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第5話 来訪者
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出逢ってから1ヶ月が経過した。
私と菊太郎は一緒に暮らして同じ店で働いているので、近所ではおしどり夫婦と噂されていた。
·····結婚はしてないのにね。
私と菊太郎は恋人や夫婦の関係ではなく、お互いの利益のために一緒にいるだけの仕事の仲間?相棒?みたいなものだと互いにわかっている。
だからこれからも発展することはない。
互いに好みではないし、相手が出来るまでのつなぎだ。
いつかお互いに相手が出来ればこの変な共同生活も終わる。
·····まぁそんなすぐではないだろうからそれまでは仲良く平和に暮らそう。
しかしある人が私の家に来て穏やかな生活にヒビがはいる。
それは暑い日だった。
早朝営業が終わり家に帰ったら私の家の前に見覚えのある人がいた。
「お母さん、久しぶり。」
「お菊、葬式以来ね。あなたの旦那さんの。」
「そのことはもう聞きたくないから言わないで。今日は何で来たの?」
「あなたに見合い話を持ってきたのよ。あなた23の年増で良い相手を見つけるのに苦労したけどやっと私のお眼鏡に合う人を見つけたわ。あら、お隣にいる方は?」
「某はお菊さんのお店で用心棒をしている菊太郎と申す。?」
「用心棒?それだけならもう帰っているはず、どうして私の娘の家の前にいるのかしら。」
「お母さん、実はこの人と暮しているの。」
「えっなんで!」
「住む家がないらしくて、それに同情して一緒に暮らしているの。」
「あなたの旦那だった人はもう死んでいるからってホイホイと他の男性、それも素性のわからない人と暮らすなんて馬鹿なことをして。」
「お母さんには関係ないでしょ、私はもう生娘ではないし。」
「私はあなたのことを心配しているから言っているのよ。ほらこんな男追い出してさっさと見合い相手と再婚しなさい。」
「再婚は別にしても良かったけど、お母さんの言い方が気に入らないからしない。」
「幼稚なこと言ってもう!隣のあなたはどう思っているの菊太郎さん、さっきから黙っているけど。」
「お菊さんは雇い主なので某に言う権利はありません。お菊さんが家から追い出したいと言うなら出ていきます。」
「菊太郎がいなくなっては困るわ。今では家族みたいなものだから。菊太郎に相手が出来るまでは一緒にいてよ、寂しいじゃない。」
「お菊さん·····」
「あなた達、私を置いて自分達の世界に入らないでよ。わかったわもう!今回は断るわよ見合い話。それで文句はないわね。」
「お母さん···」
「でも菊太郎さんを認めたわけではないから。認める前に娘に手を出したら許さないわよ。」
「お母さん、私と菊太郎さんはそんな関係じゃないから大丈夫よ。ね、菊太郎。」
「うむ。それだけは否定されてもらいます。」
「まぁいいわ、私はもう帰るから。」
「もう帰るの?まだいたらいいのに。」
「見合い話のために来たのに断るんだからここにいてもしょうがないでしょ。」
「さようなら元気で…」
「さようなら、またいい見合い話を持って来るわ。」
お母さんが帰って行った。
2人だけになると静かになった。
····気まずい、さっき恥ずかしいこと言ったから。
この空気に耐えられないので今日の給金渡して「この金でたまには遊郭にでも遊びに行って」と追い出した。
何か私に聞きたそうな顔をしていたが私が無視したら諦めて金を握りしめて出て行った。
その後私は家でのんびり過ごした。
夜になった。
菊太郎が戻って来なかったので1人で夕餉を食べて寝た。
それから翌朝。
菊太郎は朝起きたときには戻っていなかった。
菊太郎も男だからしょうがないと諦めて朝餉を作った。
それを食べている途中、聞き取れないけど外から声が聞こえた。
·····菊太郎やっと帰ってきたか。
食べるのを中断して外に出た。
·····えっ?
