〜比嘉一維の事件簿〜 『小６女児拉致殺人事件編』

本章

被害届〜捜査

　長木家。当時は家庭訪問の時期だった。に子の担任仲宗根愛都なかそねあいとが家を訪ねた。
「仲宗根先生、お待ちしておりました」
に子の祖母、仁ひとしが深々と礼をする。
「に子さんは？」
愛都は仁に聞く。
「まだ帰って来てませんが？」
に子の母、教ゆきが答える。
「そうですか、また後日尋ねて来ます」
愛都は、長木家を後にする。
　比屋良川公園前。愛都が次の訪問先に向かっていると
「仲宗根先生！」
呼ぶ声がした。に子と仲良くしている嵐士だ。
「下地君？　どうしたの？」
愛都が尋ねる。
「に子……変な男性と歩いていた！」
実は、嵐士の家の窓から犯行の一部始終が見えていた。
「下地君！　警察署に行きましょう！」
　宜野湾市警察署。
「犯人の特徴とか分かるかな？」
署にいた警察が嵐士に問いかける。
「中年の男性で、サラリーマンの服装してた……短髪の髪型だった」
嵐士が答える。
　数日後。宜野湾市警察の５人が捜索に動き出した。愛都は、に子の家族にも伝えて被害届を提出。警察５人はドローンを使い、空から捜索したり地下の駐車場に潜んでいないか調査したが手がかりも目撃証言すら無かった。
　数週間後。警察署はに子の誘拐犯を沖縄全域で指名手配犯にした。そして新たに那覇市警察署から５人の刑事と、合計１０人で捜査をしたが見つからなかった。に子の父親である大教ひろのりは、に子を探させる人を宜野湾市に集中させてポスターを配っていた。