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47,隠れた理不尽は正論に震える
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クラリス様とは、ダイナス公爵家のクラリス様のことですよね……。
確かに言われてみると、年下の第3王子殿下より第1王子殿下がお相手の方が年齢的にしっくりきます。
会場の方に目を向けましたら、今回は直ぐに話題の第3王子殿下と一緒におられるクラリス様を見つけてしまいました。
「クラリス様は再婚約なさいましたが、第1王子殿下には今も婚約者はいらっしゃらないのですよね」
「そうね。色々噂は聞くけど、単純に釣り合う相手が見つからないのよ。レーニア嬢も第1王子殿下とは年も離れているでしょ」
私は思わずメイリアを振り返りました。
メイリアはクラリス様達をじっと見つめております。
「それはよく知られた事実でしょ。そこで驚いて振り向くものじゃないわ」
「でも第1王子殿下の婚約者に名前が出るような……」
「は? 王家の加護持ちなんだから、真っ先に出るでしょ。貴女、分かってないわねぇ……」
完全に呆れられております。
でも、私は……。
「いいんじゃないの。第2王子殿下となら皆喜んで、第1王子殿下はクラリス様とやり直せるし、良いことずくめでしょ」
良いことずくめでしょうか?
「フランドル子爵令嬢……」
ディル(仮名)さんが、真の意味で隠すこともなく話し出したメイリアに小声で咎めるように名前を呼びました。
「ここは大丈夫よ。本来は隠れた恋人が逢瀬を楽しむ場所だったから、遮音と隠蔽が効いているのよ」
扇で上を指されるので、見上げてみると何やら変わった形の照明器具が一つ吊り下げられておりました。
「これは珍しい物ですね……。古王国の遺産でしょうか?」
珍しくディル(仮名)さんが感嘆の声を上げておられました。
古王国とは……我が国が成立するより遙か昔に存在し、滅亡した国だとは一応存じております。
「レプリカらしいわ。どうやって作ったのかは知らないけど、このテーブル席の分だけ効果があるんだって」
便利な物がこんなところにありました。
先日窺った『反転の鏡』といい、王城には不思議な道具があるのですね。
「あ、やば」
メイリアが会場から顔ごと目を逸らしました。
どうしたのかと思い、私が会場に目を向けると、笑顔のクラリス様が第3王子殿下と一緒にこちらに歩いて来られることに気がつきました。
「あらあら、2人で何をおしゃべりしていらっしゃったの? 殿下、私は疲れましたので友人達とここで休憩させて貰います」
そう仰る割には疲れの全く浮かんでおられないクラリス様は、怖い笑顔で私達を見下ろしながら仰いました。
「じゃあ、私も友人達の所へ少し行くからね」
不平を並べることもなく第3王子殿下は離れて行かれました。
不思議に思った私がクラリス様とメイリアに視線を行ったり来たりしていると、
「隠蔽があってもじっと見ていたら気付くものです」
そう仰ったクラリス様は、「失礼します」と許可も聞かずに空いている椅子に座られました。メイリアはまだまだ顔を逸らしております。
このテーブル席での効果はそこまで完全な物ではないのですね。隠れた恋人達もそこまで隠れきっては問題になるからか、別の暗い用途に使われるのを危惧してか、そういった理由でしょうか。
「私達の話でしょう? もう、おしゃべりなんだから」
クラリス様はハルト様の姉に当たる方ですから、ハルト様の元婚約者であるメイリアとも顔見知りでしょうね。
あら、メイリアが公爵令嬢にかなり不敬とも取れる発言をしました。
「……話す事には制限がかかっておりませんよ。とは言え、私達は誰でも知っている話を話していただけですし、そちらの自信過剰ではありません?」
対するクラリス様は全く笑顔を崩さず、
「まあ、今日はいつも程は支離滅裂な事は仰らないのね。私は自信過剰ではありません。自信と実力はしっかりと持っておりますので」
「そんなに気が強くては気弱な第3王子殿下がお可哀想です。流石、性格がきついから第1王子殿下の婚約者から外れたと噂になるだけのことはありますね」
私は妙齢の令嬢が青筋立てる姿を、初めて拝見しました。
「うふふふ……貴女こそ、酷く乱暴な言動を繰り返すから婚約を破棄されたと噂されておりますよ」
「あら、時系列も入らない方と親しいようで。公爵令嬢と持て囃されても付き合う人を選んでおられないとは、やはりご立派な第1王子殿下の横に立つ女性になれなくても仕方ありませんね」
「貴女こそ過去の話で時系列を理解しておられませんね。私は第3王子殿下の婚約者で公爵家を継ぐ者です。第1王子殿下はもう関係ございませんよ」
「では第1王子殿下に婚約者をお勧めしては如何でしょう。殿下に婚約者が出来たのであれば誰もお二人が婚約が解消になるのを待っているとは噂しませんよ。今のままでは、現在の婚約者であられる第3王子殿下に対しても非礼ではないでしょうか?」
「う……」
