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田舎から都会へ
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翁嫗の家。嫗が庭の縁側で編み物をしていた。翁は今日も生活を賄うためサトウキビを栽培しに行った。蛍姫は庭に生えている太い巨木を見ていた。
「蛍姫や……ここに来て、一緒に編み物せんか?」
嫗が誘うが、蛍姫は聞く耳を持たない。すると、蛍姫は巨木を1蹴りする。びくともしない。1発殴ってみる。少し揺れた。嫗は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっていた。
「婆さんや、戻ったぞ」
翁もサトウキビ栽培から戻ってきた。すると、木の揺れる音で翁も蛍姫を見る。蛍姫は何度も巨木を殴っていた。そしてとうとう
ーーボキッ! バキバキッ!
音を立てて巨木は倒れた。
「蛍姫や、ボクシングが上手いんか?」
翁が聞いた。
「いえ、これはボクシングではなく格闘技ですよ?」
蛍姫は格闘技と答えるも
「これは、ボクシングだ……こうしちゃいられん……都会に行くぞ!」
翁はボクシングと完全に思い込んでしまい、都会へ行くと言った。
「まぁ、爺さんや……早とちりせんで、もう少しの間待ちなさって」
嫗が止めに入る。
「確かに……済まなかった」
翁は縁側にサトウキビの入った竹樽を置く。
数ヶ月後。蛍姫はいつものように庭に生えている木を殴ったり蹴ったりして折っていた。
「婆さんや、蛍姫ボクシング強くないかい?」
「爺さんや、蛍姫を都会に行かせましょう」
翁と嫗は、蛍姫を呼ぶ。
「蛍姫や、ボクシングに興味はないか?」
翁が問う。
「翁さん……何度も言いますが、私がやっているのはボクシングではなく格闘技です」
蛍姫は、翁にボクシングではないと説明するも
「蛍姫や、ボクシングに男も女も関係ないんだよ」
と、嫗さえボクシングと思っている。翌日、翁と嫗、蛍姫3名はタクシーに乗り都会へ行った。
ボクシングの試合時。
「1・2・3! 勝者、蛍姫!」
審査員が、蛍姫の片腕を上げる。対戦選手はダウンして戦力低下していた。蛍姫の1蹴りでバテた。こうして、蛍姫は1夜で名を馳せた。翁と嫗は、蛍姫がボクシングで勝ったお金でタワマンの最上階に住んだり、高い服を着たりしていた。いわゆる豪遊の老後生活である。
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嫗が誘うが、蛍姫は聞く耳を持たない。すると、蛍姫は巨木を1蹴りする。びくともしない。1発殴ってみる。少し揺れた。嫗は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっていた。
「婆さんや、戻ったぞ」
翁もサトウキビ栽培から戻ってきた。すると、木の揺れる音で翁も蛍姫を見る。蛍姫は何度も巨木を殴っていた。そしてとうとう
ーーボキッ! バキバキッ!
音を立てて巨木は倒れた。
「蛍姫や、ボクシングが上手いんか?」
翁が聞いた。
「いえ、これはボクシングではなく格闘技ですよ?」
蛍姫は格闘技と答えるも
「これは、ボクシングだ……こうしちゃいられん……都会に行くぞ!」
翁はボクシングと完全に思い込んでしまい、都会へ行くと言った。
「まぁ、爺さんや……早とちりせんで、もう少しの間待ちなさって」
嫗が止めに入る。
「確かに……済まなかった」
翁は縁側にサトウキビの入った竹樽を置く。
数ヶ月後。蛍姫はいつものように庭に生えている木を殴ったり蹴ったりして折っていた。
「婆さんや、蛍姫ボクシング強くないかい?」
「爺さんや、蛍姫を都会に行かせましょう」
翁と嫗は、蛍姫を呼ぶ。
「蛍姫や、ボクシングに興味はないか?」
翁が問う。
「翁さん……何度も言いますが、私がやっているのはボクシングではなく格闘技です」
蛍姫は、翁にボクシングではないと説明するも
「蛍姫や、ボクシングに男も女も関係ないんだよ」
と、嫗さえボクシングと思っている。翌日、翁と嫗、蛍姫3名はタクシーに乗り都会へ行った。
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