Nature's Girlfriend

古波蔵くう

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Episode.4

〈7〉3学期開始

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 翌日。俺は目が覚めて、スマホの画面を見る。7時半だ。
「ヤバイ!今日から3学期だ!まずは、乙桜を起こさないと……」
俺は、乙桜を起こす。
「乙桜!起きろ!もう朝だぞ!」
俺は乙桜の股間からペニスを抜き、乙桜の肩を揺らすが起きない。
「揺らしても起きないなら!」
俺は乙桜の頬を叩いた。起きない。俺は呟いた。
「乙桜が起きないなら、俺は学校行かない……」
と。すると、乙桜が口を開いた。
「その言葉を待ってた……」
と。
「は?」
俺が顔を上げると、乙桜に頬を叩かれた。
「これでおあいこ!」
乙桜は可愛い笑顔を見せる。
「とりあえず、速攻で風呂入って制服や防寒着着て、学校行くよ……」
俺は立ち上がり、ユニットバスに向かう。
「乙桜も来い!時間短縮のために一緒に入るぞ!」
俺は乙桜を誘う。その後、俺らは風呂に入り、体だけ洗い、制服、防寒着を着て、リュックを背負い学校に向かった。
 実恋高校通学路。俺はマスクをして、夏服制服の上にジャージを着て、学ランを着て、手袋をして、マフラーを巻いて、学ランのポケットにカイロを2つ入れている。乙桜は、ただ冬服しか着ていない。
「寒い……」
乙桜が凍える素振りをする。
「仕方ねぇな……」
俺は、学ランとジャージを脱ぎ、ジャージを乙桜に羽織らせる。学ランを着直して、1つのカイロとマスクを乙桜に上げた。そして、片方の手袋を乙桜の左手にして、マフラーを自分と乙桜の首に巻き、もう片方の手は、俺の学ランポケットに入れた。
「これなら寒く無いだろ?」
俺は乙桜に聞く。
「うん……ありがとう」
乙桜はお礼する。
「職員室まで同行する……着いたら、返してよ」
俺は続けて
「一応、学校内暖房効いているから」
俺は乙桜と手を繋いで、登校した。
 侑也のクラス。
「侑也!新学期早々遅刻するな!」
俺はクラス担任、浜辺海丸はまべ うみまる……通称ハマベン先生に叱られた。
《昨日乙桜とセックスしなけりゃ、遅刻しなかったよ……》
俺は放課後、居残ることになる。
「そうだ!今日はこのクラスに転校生が来た!入ってきてくれ!」
ハマベン先生が、教室戸越しに声を掛けると乙桜が入ってきた。ハマベン先生は黒板に『栗丸乙桜』と書く。
「栗丸乙桜だ!みんな、仲良くしろよ!」
ハマベン先生が、乙桜の名前を言う。
「栗丸乙桜です……よろしくお願いします」
乙桜が、声を発すると男子生徒達が歓声を上げる。
「可愛い!」

「俺、乙桜と付き合うぜ!」
などと、言っている。済まんが、乙桜は既に彼氏持ちなんで。
「じゃあ、乙桜は侑也の隣な!」
俺は左を向くと、ちょうど空席だった。
《まぁ、良かったよ……同じクラスの野郎共の自然が怖いが……》
俺は、頬杖を付く。乙桜は先に腰を下ろすと、
「侑也……くん?」
初めて、俺を『くん』づけで呼んだ。
「何?」
俺は乙桜に顔を向ける。
「学校では、どのように接したらいい?」
「知り合いと言うことで、接してくれ……」
俺は『知り合い』という立場で、接するよう提案した。
「分かった」
乙桜は、カバンを机の上に置く。
「1時限目は体育だから準備しとけよ!」
ハマベン先生は、教室を出た。
「体育かよ……ダル……」
俺は体操着を持って、体育館に向かう。
 昼食時間。俺は空き教室で弁当を食べていた。すると、乙桜が空き教室に入ってきた。
「見つけた……」
乙桜が第一声を放つ。
「捜していたの?」
俺は驚く。
「彼氏が居なくなったら、心配するよ……」
乙桜が俺の前の席に座る。
「今日、家帰ったら何しようか?」
乙桜が今日の予定を聞く。
「先生の都合で居残る可能性があるかも……」
俺は帰るのが遅くなるかもしれない。
「そっか……じゃあ私も一緒に残ってあげる」
乙桜も残ると、言う。
「乙桜はダメだよ!その……お腹に胎児も居るし……」
俺は昨日の記憶が微かにだが覚えている。
「私の妊娠期間……人間と違って5ヶ月だからね」
乙桜は妊娠期間を宣告した。
「早くね?人間なら超早産だよ?」
俺は驚く。
「じゃあ、私は早く帰って待っとくよ!」
乙桜は教室を出た。
「鍵閉めたまま、寝ないと良いんだが」
俺は弁当を食べ終わる。
 放課後。俺は教室に居ると
「侑也!なぜいる?」
ハマベン先生は、驚く。
「遅刻した罰として、居残っています……」
俺はノートに連立方程式を書く。
「今日は帰れ、彼女とデートなんだ」
先生の都合で、居残りを免除してくれた。
 校庭。俺はスキップしながら帰ると、
「侑也!」
俺を呼ぶ声がする。振り向くと最近2股が発覚して非リア充になった球磨川空野くまがわくうやが来た。
「どうしたんだ?」
俺が問いかけたら、球磨川は野球バットを持って俺に振りかぶった。俺は回避した。
「いきなり、何すんだ!」
俺は怒鳴る。球磨川は答えた。
「俺は栗丸を狙ってたんだ……他校から来た奴なら、俺の浮気なんて知らんから、俺の浮気なんて知らんのに……だが、コクったらフラれた!『侑也という彼氏が居る』ってな!年中無休の非リアなテメェが何彼女作ってんだ?」
俺はバットで顔を打たれた。鼻血と吐血が同時に出た。俺は球磨川が怖くて、学校に行きたくなくなった。
 翌日、朝。
「侑也、学校に行く時間だよ?」
乙桜がクローゼットで縮こまっている俺に言う。
「行きたくない……」
俺は膝の中に顔を突っ伏す。
「どうして?」
乙桜が問う。
「言えない……」
俺は答えられなかった。この件は乙桜が関係しているからだ。
「私も学校に行きたくないの……昨日に少なくとも10人に告白されたから……全員断ったけど」
乙桜は扉を背もたれに腰を下ろした。
「何て言って断ったの?」
俺は聞いてみた。
「『私には、心に決めた相手がいますので』や『顔と名前も分からない貴方とは、お付き合い出来ません』とか言ったよ?」
「そうか……」
俺はそれ以上、何も聞かなかった。乙桜も何も聞かなかった。こうして、俺と乙桜は、学校に行く事を拒否した。
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