あら? 完全にクラリス様は言葉に詰まってしまわれました。
前回お会いしたときとは違ってメイリアとは意思疎通ができるとは思っておりましたが、ここまで理屈が回って公爵令嬢を言い負かしているのを見ると、先日お会いした令嬢とは別人ではないかと疑ってしまいます。
「第3王子殿下と釣り合っていないと囁かれるのを対処しないのは、一体どのような意図があってのことでしょう? 私には第3王子殿下をご自身の思い人との恋愛の出汁に使っておられるように見えます。私自身の奇行は所詮私自身で終わっておりますが、貴女の場合思い人の弟も振り回すなんて余程酷い令嬢なのでしょう」
そこまで仰いますか。
でも聞いている内容の限りでは、クラリス様が悪いように思います。万が一、メイリアが聴衆を誘導しているとしたら、私では絶対に敵うことはないでしょう。
「う……」
クラリス様の優雅だった笑みは、今や引きつっておられます。
「あらあら、お認めですか。仕方ないですよね。貴女も適齢期もとっくに過ぎているにも関わらず、第3王子殿下といつまでも結婚しないなんて、本当に誰だって気がつくことですものね」
あー……私は既知の情報としては入っていても、クラリス様の現状そのものについて深く考えてはおりませんでした。
第3王子殿下は学園も既に卒業されており、本来ならクラリス様との結婚に支障はありませんよね。
確かに、深読みの必要もなく、少し考えれば誰でも気付いてしまうでしょう。
「う……五月蠅いわね! 貴女がハルトを神殿に行かせた所為で、やむなく私が後継となるしかなかったのに、どういう神経で物を仰っているの!」
とうとう、クラリス様が取り乱されてしまいました。
「ハルトの望みが私の望みでしたから。私の結婚よりも、私はハルトの願いを優先することを望みました。後、意外と遮音の効果は薄いので、あまり大きな声は出されない方が宜しいかと」
「うう、分かっています。……私にとってもハルトは大事な弟で、意思は尊重したいと考えておりました。でも、よりによって私に相談もなしに神殿に行かせますか?」
「貴女に相談したらどうされました? どうしてもお好きな方と結婚したい貴女はハルトを引き留めたでしょうね。弟を利用しようとした方は、お好きな方の不要な弟を利用するにも心は痛みませんものね」
「メイリア、何があったのか存じ上げませんが、例え正論としても言葉がきつすぎるのではありませんか? 正しい者なら誰かを叩き潰しても良いということはないでしょう」
流石に徐々に言葉がきつくなってきたメイリアを、私は止めに入りました。
理屈自体は理路整然としていらっしゃいますけれど、過剰に攻撃的になっておられるのは問題です。
「……申し訳ありませんでした」
メイリアはクラリス様ではなく私に謝りました。
クラリス様は俯いて肩を震わせております。それでも高位貴族の令嬢ですから泣くことだけは耐えられているのでしょう。
今の話の通りなら、メイリアがハルト様と婚約解消したことに伴い、クラリス様が後継となり婚約解消と再婚約となられたのですね。
まとめると加護持ちの世界であればその時その時の事情が反映されるため、婚約解消も再婚約も実はよく聞く話ではありますけど、事情に巻き込まれた周囲の気持ちはすっきりまとまりはしません。
私にはどちらに対してもかける言葉もありません。
困ったことです。
「王女殿下、そろそろ会場に戻られた方が宜しいですわ。私もご一緒させていただきます」
それはクラリス様を置いて行くということですよね。
メイリアの言葉にクラリス様は無言です。
もう下手な言葉はかけられませんので、
「クラリス様、御機嫌よう。次は楽しい場でご一緒しましょうね」
自分のかけた言葉が無神経であったか心配になりましたが、声は頑張って優しくなるように気を付けました。
返事は返ってきませんでした。
そのクラリス様の様子を見るメイリアの目は冷たく、二人の間には単純な情報では分からない大きな溝があるようでした。
確かに言われてみると、年下の第3王子殿下より第1王子殿下がお相手の方が年齢的にしっくりきます。
会場の方に目を向けましたら、今回は直ぐに話題の第3王子殿下と一緒におられるクラリス様を見つけてしまいました。
「クラリス様は再婚約なさいましたが、第1王子殿下には今も婚約者はいらっしゃらないのですよね」
「そうね。色々噂は聞くけど、単純に釣り合う相手が見つからないのよ。レーニア嬢も第1王子殿下とは年も離れているでしょ」
私は思わずメイリアを振り返りました。
メイリアはクラリス様達をじっと見つめております。
「それはよく知られた事実でしょ。そこで驚いて振り向くものじゃないわ」
「でも第1王子殿下の婚約者に名前が出るような……」
「は? 王家の加護持ちなんだから、真っ先に出るでしょ。貴女、分かってないわねぇ……」
完全に呆れられております。
でも、私は……。
「いいんじゃないの。第2王子殿下となら皆喜んで、第1王子殿下はクラリス様とやり直せるし、良いことずくめでしょ」
良いことずくめでしょうか?
