〜幸運の愛ガチャ〜

〈５〉放火

　夏休みが終わって、数週間が過ぎていた。藤原はカモメの鳴き声と潮風が漂う海へ、俺は学校に登校した。俺は学校ではライトノベルサイズの本を読んでいる。もちろん、ジャンルは恋愛。すると、同じクラスの男子生徒陰山昇かげやまのぼると黒川陸くろかわりくが何やら話している。この２人は女子からモテていない。
「最近、不運調子乗ってね？」
「そういや、風の噂で聞いたんっすけど、不運彼女出来たらしいっす！」
「マジか……恋愛運大凶のくせに！」
昇と陸は、俺のところに来た。
「不運良……おめぇ、彼女できたのか？」
昇が聞いてきた。
「そ、そうだけど？」
俺は昇の声が普段と違うことから少し恐怖を感じた。
「ちょっと、こっち来い……」
俺は無理矢理、２人に腕を掴まれて、床に押さえつけられた。
「なんで、おめぇだけ良い思いすんだよ！」
「成績も、金も、恋愛も全て手に入れやがって！」
俺は昇と陸に暴力を振るわれた。
　翌日。俺は部屋の隅で縮こまっている。
「マコくん？　もう学校行く時間だよ？」
藤原が押し入れの扉を開ける。
「ごめん……今日は体調悪いから、明日行くよ……」
俺は部屋の隅に体育座りで座っていた。腕の中に顔を埋める。
「昨日から元気ないけど、ホントに体調が悪いの？」
藤原が俺に真偽を問う。
「行きたくない……学校に……」
俺はどうしても、言えなかった。彼女と家系でいじめられたなんて。
「どうして？」
藤原が問い詰めてくる。
「俺の恋愛運が大吉だから……」
俺は恋愛運が大吉だと答えた。すると、藤原は俺の肩に手を置く。
「海の風にあたりに行こう？」
と。言う。藤原は俺が藤原を家に入れるために使った脚立を使って家を抜け出す。俺も降りた。俺はその日から、藤原と海に行って波の音とカモメの鳴き声を聞きながら、海を眺めていた。だが、そんな日々は一夜にして無くなった。
　深夜。俺の部屋が煙臭い。
「近所がＢＢＱバーベキューでもやっているのか？　やるなら川でやれよ」
俺は煙を出すため窓を開けると、
「え！？　燃えてるのって俺の家！」
俺は学校の教科書や貴重品などをまとめて立ててあった脚立を使って降りた。藤原も降りる。母は、燃える家を茫然と見ていた。
「父さんは？」
俺は父がいないことに気付いた。母は燃える我が家を指差す。まさか、まだ家の中に居るのか。
「私が助けに行く！」
藤原が助けると言う。
「藤原が死ぬのに！？」
俺は藤原を止める。
「行かないでくれ！　父さんはもう焼かれているかもしれない……」
俺は行くなという。もしかしたら、父さんはもう焼死しているかもしれない。
「まだ生きている可能性はあるよ……私が行かなかったら義父とうさんが助からないでしょ……」
藤原が紙ヤスリの入った紙がスカートのポケットから落ちた。辺りにはまだ消防隊が来ていない。
「私はずっとマコくんの心にいるから！」
藤原は燃え広がる家に向かう。
「またいつかね……」
藤原は燃え広がる家に飛び込む。父が投げ出されるように出てきた。すると、家が爆発を引き起こした。
「た、助かった……」
父は安堵の息をつく。
　数時間後。
「鎮火しました！」
家が爆発を起こしてから数分後、消防隊が到着して消化活動を行なった。
「家の中に残された人は？」
消防隊長が家内に入った消防隊員に問う。
「全員、避難しました！」
家内に入った消防隊員が報告する。俺はその消防隊員に掴みかかる。
「嘘だ！　俺の彼女がいるはずだ！　ちゃんと確認しろ！」
俺は両親から力づくで消防隊員から引き離された。その後も失礼な口調で怒鳴り続けていた。俺は彼女も家も亡くしたため、病んでしまった。