ええ。」
「私…いえ、俺は貴方よりもだいぶ年上です。」
「ええ。そうね。」
「確実に先に死にます。それでも、良いですか?」
「………え?えーと、」
「同じ年代の方と結婚するよりも、一緒にいられる時間は短いですよ?」
「…それって。」
ノアがニコッと笑った。
「だ、大丈夫よ!その分、濃厚な時間を過ごしましょう!」
「濃厚、ですか?…楽しみですね。」
「ええ!…でも、なるべく長生きしてね。」
「もちろんです。」
ふたりは、そのままジェイクとプルメリアの元へ報告に行った。
「え?ええ。分かったわ。」
ノアからの誘いにプリムローズは動揺した。
どうしよう…。何の話だろう。もしかして、振られる!?
でも、でも、最近は良い雰囲気だったような気がするのだけれど…。気の所為!?私の勘違い!?
プリムローズは落ち着きなく、部屋を行ったり来たり、椅子に座ったり立ったりしていた。
「プリムローズ様。少し落ち着かれたら如何ですか?」
「リラ!だって、ノアからの話よ!?落ち着けないわ!」
「違う事を考えたら如何ですか?」
「違う事?」
「そうですね…。お料理をするとか、買い物をするとか。商人をお呼びしましょうか?」
「いいえ。それは、必要ないわ。………リラは、お兄様と最近どうなの?」
「え!?わ、私でございますか?」
「違う事を考えようと思って。で?どうなの?」
「養子の手続きも無事に終えまして、結婚の日取りを決める所です。」
「リラがこうしてそばに居てくれるのも、あと少しと言う事ね…。」
「……そうなりますね。」
ふたりで、しんみりしてしまった。
「でも、お姉様になるのだから、いつも一緒とはいかないけど、これからもずっとよろしくね。」
「もちろんでございます。」
「その話し方も変えてね!それから、私の事はローズよ。」
「ローズ…様。善処します。」
「ふふっ。」
その後も色んな話をした。すると、あっと言う間にノアと約束の時間になった。
「リラ。行ってくるわ!」
「途中までお供いたします。」
「え?…ひとりで良いわよ。」
「そうはいきません。」
「……分かったわ。本当は少し心細かったの。ありがとう。」
プリムローズは裏庭に向かった。
裏庭のベンチが見えてくると、人が座っているのも見えた。
後ろ姿だけでもノアだと分かる。
「プリムローズ様。私はここで失礼いたします。」
「リラ。」
「行ってらっしゃいませ。」
プリムローズは、コクンと首を縦に振った。
そして、ベンチに近づいていく。
深呼吸、深呼吸…。
「ノア。待たせてしまったかしら?」
「いいえ。……プリムローズ様、こちらへどうぞ。」
ノアに促され、ベンチに座る。
「…」
「…」
沈黙が流れる。
何!?どうすればいいの?
と、考えているとノアが口を開いた。
「呼び出しておいて、失礼いたしました。話ですが………」
「…ゴクン。」
プリムローズは、唾を飲んだ。
「今までおまたせした返事をしたいと思いまして…。」
「え、ええ。」
「私…いえ、俺は貴方よりもだいぶ年上です。」
「ええ。そうね。」
「確実に先に死にます。それでも、良いですか?」
「………え?えーと、」
「同じ年代の方と結婚するよりも、一緒にいられる時間は短いですよ?」
「…それって。」
ノアがニコッと笑った。
「だ、大丈夫よ!その分、濃厚な時間を過ごしましょう!」
「濃厚、ですか?…楽しみですね。」
「ええ!…でも、なるべく長生きしてね。」
「もちろんです。」
ふたりは、そのままジェイクとプルメリアの元へ報告に行った。
20
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
強面騎士は、可憐な婚約者の暗躍に気付かない
楽歩
恋愛
強面で無骨な騎士団長スヴェイン。その隣にいるのは、10歳年下で可憐な婚約者レティシア。
一見お似合いの二人だが、その愛情の温度はレティシアの方が驚くほど――いや、かなり高い!
スヴェインを一途に思い、全力で愛するレティシア。彼女の行動はときに大胆、そして過剰!?
スヴェインはまだ知らない。愛する婚約者を守るため、影で暗躍するレティシアのもう一つの顔を――。
彼女の秘策と献身に気づかないまま、鈍感なスヴェインはただ彼女との幸せな日々を謳歌する。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))6万字ほどの中編です。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します
天宮有
恋愛
私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。
その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。
シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。
その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。
それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。
私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
【完結済】呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。
まりぃべる
恋愛
異世界に来てしまった女性。自分の身に起きた事が良く分からないと驚きながらも王宮内の問題を解決しながら前向きに生きていく話。
その内に未知なる力が…?
完結しました。
初めての作品です。拙い文章ですが、読んでいただけると幸いです。
これでも一生懸命書いてますので、誹謗中傷はお止めいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる