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「はぁ…。」
プリムローズは学園に戻っていた。
今は昼休憩中で食堂に来ている。
「また溜息ですか?」
「うーん…。」
「どうしたんだ?」
「ロット?」
声をかけてきたのは、母方の従兄弟のロットだった。
「何かあるなら、相談に乗るぞ。……周りに悪影響だから。」
「何?最後が聞こえなかったのだけど。」
「いや。」
実のところ、溜息をするプリムローズは憂いを帯びており、色気を放っていた。
周りの生徒は見惚れ、食事もままならない生徒もいる。
「で?何があったんだ?」
「……ロットは好きな人、いる?」
「いないから、婚約者も決まらないんだが。」
「そうだったわね。はぁ…。」
「何か、イラッとする。」
「私、午後の授業はないし、部屋へ戻るわね。」
「何を悩んでるのか分からないけど、あんまり思い詰めるなよ。前向きな所が、お前の良いところなんだから。」
「私の良い所…。ありがとう。」
ノアの事は気になる。気になるけど…
今、会うこともできないし、どうにもならないのは確かね。
一旦、考えるのは止め!
卒業後が勝負!
プリムローズは、1ヶ月後に学園を卒業した。そして…
「私、ノアが好き!必ず振り向かせるわ。」
「「「え?」」」
プリムローズは、談笑中の家族の前で宣言した。
「…ローズ。ノアとは、どこのノアかな?」
「お兄様、何を言っているのですか?影長のノアに決まっています。」
「ノアをこ」
「ジェイク、ちょっとまって。ローズ、振り向かせると言ったわね。まだ片思いなのね。」
「はい。」
「そうか。それならやめておきなさい。」
「お父様!」
「許さない。」
「何故ですか?我が家は相手を自分で見つけて良いと。」
「ああ。言った。しかし、影とは危険な職業だ。何があるか分からない。」
「そんなの何の職業だって一緒よ。お父様だって。」
「そうだ。だからそれだけの覚悟が必要だ。」
「あります。」
「そうは見えないが?」
「そんな事ありません!」
「では、ノアを振り向かせると言ったが、何をしている?覚悟を見せるために何を?」
「それは、…卒業したから、これから。」
「遅いな。」
「…」
「父上。貴族じゃないとか、歳上だとかは反対しないんだね。」
「貴族かどうかはどうとでもなる。歳は、俺が言えた義理ではない。」
「…私の覚悟次第という事ですね。」
「ローズ?」
「分かりました。お父様見ていてください!お父様もノアも、必ず首を縦に振らせてみせます!それでは、部屋へ戻ります!」
「おい、ローズ!」
プリムローズは談話室から、出ていった。
「えーと…これでいいのかな?もっと、こう…反対しないの?」
「それはしないな。これで覚悟が見せられて、ノアを振り向かせられるならな。…まぁ、難しいだろうがな。」
「どうして?」
「ノアの人柄は分かっているし、本気で好きになった時に、自分を止められないのも分かっているからな。」
ジェイクはプルメリアを見た。
プルメリアは微笑む。
「あとは本人たち次第だな。」
プリムローズは学園に戻っていた。
今は昼休憩中で食堂に来ている。
「また溜息ですか?」
「うーん…。」
「どうしたんだ?」
「ロット?」
声をかけてきたのは、母方の従兄弟のロットだった。
「何かあるなら、相談に乗るぞ。……周りに悪影響だから。」
「何?最後が聞こえなかったのだけど。」
「いや。」
実のところ、溜息をするプリムローズは憂いを帯びており、色気を放っていた。
周りの生徒は見惚れ、食事もままならない生徒もいる。
「で?何があったんだ?」
「……ロットは好きな人、いる?」
「いないから、婚約者も決まらないんだが。」
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「私の良い所…。ありがとう。」
ノアの事は気になる。気になるけど…
今、会うこともできないし、どうにもならないのは確かね。
一旦、考えるのは止め!
卒業後が勝負!
プリムローズは、1ヶ月後に学園を卒業した。そして…
「私、ノアが好き!必ず振り向かせるわ。」
「「「え?」」」
プリムローズは、談笑中の家族の前で宣言した。
「…ローズ。ノアとは、どこのノアかな?」
「お兄様、何を言っているのですか?影長のノアに決まっています。」
「ノアをこ」
「ジェイク、ちょっとまって。ローズ、振り向かせると言ったわね。まだ片思いなのね。」
「はい。」
「そうか。それならやめておきなさい。」
「お父様!」
「許さない。」
「何故ですか?我が家は相手を自分で見つけて良いと。」
「ああ。言った。しかし、影とは危険な職業だ。何があるか分からない。」
「そんなの何の職業だって一緒よ。お父様だって。」
「そうだ。だからそれだけの覚悟が必要だ。」
「あります。」
「そうは見えないが?」
「そんな事ありません!」
「では、ノアを振り向かせると言ったが、何をしている?覚悟を見せるために何を?」
「それは、…卒業したから、これから。」
「遅いな。」
「…」
「父上。貴族じゃないとか、歳上だとかは反対しないんだね。」
「貴族かどうかはどうとでもなる。歳は、俺が言えた義理ではない。」
「…私の覚悟次第という事ですね。」
「ローズ?」
「分かりました。お父様見ていてください!お父様もノアも、必ず首を縦に振らせてみせます!それでは、部屋へ戻ります!」
「おい、ローズ!」
プリムローズは談話室から、出ていった。
「えーと…これでいいのかな?もっと、こう…反対しないの?」
「それはしないな。これで覚悟が見せられて、ノアを振り向かせられるならな。…まぁ、難しいだろうがな。」
「どうして?」
「ノアの人柄は分かっているし、本気で好きになった時に、自分を止められないのも分かっているからな。」
ジェイクはプルメリアを見た。
プルメリアは微笑む。
「あとは本人たち次第だな。」
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