新都市伝説

さくら書院(葛城真実・妻良木美笠・他)

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死人屋敷《しびとやしき》

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 住む者がいなくなり放置されている空き家には問題がある。ゴミが放り込まれたり、不良少年の溜まり場になったり、野良猫や浮浪者が住み着いたり…。問題のなかでも最悪なのが死人しびとの巣窟となってしまうことだ。
 家屋に死人しびとが入り込んでいた例で有名なものに、「三叉路さんさろ死人屋敷しびとやしき」がある。山手線の上半分のいずこかに(敢えて、地区名や駅名等は伏せる)にあったもので、眼窩の落ち込んだ老人夫婦ふたりの姿をした死人が入り込み、周囲の人から生気を吸い続けていたとされる。
 意識を失ったり、集中力を奪われた自動車運転手が何人か三叉路で事故を起こしていたが、たまたま見通しが悪く信号機もない三叉路であったために道路事情に起因するものと考えられ、注意の看板が作られたり、信号がつけられたりした。もちろん、本当の原因を潰していない対策が効果を発揮するはずもなく、事故はその後も続いた。
 三叉路の近くに引っ越してきた人が病気になることも多かったが、空気が悪いせいなどと考えられ、死人屋敷が原因と気づくものはいなかった。
 長らく空き家になっていた三叉路の死人屋敷が売りに出されることになり、家屋の持ち主と不動産が屋敷のなかでみたものは、半透明の爺婆であった。「誰だ!」と家主が声をかけた瞬間ににやっと笑って老人たちは消えたという。
 いまでは「三叉路の死人屋敷」は解体され、その土地には高層マンションが建っている。
 高層マンションの空き室の窓の向こうに老人二人がいるのを見たという者が数人いる。死人しびとは同じ土地を好むのだろうか。
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