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獣欲都市(サティロスによる蹂躙)

宝珠茎

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 真っ赤に塗られた石壁にXの形をした黒い拘束台が取り付けられている。いま、拘束台には紅緒《べにお》が縛られていた。「女神の熾火」のせいで意識は朦朧とし、力が出ない。

 サブは注射器の用意をしていた。ピストンを押すと、鋭く光る針の先から一滴、透明な液体が跳ぶ。飛沫は虹色の霧を作った。

「仕切り直しだよ。魔法少女ってのは数が少なくてねえ、実験がしにくいんだ。潜入捜査に来たのを捕まえるぐらいしかない。俺の実験は随分と金かかっちゃってねえ。なんで、こんな大金つぎこんで、ひとをいい気持ちにしてやんなきゃいけないんだって、時々思うことあるよ」

 紅緒のシャツをめくりブラジャーを外すと、硬めの乳房が現れた。右乳首を押さえ注射した。

「はわぅ……」

 痛いはずの乳首から快感が突き抜ける。紅緒の脳はもう十分に毒に侵されている。

 サブはアンプルに注射器の針先を入れ、「女神の熾火」を補充すると左乳にも注射した。そして、スカートとパンツを下ろし、紅緒の股間をまさぐる。

「小さいなあ。射ちにくいよ」

 ついに蕾のなかのピンク色の実を発見し、サブは注射針を刺した。

「ひゃぁぁ……あぁあああぁぇああ……」

 乳首とは比較にならない快感。あまりの気持ちよさに失禁した。黄色い液体があたりに流れ続ける。

「やめてぇ! 見ないでぇぇ!」

 絶対に見知らぬ男には効かれたくない恥ずかしい音が続いた。

「しょんべん垂れ魔法少女だなぁ」

「言わないで! もう、やめて!!」

 どうしようもない快感に紅緒は立っていられなくなる。拘束している革バンドで腕と足首が擦られた。痛みはない。快楽だけがある。

「また一例増えた。女神の熾火を使われた魔法少女が、魔法で反撃した例はない。ルビーの魔法少女、君もお得意の爆裂魔法とやらを使わないよなあ。これすごいことだと思わないか。魔法少女は淫神シュブ=ニグラスに勝てない。人間にも勝てない。無敵ぶっていても結局は獣鬼専用兵器ってことだ」

 サブが言っていることばは紅緒の耳をすり抜けていった。今は何も言われても理解できない。歯噛みしながら紅緒は言った。歯を食いしばっていなければ、「オチンポください」と言い出しそうな自分が嫌だった。本当はそんなこと言いたくない。負けたくない。だが、シュブ=ニグラスの毒は彼女の全身を淫らな肉の塊に変えてしまっていた。



 紅緒がサブに薬物調教を受けている頃、隣の部屋では依莉翠も災難にあっていた。

 激しい音楽。ドライアイスで作られた白煙を頬に当てられ、依莉翠《いりす》は目を覚ました。赤い絨毯を敷き詰めたステージの上、椅子に身体を縛りつけられていた。胸のまわりを固定する赤いロープが水風船じみた巨大な胸をさらに強調している。ふくらはぎと膝は椅子の脚に固定されてる。少しだけ開いた脚が気になるが閉じることができなかった。そして思い出す「女神の熾火」の効果であると。

 明るいステージと闇に沈んだ客席。顔は見えない。しかし、気配と温気、そして、かすかな臭気がステージまであがってくる。フェロモンと汗、精液。牡の臭いだ。

「これは……なんですの?」

 依莉翠は声に出した。

 その疑問への返答はすぐにあった。

「ただいまより、みなさんお待ちかね。魔法少女と七色男の本番ショーをお送りいたします!」

 ステージに登場した蝶ネクタイの男がマイクに叫んでいた。

「まずは、緑の髪の魔法少女に拍手!」

 まばならな拍手があった。

「彼女は催淫剤によって戦意を奪われ、ご覧のように拘束されております」

 男たちのうぉおという唸り声に依莉翠は身の危険を感じた。いまにもステージにあがって犯しにきそうな迫力であった。

「もうひとりの主役は、魔法実験により七色の宝石を埋め込まれてしまった哀れな男。埋め込まれた場所は、なんとオチンポ。歩く宝石逸物《ジェムリンガ》、七色男です!」

 スポットライトが灯される。そこにいたのは身長二メートルをはるかに超える大男だった。頑強そうな骨にまとった太い筋肉には魔法陣の入れ墨がほどこされ、股間から天を突くのは魔法石のきらめきを放つ大逸物。その直径は太いところで一五センチはあった。長さは獣鬼の比ではないが、おぞましき肥根である。

 七色男は無言で依莉翠に近づいてくる。

「何をするつもりですの。まさか……そんな太いの、無理ですから。無理です。私のどこにも入りませんから――」

 言っている口を宝石逸物《ジェムリンガ》で押し広げられた。ミシリと音を立てて依莉翠の口の端が切れた。そして顎が外れる。

「あががぁ、ばざぁがぁ…ぞんぬぁ……」

 もう依莉翠は口を閉じることができなかった。口に挿入されたとき、魔法石の力は確かに感じられた。しかし、配置が正しくないため、魔力のほとんどが相殺されてしまっている。

