〜幸運の愛ガチャ〜

古波蔵くう

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〈6〉その後

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 夕陽荘。俺ら運賀家は運が無くなった。一戸建ての豪邸から安値のボロアパートに引っ越しした。病んだ俺が今更、学校に行けるはずがない。制服は今、制服屋が作ってもらっているが。あのニュースで『貧乏人』と言われるのが、目に見えてしまう。ちなみに、俺の我が家と彼女を火にかけた犯人火野福多ひのふくたは、現住建造物等放火罪げんじゅうけんぞうぶつとうほうかざいで逮捕された。俺の彼女も殺したんだ。重過失致死罪じゅうかしつしちしざいも加えて死刑になればいい。
『随分、落ち込んでいるみたいだね』
機械音声の女声の声が聞こえた。後ろを向くと、ラブポンのガチャポンがいた。
「どこから入った?」
俺は気の抜けた声でに言った。
『RomanceLab(株)が倒産して、彷徨っていたら……あなたを見つけたんだ』
ラブポンは、職を失って行く宛てを探している途中に俺を見かけたみたいだ。
「俺に何の用?」
俺はラブポンに聞く。
『彼女、お亡くなりになりましたよね? もう1回引けますよ? 新硬貨の500円玉を入れてくれればですけど』
「新硬貨どころか、500円すら持ってねぇよ」
俺は財布の中身を見せる。
『持っていないと思いまして……下段のガチャポンをご覧ください』
ラブポンの電子看板が下の矢印を映し出す。
「そういや、ラブポンは上段にあったな」
俺はしゃがみ、下段のガチャポンを見る。
「『硬貨ガチャ 
~1円から500円まで~ 1回100円』安いな……新硬貨が入っているのか?」
俺はラブポンに聞く。
『ちゃんと目を凝らしてご覧になって?』
俺は硬貨ガチャの表紙を隅々まで見ると
『※新硬貨もあり』
と書いてあった。俺は財布から100円硬貨を取り出し、入れてガチャポンハンドルを回す。すると、オレンジ色のカプセルが出てきた。中には新硬貨の500円玉が入っていた。俺は新硬貨の500円玉を入れようとすると
『ちょっと待って』
ラブポンが喋る。
「何?」
俺は首を傾げる。
『このガチャでラストチャンスですよ』
ラブポンは続けて
『私は、このあとスクラップ工場に行って生涯を終えます……しゃちょーも未成年を人身売買していたとして捕まったので』
ラブポンは哲平社長が捕まったことも話した。哲平元社長は未成年の女子高生を拐って、俺のような彼女の出来ない高校生をターゲットにラブポンを使用させていたみたいだ。俺はラブポンに新硬貨の500円玉を入れる。
『あと、私にはもう一つ秘密があってですね』
ラブポンは続けて
『私がラブポンになる前に、前置かれていた場所で事件がありまして亡くなった人の霊魂が宿ったのです……その亡くなった人の願いが「たくさんの人を幸せにする」だったので……』
ラブポンは、哲平元社長が作ったロボットガチャポンではなくて霊魂が宿った喋るガチャポンだった。俺はラブポンのガチャポンハンドルを回す。すると、黒いカプセルが出てくる。
『あなたが、最期のお客様です……唯一無二の彼女とお幸せに』
ラブポンはキャスターを走らせて、後ろへ下がっていく。
『永遠に、さようなら』
ラブポンは、体当たりで扉を開けて出て行った。
「最期に、彼女を引かせてくれてありがとう」
俺は翌日に向かう。そして商品を確認する。商品は藤原結衣だった。
ー完ー
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