「フランドル子爵令嬢……」
ディル(仮名)さんが、真の意味で隠すこともなく話し出したメイリアに小声で咎めるように名前を呼びました。
「ここは大丈夫よ。本来は隠れた恋人が逢瀬を楽しむ場所だったから、遮音と隠蔽が効いているのよ」
扇で上を指されるので、見上げてみると何やら変わった形の照明器具が一つ吊り下げられておりました。
「これは珍しい物ですね……。古王国の遺産でしょうか?」
珍しくディル(仮名)さんが感嘆の声を上げておられました。
古王国とは……我が国が成立するより遙か昔に存在し、滅亡した国だとは一応存じております。
「レプリカらしいわ。どうやって作ったのかは知らないけど、このテーブル席の分だけ効果があるんだって」
便利な物がこんなところにありました。
先日窺った『反転の鏡』といい、王城には不思議な道具があるのですね。
「あ、やば」
メイリアが会場から顔ごと目を逸らしました。
どうしたのかと思い、私が会場に目を向けると、笑顔のクラリス様が第3王子殿下と一緒にこちらに歩いて来られることに気がつきました。
「あらあら、2人で何をおしゃべりしていらっしゃったの? 殿下、私は疲れましたので友人達とここで休憩させて貰います」
そう仰る割には疲れの全く浮かんでおられないクラリス様は、怖い笑顔で私達を見下ろしながら仰いました。
「じゃあ、私も友人達の所へ少し行くからね」
不平を並べることもなく第3王子殿下は離れて行かれました。
不思議に思った私がクラリス様とメイリアに視線を行ったり来たりしていると、
「隠蔽があってもじっと見ていたら気付くものです」
そう仰ったクラリス様は、「失礼します」と許可も聞かずに空いている椅子に座られました。メイリアはまだまだ顔を逸らしております。
このテーブル席での効果はそこまで完全な物ではないのですね。隠れた恋人達もそこまで隠れきっては問題になるからか、別の暗い用途に使われるのを危惧してか、そういった理由でしょうか。
「私達の話でしょう? もう、おしゃべりなんだから」
クラリス様はハルト様の姉に当たる方ですから、ハルト様の元婚約者であるメイリアとも顔見知りでしょうね。
あら、メイリアが公爵令嬢にかなり不敬とも取れる発言をしました。
「……話す事には制限がかかっておりませんよ。とは言え、私達は誰でも知っている話を話していただけですし、そちらの自信過剰ではありません?」
対するクラリス様は全く笑顔を崩さず、
「まあ、今日はいつも程は支離滅裂な事は仰らないのね。私は自信過剰ではありません。自信と実力はしっかりと持っておりますので」
「そんなに気が強くては気弱な第3王子殿下がお可哀想です。流石、性格がきついから第1王子殿下の婚約者から外れたと噂になるだけのことはありますね」
私は妙齢の令嬢が青筋立てる姿を、初めて拝見しました。
「うふふふ……貴女こそ、酷く乱暴な言動を繰り返すから婚約を破棄されたと噂されておりますよ」
「あら、時系列も入らない方と親しいようで。公爵令嬢と持て囃されても付き合う人を選んでおられないとは、やはりご立派な第1王子殿下の横に立つ女性になれなくても仕方ありませんね」
「貴女こそ過去の話で時系列を理解しておられませんね。私は第3王子殿下の婚約者で公爵家を継ぐ者です。第1王子殿下はもう関係ございませんよ」
「では第1王子殿下に婚約者をお勧めしては如何でしょう。殿下に婚約者が出来たのであれば誰もお二人が婚約が解消になるのを待っているとは噂しませんよ。今のままでは、現在の婚約者であられる第3王子殿下に対しても非礼ではないでしょうか?」
「う……」
あら? 完全にクラリス様は言葉に詰まってしまわれました。
前回お会いしたときとは違ってメイリアとは意思疎通ができるとは思っておりましたが、ここまで理屈が回って公爵令嬢を言い負かしているのを見ると、先日お会いした令嬢とは別人ではないかと疑ってしまいます。
