転生の微笑み 〜運命の美少女〜

女として生きる

　私はある夜に目が覚めた。すると、見知らぬ病室にいた。私はパイプ椅子に座らされていた。病院のベッドには骨と皮だけになった老人がいた。酷くボロボロになった羽根みたいなものと、輝きを失った輪っかが頭に付いていた。呼吸器でもしないと生きていけない状態になっていた。
「光……稀……」
この老人は私……俺の事を知っていた。
「貴方は誰なんですか？」
俺は口調は女性のまま聞いた。
「ワシは……神だ、石敢當という名の……神だ」
この老人は、石敢當という神様のようだ。
「神様が俺に何の用ですか？」
俺は石敢當をずっと見ていた。
「ワシは、もう後先長くない……力もあと僅か……それで、其方に選択肢を与える……」
石敢當は続けて
「１つは、ワシの力で男性に戻すことができる……男性に戻るか、もう１つはワシの力を使わずに女性として生きるかだ」
石敢當は人生の終止符で俺に選択肢を与えた。つまり、俺に性転換させたのは、この神だった。俺は一人称を『私』に変えて
「私には、大切になる人が出来ました……しかし、それは私が男性に戻ったら無くなるものです……なので、貴方の力は使いません」
と。石敢當に告げた。
「そうか……では、ワシは人生に終止符を打とう」
石敢當は、自ら呼吸器に手をかける。
「其方の人生に幸福が訪れることがあらんことを」
石敢當は、呼吸器を取った。
ーーピッ……ピッ……ピーー。
石敢當は亡くなった。私は生涯、女として生きる事を決めた。