居酒屋店主の恋

メタボ戦士

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第9話 通り魔

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 家に帰ったら昼餉ひるげを作って食べた。

 その後私は夜働いて眠いので家で昼寝、菊太郎は何処かに出掛けて行った。

 しばらくして夕方になった。

 起きたら菊太郎は帰って来ていなかったので夕餉を作って1人で食べた。

 読売の摺物で通り魔の事件が起きていることを知ってから心配になったので菊太郎が帰って来るまで起きていようとしたが、睡魔には勝てずにすぐに寝た。

 しばらくして朝になった。

 菊太郎は家の中にはいなかった。

 何か嫌な予感がした。

 なんとなく家から外に出ると人が家の前で倒れていた。

 見覚えのある着物と顔だった。

 ·····これは菊太郎だ。
 
 すぐに傍に駆け寄った。

 遠目から見てもわかるほどの重症だった。

 死んではいないようなので前は引きずって運んだが今回は悪化しそうなので、近所の人に手伝ってもらい家まで運んだ。
 それから治療を始めた。
 
 傷口はまず、きれいな手ぬぐいに水を染み込ませたもので汚れを取ってから焼酎で消毒。
 その後軟膏を塗りきれいな手ぬぐいで傷口を巻いた。

 治療が終わった。

 生きているか確認するために胸元に耳をあてた。
 
 〈ドクンドクン〉と心臓の音が聞こえたので、どうにか一命を取り留めたようだったので安心した。

 今日は本当は夜営業をするつもりだったが、菊太郎が心配なので休みにして看病をすることにした。
 
 朝から夜までずっと菊太郎の頭を水で湿らした手ぬぐいを頻繁に替えたり、薬草を煎じた薬を飲ましたりして1日が終わった。

 菊太郎は夜に目覚めた。

 どうして重症になったかの事情を聞いたら、夜に夜明かし帰り1人でフラフラしてたら通り魔に遭遇したらしい。

 初めは応戦したが相手は強いし菊太郎は酔っ払い状態で途中から酔いが回り思うように動けなくて最終的にこの家まで逃げたが、戦っているときに負った傷で意識を失って家の前で倒れたらしい。

 全部聞いて用心棒なのに情けないと思ったが、何だか可哀想だったので「あなたが死ななくて良かった。」とだけ言って抱き締めた。
 
 急に抱き締められて菊太郎はわたわたしていたが、すぐに私の背中に優しく手を回して「心配させてすまない。看病してくれてありがとう。」と弱々しく言った。

 私達の関係は恋人でも夫婦でもないが家族ではあるなとこのとき思った。
 
 それから1ヶ月後、菊太郎は完治した。

 完治するまでの間は通り魔に遭遇するのが怖くて夜営業はしていなかったので、完治後久しぶりに夜営業をした。

 お客さんがお店に来たときに「最近夜に営業していなくて恋しかった。」や「またこのおしどり夫婦が見れて嬉しい。」等の好意的な意見をたくさん言われた。

 居酒屋はこれだから辞められないと思った。

 しばらくしてお店を閉めた。

 家に帰るときは通り魔が来なそうな出来るだけにぎやかな道を通った。

 通り魔には遭遇しないで帰ることが出来た。

 その後家で安心して寝た。

 

 

 

 


 
 
 
 

 
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