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秋
互いの寂しさの話
しおりを挟むイズミくんは泣きながら、何度も何度も「ごめんね」と耳元で囁いていた
私はそんな彼に対し何も言えなかった
「イズミくん…」
私の手は無意識に彼に触れていた
そしてそっと、イズミくんがしてくれたように優しく頭を撫でてみた
イズミくんはそんな私の行動に驚きつつも、やがてそっと目を閉じた
「……人の温度って、こんなに暖かかったんですね」
そう言ってイズミくんは私に身を委ねる
…うん、わかるよ
人肌の心地良さ
安心するよね
私もそうだった
「……」
あなたが好きな人を失った今、その温度を思い出すように
私もね、××と別れてから知ったんだ
人の温度の温かさを
失ってから知るなんてバカみたいだよね…
「こんな風に…ずっといられたらよかったのに」
「…うん、わかるよその気持ち」
だって、私たち、よく似ているから
同じ境遇だから嫌でもわかる
すごく、すごく、すごく
寂しいんだよね
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