転生した先がザマァ返しされた攻略相手の妹だった話

【間話】やらかしたちの慟哭 1

粗末な衣類
粗末な食事
粗末な寝床‥と
ブツブツと文句を垂れ流している


代々宰相職を勤める公爵家の継嗣として生まれ育った青年には不満しか無いようだった。




兄を含む攻略対象(仮)達は個別に別々の修道院に入れられて奉仕活動に従事していた。

奉仕活動と言っても人と合わせるわけにはいかない。
各修道院で薬草の栽培に従事している。

不慣れな仕事である事を加味しても酷いと思う。
元宰相の息子がひと畝耕す頃には他の人間は二つも三つも耕している。
雑草抜きをさせても、未だ薬草と雑草の見分けがついていない。

優秀だと聞いていたのに、いつまでたったら覚えるのだ？
元貴族の修道士も多いが、ここまででは無かった。





犯罪者であると言うのに
洗い晒しだが寒さに震える事の無い衣類が支給されて

毎日焼かれる黒パンは小麦の割合が多く柔らかく美味しい。
贅沢にもレーズンとナッツが練り込まれている。

スープには皿の底が見えない程に新鮮な野菜がたっぷり。
そこにベーコンが浮かぶ。
噛み締めれる大きさのベーコンなんて贅沢の極みだろう

‥下男に出されるスープのベーコンはいつも行方不明だ。


何で文句なんて言うんだ？

束ねた藁を敷き詰めた上にはマットとシーツがちゃんと掛かっているじゃないか。
古いがちゃんと手入れのされた羊毛入りの掛布に、毛布が一枚。



庶民の暮らしからするとすこぶる上等で、下級貴族相当の待遇だ。
いや、下級貴族でももっと酷い家もあるぐらい‥。
それなのに文句しか言わない。


目付け役としてつけられた下男は
苛立ち思った。

犯した罪を償うどころか
労働に合った対価になってもいないじゃ無いかと。
罪を犯した当人に反省の色も無く
その父は宰相の地位は剥奪されたが、小役人として王城で働いていると言う

厚顔無恥に程がある。

その内なぁなぁと揉み消されて行くのか。
犯罪者を生み出したと言うのに家族全員反省もせず、贅沢してるなんて‥真面目にしていても割に合わないと思った。



各修道院は反省もせず不平不満しか言わない罪人達を持て余していた