だから僕は君が嫌いだ

ふうび

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高校一年生

入学1

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ーーーー4月7日ーーーー
すでに10分近く見ている鏡の中には、新品の制服に身を包み、今日から始まる高校生活に期待を寄せた、まだ少しだけあどけなさが残っている少年が写っていた
「もう出発しないと遅れるよ」
母の声を聞き最後に鏡の前で自撮りをしたAは慌てて玄関で靴を履き、車に乗り込んだ
「あっベルト忘れた」
慌てて取りに戻る私を「早くしてね」という母の声が追いかける


「着いたよ」
春休みにサボっていた、入学までの課題を前日の夜遅くまで頑張っていたため、車に揺られながら寝ていたAは、母の声で起こされた。
高速を使い40分程度、私の住んでいる大都市のいわゆるベッドタウンのはずれにその高校…青蘭高校は建っていた
私がこの高校を訪れたのは受験以来であり、周りには田園風景が広がるその校舎は、なにか、世間とは隔絶された異様さを身に纏いながら新入生の登校を黙って見つめていた

「あっーーじゃん」
車を降り少し歩いたところで友人の阿部から声をかけられた
「久しぶり~宿題全部やった?」
「昨日の夜になんとかおわらせたよ、そっちは?」
「俺?びっくりするなよ、まだ終わってない」
「さすがやな」
「まあなんとかなるっしょ」
阿部は中学校こそ違ったものの塾が一緒でよく話していた太陽のように明るいやつだ
「早く彼女作りてえなあ」
「阿部ならすぐできるやろ」
遠くから歩いてくる人影を見つけ
「あっ可愛い子みっけ!後でインスタ聞こ」
「すーぐそういうことする」
呆れたと言わんばかりの私の言葉に
「何言ってんだい青春だぞ青春。もう追いついちゃったんだぜ、ずっと見てた学園ものドラマの登場人物の年齢に」
「やば、確かに」
「人生で1番楽しい期間らしいぞ」
「まあのんびり頑張るか」

私達は高校から入った外部進学生なので、自動的に1年1組となる
母と別れ、阿部と共に最上階である5階の1番はじの教室に着いた私たちは、黒板に貼ってある表から自分の席を探し、座ろうとしたとき
「隣だねよろしく!」
いきなり隣の女子から声をかけられた
中学卒業後しばらく女子と話していなかった私は急な出来事に思わず敬語がでてしまった
「よ、よろしくお願いします」
「いやなんで敬語なん」
「私は藤江さくら。あなたは?」
「ーーーー」
「えーじゃあーーって呼んでいい?」
いきなり下の名前で呼ばれ、心臓の鼓動が早くなっているのを感じる
こちらをまっすぐ見つめるその目は澄んでおり鼻は高く、西洋の美人さながらだった
背中に汗が流れ始め自分の顔が赤くなる
「いいよ。…藤江さんはどこ中?」
なんとか会話を続けようと質問を絞り出す
「私は桃下中だよ。ーーは?」
やはり呼ばれ慣れてない名前に戸惑いながら
帰る方向一緒だなと少し安堵する
「俺は睡蓮中」
「えっやば結構近いじゃん」
「いや別そんな近くないやろ」
「確かに…」
「……」
「……」
しばらく見つめあった後、にやっと笑う彼女を見て本当に可愛いなと思った
もっと話したいと話題を切り出そうとした瞬間、チャイムが鳴りひびき、はげ頭の担任がいそいそと入ってきた。
こうして私の高校生活は始まった
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