女装男子と私

メタボ戦士

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35話 放課後●●

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「夏樹、ここまで黙ってついて来てみたけどなんで映画館?」

「気になる映画があるから美月とみたくて。」  

「そうなんだ。でもなんで初めから『映画館』と言わないで秘密にしたの?」

「その方が何処に連れて行かれるか妄想が掻き立てられるだろ。それこそ変態の美月ならラブホに行くとか思ったんじゃないw?」

「ハハッ····馬鹿じゃないの~w」

「はっ?」

「ラブホは未成年だけでは補導されるから使えないんだよ。だからそんな妄想するわけないじゃんw」

「あっそ。」

「えっ·····逆に夏樹は私にそんな妄想をして欲しかったのw〈ニヤニヤ〉」

「うっさいな!」

「むっつりチェリーボーイだねw」

「そういう美月はラブホに詳しいみたいだけど、どうなんだよ!?」

「秘密✩」

 ······漫画でラブホの話を描こうとしたときにネットで調べた情報だけどね。
 まぁ夏樹には秘密w

「まぁ美月何かをラブホに誘う変わり者なんていないから、どうせネットの情報だろ?」

「〈ギクッ〉失礼ね。」

「えっ?じゃあいたの?」

「秘密✩」

「もうどうでもいいや、映画のチケット買うぞ。」
 
「そう、何みるの?」

「恋愛映画。」

「興味ないんだけど。」

「おい、漫画を描いているやつが恋愛映画を興味ないはヤバいだろ···」

「確かに。でも私はアニメ派だから。」

「変な屁理屈だな。まぁポップコーンと飲み物を奢るからみようぜ。」

「わかった、それならいいよ。でもなんで私と恋愛映画をみたかったの?」

「1人でみてると周囲に変な目で見られるから、カモフラージュ役が欲しくて。」
 
「最低な理由ね。まぁいいわ。」

「ありがとう美月。」

「ほらさっさとキャラメルポップコーンとアイスコーヒーを買って来なさいよ。私が映画のチケットを買っとくから。」

「え?奢ってくれるの?」

「奢らないわよ。あとで返金してね。」

「残念、わかったよ。」

「どの席でみる?」

「真ん中で一緒にみれたらいい。」

「了解。」

 ······『一緒に』なんてワードに踊らされては駄目。
 こいつはポップコーンを食べたいだけなんだから。

 10分後

「ポップコーンと飲み物買ってきたよ。はいアイスコーヒー」

「〈ガシッ〉ありがとう。」


「ポップコーンはキャラメル&塩のハーフにしたけどいい?」

「まぁいいけど····さっきまでよく3つも持ってられたね。ポップコーンと飲み物2つ。」

「気合でどうにかなった。」

「そっか。私も買ったから行こうか。」

「わかった。今両手が塞がっているから、美月がチケットを渡してね。」

「わかってる。」

 
〈ビリ···、ビリ····〉 


「●番スクリーンに行こう。」

「おぅ。」

「席はG14とG15で真ん中にしたけどいいよね。」

「もちろん。」


 数分後。


「人があまりいないね。」

「初日じゃないからこんなもんだろ。」

「まぁ座ろう。〈ガチャ···スッ〉」

「そうだな。〈ガチャ····スッ〉あのさ···美月」

「何?」

「ポップコーンはお互い取れるように真ん中でいいよな?」

「いいよ、話はそれだけ?」

「それだけ。」

「あっそ。じゃあそろそろ映画も始まるから静かにしてくれる?」

「·····さっきまで乗り気じゃなかったくせに」

「何か言った?」

「別に。」

 
 数分後。

 映画が始まった。

「〈スッ〉ポリポリ·····」

 ····ポップコーン、美味い。
 でもわりと音出るな~他の人ってどのタイミングで食べてんだろ····

「〈スッ〉ポリポリ····」

〈スッ····ピト···シュ···〉

「······ゴメン夏樹」
  
〈チョン〉

 ······ん?夏樹の口が動いてる
 
 何々····iiu····わかった!『イ·イ·ヨ』だ。
 別に小声で伝えればいいのに真面目だな。

 まぁそれが夏樹の良さか。

 気にしてないみたいだしポップコーン食べよう。

「〈スッ〉ポリポリ····〈ガシッ···〉ジュ·····」

 ·····美味!

 1時間30分後。

 ·····うわ····キスシーンだ····漫画の参考になるな~
 しっかり目に焼き付けとこう。
 ついでに夏樹の顔もチラリ····
 ハハッ····ノーリアクション気取ってるけど耳赤w
 美男のくせに可愛いな~

 あーあー映画館じゃなければ夏樹のベストショットを撮れたのに残念。
    
 15分後。

「面白かったね····」

「そうだろ。どのシーンが1番良かった?」

「やっぱり主人公の女性と相手役の男性がキスするシーンかな。あれは漫画の参考になったわ。」  

「あっそ。」  

「なんか不服そうだね。」

「だってあのキスシーン、わりとディープで破廉恥ハレンチだったじゃん。」  
  
破廉恥ハレンチってwプッ·····」

「笑うなよ。」

「夏樹が乙女みたいなリアクションをとるからw」

「だって恥ずかったから。」

「自分からこの映画に誘ったくせにw」

「それはそうだけど、宣伝をみてここまでとは思わなかったんだもん。」

「あっそ。でもファッションとかメイクとか素敵だったし、総合的に夏樹にとってもいい映画だったんじゃないの?」

「それ目当てで見に来たから確かにそうだな。」

「そっか····じゃあ夏樹の機嫌も直ったし帰ろうか。」

「そうだな。たまには家まで送ろうか?」

「いい。お父さんに見つかったら面倒くさいから。」

「そう言われると逆に送りたいな~」  

「2人でいるところをお父さんに見られたら、夏樹····背負投げやられるわよ。」

「それは嫌だな。じゃあ途中までにしよう。」

「わかったわ。」

 数十分後。

「何かあったらL●NEするわ。」

「了解。じゃあね。」

「またな~」
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