居酒屋店主の恋

メタボ戦士

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第1話 出逢い

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 これは江戸時代に生きた居酒屋の女店主の菊と浪人の物語。

···············································································

「ふぅー最後のお客さんも帰ったから暖簾のれんをおろして帰るか。」
 
〈ガタッ〉
 
 ·····んっ?
 
 店の外に出たら、店の前で小汚い着物の男が倒れていた。

 ····なんか薄汚れているな···浪人か。
 
 このまま放置して大事になったら迷惑なのでお店の片付けが終わったら、私の店の近くの居住している長屋まで引きずって運んだ。

 長屋に着いたら、布団を敷いて浪人をそこに寝かした。

 よく見ると怪我をしていたので応急処置で傷口を水を染み込ませた手ぬぐいで拭いてから薬草をつぶして作った軟膏を塗って手ぬぐいで巻いた。

 終わったらお腹が空いたので、家にあった玄米と少量の野菜で雑炊を作った。
 
 食べようとしたら浪人が目覚めた。

「目覚めましたか、気分はいかがですか?」
 
「あれ…ここは?それがしは外で倒れたはずがどうして…」

「ここは私が居住している長屋です。あなたが店の前に倒れていたのでここまで運んで、怪我の応急処置もしました。」

「かたじけない、借りは返そう。しかし今は金を持っていないから身体で返す。」

「えっ!いりませんけど、それ目的で助けたわけではないですし。」

「勘違いするな女、働いて返すということだ。それにお前みたいな年増は好みではないわ。」

「失礼しちゃうわね、まだ23よ。」

「十分年増だ。」

「助けたのにさっきから失礼ね、まぁいいわ。話を戻すけどあなた見たところ浪人だけど働く場所なんてあるの?」

「そなたのお店があるではないか。お店をやっているのであろう。それがしは今は浪人だが、昔は凄腕の武士だったから用心棒ぐらいはつとまるぞ。」

「わかりました。用心棒は前から誰か雇おうとしていたのでいいでしょう。タダ働きはよくないので安いですけど給金も出します。」

「それは良かった。あと金が貯まるまでそなたの家に住まわせてもらえないか。前住んでいた長屋は家賃を滞納して住めなくなったから。」

「わかりました、困っている人はほっとけないのでいいですよ。どうせ私は好みではないから襲われる心配もないですしね。」

「そなた意外と根に持つ性格か。好みではないけど美人ではあると思うぞ。」

「今頃お世辞ですか、まぁいいですよ。そういえばあなたの名前を聞いてなかったので教えてもらえませんか。あなただと複数いたとき区別つかないので。」

「浪人になってから名前はない。そなたがつけてくれ。」

「じゃあ私の名前菊からとって菊太郎はどう?」

「それでいい。そなた菊という名前か。」

「そうよいい名前でしょ。」

「ああ…そうだな。」

「お世辞でも嬉しいわ、ありがとう菊太郎。今日からよろしくね。」

「ああ…こちらこそ。」

 変な共同生活が始まった。

 
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