菊太郎が知らない女性と肩を抱いて家の前にいた。
私と菊太郎は一緒に暮らして同じ店で働いているので、近所ではおしどり夫婦と噂されていた。
·····結婚はしてないのにね。
私と菊太郎は恋人や夫婦の関係ではなく、お互いの利益のために一緒にいるだけの仕事の仲間?相棒?みたいなものだと互いにわかっている。
だからこれからも発展することはない。
互いに好みではないし、相手が出来るまでのつなぎだ。
いつかお互いに相手が出来ればこの変な共同生活も終わる。
·····まぁそんなすぐではないだろうからそれまでは仲良く平和に暮らそう。
しかしある人が私の家に来て穏やかな生活にヒビがはいる。
それは暑い日だった。
早朝営業が終わり家に帰ったら私の家の前に見覚えのある人がいた。
「お母さん、久しぶり。」
「お菊、葬式以来ね。あなたの旦那さんの。」
「そのことはもう聞きたくないから言わないで。今日は何で来たの?」
「あなたに見合い話を持ってきたのよ。あなた23の年増で良い相手を見つけるのに苦労したけどやっと私のお眼鏡に合う人を見つけたわ。あら、お隣にいる方は?」
「某はお菊さんのお店で用心棒をしている菊太郎と申す。?」
「用心棒?それだけならもう帰っているはず、どうして私の娘の家の前にいるのかしら。」
「お母さん、実はこの人と暮しているの。」
「えっなんで!」
「住む家がないらしくて、それに同情して一緒に暮らしているの。」
「あなたの旦那だった人はもう死んでいるからってホイホイと他の男性、それも素性のわからない人と暮らすなんて馬鹿なことをして。」
「お母さんには関係ないでしょ、私はもう生娘ではないし。」
「私はあなたのことを心配しているから言っているのよ。ほらこんな男追い出してさっさと見合い相手と再婚しなさい。」
「再婚は別にしても良かったけど、お母さんの言い方が気に入らないからしない。」
「幼稚なこと言ってもう!隣のあなたはどう思っているの菊太郎さん、さっきから黙っているけど。」
「お菊さんは雇い主なので某に言う権利はありません。お菊さんが家から追い出したいと言うなら出ていきます。」
「菊太郎がいなくなっては困るわ。今では家族みたいなものだから。菊太郎に相手が出来るまでは一緒にいてよ、寂しいじゃない。」
「お菊さん·····」
「あなた達、私を置いて自分達の世界に入らないでよ。わかったわもう!今回は断るわよ見合い話。それで文句はないわね。」
「お母さん···」
「でも菊太郎さんを認めたわけではないから。認める前に娘に手を出したら許さないわよ。」
「お母さん、私と菊太郎さんはそんな関係じゃないから大丈夫よ。ね、菊太郎。」
「うむ。それだけは否定されてもらいます。」
「まぁいいわ、私はもう帰るから。」
「もう帰るの?まだいたらいいのに。」
「見合い話のために来たのに断るんだからここにいてもしょうがないでしょ。」
「さようなら元気で…」
「さようなら、またいい見合い話を持って来るわ。」
お母さんが帰って行った。
2人だけになると静かになった。
····気まずい、さっき恥ずかしいこと言ったから。
この空気に耐えられないので今日の給金渡して「この金でたまには遊郭にでも遊びに行って」と追い出した。
何か私に聞きたそうな顔をしていたが私が無視したら諦めて金を握りしめて出て行った。
その後私は家でのんびり過ごした。
夜になった。
菊太郎が戻って来なかったので1人で夕餉を食べて寝た。
それから翌朝。
菊太郎は朝起きたときには戻っていなかった。
菊太郎も男だからしょうがないと諦めて朝餉を作った。
それを食べている途中、聞き取れないけど外から声が聞こえた。
·····菊太郎やっと帰ってきたか。
食べるのを中断して外に出た。
·····えっ?
菊太郎が知らない女性と肩を抱いて家の前にいた。
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