「なんとお、七色男のオチンポが魔法少女の口を破壊。魔法少女は反撃できるのか?」

 司会の男が叫んでいる。できるわけがない。シュブ=ニグラスの体液に毒されているいま、魔力を集めることはできない。身体へのダメージが大きくなれば生きていることもできなくなるレベルだ。

 椅子に座ったまま、服を着た上から、七色男に股間を触られた。乱暴すぎてまったく気持ちよくない――はずだが、すぐに快感がこみ上げてきた。シュブ=ニグラスの毒は本当におそろしい。痛みと快楽を置き換えてしまう。しばらく指で愛撫され続けていくうちに依莉翠は抵抗する気力をさらに失っていった。

 七色男が腰に提げていたナイフを抜く。シャツを切られ、スカートを切られた。ごく薄く身体に刃を当ててくる。すべての服を剥ぎ取られた時、依莉翠は身体は赤い線だらけになっていた。

 七色男は依莉翠の手足を縛っているロープを切ると、ナイフをしまった。大股開きをさせて、ついに、ついに太魔羅を没入させてきた。

「むひぃ、むひぃらぁからぁら……」

 大口が閉まらないまま、依莉翠が叫びをあげる。

 膣口から順に内側から破壊しながら、おぞましき物体が押し入ってきた。



 拘束を解かれたと思ったら、黒いシーツを敷いたベッドに放り出された。サブに裸に剥かれたが、まだ紅緒は注射のほかには何もされていない。

 目の前にいる男の視線を浴びている恥ずかしさだけでも、乳首は尖って飛びだしてくるし、陰核は触れば弾けるのではないかと思うほど腫れている。そのすぐ後にある蜜壺からはいやらしいぬるぬる汁があふれてシーツを濡らしていた。これがオチンポなんて負けないといえるのか、負けてないと言いたいだけではないのか紅緒にはわからなくなってきた。

早くしろ、と言いたかったが、それを言ってしまえば魔法少女ではなくなってしまうと歯を食いしばる。横からよだれが垂れても。

「さすがはアグネス機関が中世から磨き上げてきた魔法兵器だけはある。やっぱり魔法少女ってのは最強だな。前の時より耐性が高まって、この期に及んで正気が残ってるなんて。ああ、そうだ。サングラスの女って先輩が訪ねてきただろう。彼女にクスリを渡して、校門の前に行かせたのは俺だよ」

「何のために!?」

 意味不明の事件に思えたが裏があったとは。紅緒は真相が知りたかった。

「ああ、濃縮版「女神の熾火」を注射された後でも喋るんだねえ。君は今まででいちばん耐性が高い。最強のうちでも最強の魔法少女だ」

 サブが言ったが、紅緒はまったく嬉しくなかった。

 サブは突然ズボンのファスナーを開けた。四つの宝石を埋め込んだペニスがはねあがった。宝石逸物《ジェムリンガ》だ。ただし、別室で依莉翠の膣を壊しかけている七色男のものよりはずいぶんと細い。

「試させてもらっていいかなあ。僕のと君のとどっちが強いか。犯しきれるかどうか。旧バージョンとは君のお友達が戦っている。今頃、股間が大変なことになっているかもしれないなあ」

 言いながら、サブは宝石を埋め込んだモノを紅緒に突き入れた。

 一拍おいて、悲鳴があがった。

「干渉したのか。なんてひどい」

 サブの宝石逸物《ジェムリンガ》は根本から折れ、ねじれた陰茎が床に落ちていた。サブはそれを見て卒倒した。



 それより早く、七色男に太魔羅を突っ込まれていた依莉翠のところでも同じ現象が起きていた。依莉翠は陰茎が千切れて倒れた七色男を気の毒に思い、治癒魔法を使ってみた。その器官は神々の加護を受けていないものだろう。まったく作用しなかった。自分に治癒魔法をかけて、外れた顎を再生した。依莉翠はすでに「女神の熾火」の解毒を完了している。紅緒と同じく、前回、初めてその毒を受けた時は大違いだった。

「魔法少女と七色男の本番ショーはこれまでです。続いて、この勇敢な魔法少女を皆さんがお召し上がりください。店のおごりです。煮るなり焼くなり存分にどうぞ!」

 司会の男が言う。わっとステージに向けて男どもが押し寄せてくる。

「冗談じゃございませんわ」

 依莉翠は言い、ステージの端から逃げ出した。その先には紅緒がいた。

「早く逃げましょう。もう、使うしかないわ。爆裂魔法 ソーラー・コロナ!」

 一〇〇万度以上のプラズマで壁に穴を開け、二人は夜の新宿の闇に全裸で駆け出した。

 全裸の二人を隠す空気の壁。さらに依莉翠は風の魔法を使って空を往く。

 二人の魔法少女は罠からの脱出に成功した。



 翌日、警察が新宿の邪神教団に突入し、数本の「女神の熾火」アンプルと大量の「聖獣の涙」の瓶を押収した。この日を境に、邪教教団による違法薬物密売ルートは潰えた。

 しかし、「聖獣の涙」はそれからも闇市場に流通し続けた。暴力団が目をつけたのである。屈強なハンターたちは獣鬼をとらえに人神不可侵条約で定めた境界、山の手の向こうまででかけていった。そして、ロシア製の対戦車ライフルを使って獣鬼を仕留めていったのである。

 それら銃声は人と邪神との新しい時代の幕開けを告げていた。もう、人はただ邪神に蹂躙されるだけの存在ではないと。人類の反撃は、魔法少女の役割を大きく変えるものでもあった。

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