「第3王子殿下と釣り合っていないと囁かれるのを対処しないのは、一体どのような意図があってのことでしょう? 私には第3王子殿下をご自身の思い人との恋愛の出汁に使っておられるように見えます。私自身の奇行は所詮私自身で終わっておりますが、貴女の場合思い人の弟も振り回すなんて余程酷い令嬢なのでしょう」
そこまで仰いますか。
でも聞いている内容の限りでは、クラリス様が悪いように思います。万が一、メイリアが聴衆を誘導しているとしたら、私では絶対に敵うことはないでしょう。
「う……」
クラリス様の優雅だった笑みは、今や引きつっておられます。
「あらあら、お認めですか。仕方ないですよね。貴女も適齢期もとっくに過ぎているにも関わらず、第3王子殿下といつまでも結婚しないなんて、本当に誰だって気がつくことですものね」
あー……私は既知の情報としては入っていても、クラリス様の現状そのものについて深く考えてはおりませんでした。
第3王子殿下は学園も既に卒業されており、本来ならクラリス様との結婚に支障はありませんよね。
確かに、深読みの必要もなく、少し考えれば誰でも気付いてしまうでしょう。
「う……五月蠅いわね! 貴女がハルトを神殿に行かせた所為で、やむなく私が後継となるしかなかったのに、どういう神経で物を仰っているの!」
とうとう、クラリス様が取り乱されてしまいました。
「ハルトの望みが私の望みでしたから。私の結婚よりも、私はハルトの願いを優先することを望みました。後、意外と遮音の効果は薄いので、あまり大きな声は出されない方が宜しいかと」
「うう、分かっています。……私にとってもハルトは大事な弟で、意思は尊重したいと考えておりました。でも、よりによって私に相談もなしに神殿に行かせますか?」
「貴女に相談したらどうされました? どうしてもお好きな方と結婚したい貴女はハルトを引き留めたでしょうね。弟を利用しようとした方は、お好きな方の不要な弟を利用するにも心は痛みませんものね」
「メイリア、何があったのか存じ上げませんが、例え正論としても言葉がきつすぎるのではありませんか? 正しい者なら誰かを叩き潰しても良いということはないでしょう」
流石に徐々に言葉がきつくなってきたメイリアを、私は止めに入りました。
理屈自体は理路整然としていらっしゃいますけれど、過剰に攻撃的になっておられるのは問題です。
「……申し訳ありませんでした」
メイリアはクラリス様ではなく私に謝りました。
クラリス様は俯いて肩を震わせております。それでも高位貴族の令嬢ですから泣くことだけは耐えられているのでしょう。
今の話の通りなら、メイリアがハルト様と婚約解消したことに伴い、クラリス様が後継となり婚約解消と再婚約となられたのですね。
まとめると加護持ちの世界であればその時その時の事情が反映されるため、婚約解消も再婚約も実はよく聞く話ではありますけど、事情に巻き込まれた周囲の気持ちはすっきりまとまりはしません。
私にはどちらに対してもかける言葉もありません。
困ったことです。
「王女殿下、そろそろ会場に戻られた方が宜しいですわ。私もご一緒させていただきます」
それはクラリス様を置いて行くということですよね。
メイリアの言葉にクラリス様は無言です。
もう下手な言葉はかけられませんので、
「クラリス様、御機嫌よう。次は楽しい場でご一緒しましょうね」
自分のかけた言葉が無神経であったか心配になりましたが、声は頑張って優しくなるように気を付けました。
返事は返ってきませんでした。
そのクラリス様の様子を見るメイリアの目は冷たく、二人の間には単純な情報では分からない大きな溝があるようでした。
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