密にできないコイ

古波蔵くう

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Episode.2

ライバル

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 7月27日、体育バドミントン。今日から水泳組の生徒とバドミントンをする。今はペア決めをしているのだが、誰も私と組んでくれなかった。すると源くんが来て
「亀山……一緒にしない?」
と。ペアを組んでくれた。だけど
「男女別じゃないといけないんじゃないの?」
と。問いかける。すると源くんは体育の先生に聞きに行った。
「先生、男女別のペアでも構いませんよね?」
先生の答えは
「まぁ、男女別とは指示してないからな」
だった。私は源くんとシングルスでプレイすることになった。私は中学の頃、部活はバドミントンに所属していたため上手かったのだが源くんはド素人だった。サーブやスマッシュなど全てが下手くそだった。
 10数分後。先生が笛を鳴らす。
「5分休憩後、ダブルス!」
次は、ダブルスをするみたいだ。源くんは走り回ってプレイしていたため、汗だくになっていた。男子生徒たちが給水機で水を飲んでいる間、なぜか源くんだけ行かなかった。大丈夫だろうか。
 5分後。私と源くんで、最初に戦うのは島崎しまざきひよりと県内唯一の国立大学(弥生大学)附属中学校卒の岩田夏澄いわたかすみ
 プレイ中。私と源くんはマッチポイントまで行った。私が打ち返した後に、突然源くんが倒れた。
「源くん!」
「ゆっきー!」
私以外のクラスメイトは、源くんの事『ゆっきー』と呼ぶ。下の名前が侑久だからだろうか。一旦試合は中止し、源くんを保健室に運んでもらった。
 1階、保健室。私とひよりちゃんは、熱中症で倒れた源くんを看ていた。シングルスとダブルスの間の休み時間に、水を飲まなかったからだろう。
「ねぇ仁和……」
ひよりちゃんが、口を開く。
「どうしたの?」
私が顔を見る。
「体育館、先に戻っといて」
ひよりちゃんは、立ち上がって私を保健室の出入り口へ押していく。
「え? なんで?」
私はどんどん押していくひよりちゃんに問いかける。
「あとは、私がゆっきーを看とくから!」
などと、言っていた。出入り口まで押していった後
「私は……ゆっきーが好きだから」
と。言われて保健室の扉を閉めた。
ーーグサッ!
突然、胸に槍が刺さったような痛みを感じた。もしかしたら、私は見知らぬ内に源くんを好きになっていたのかもしれない。そう思うと自然と涙が出てしまう。すると
「ん? 亀山か?」
III組の長田くんが来た。
「なんで、長田くんが?」
私は泣き顔で長田くんを見る。
「侑久が倒れたって聞いたから……亀山はなんで泣いているんだ?」
長田くんが、私と目線を合わせる。
「源くんは、ひよりちゃんが好きみたい……」
と。答えた。
「侑久さ、中学の頃女嫌いだったから、好きなわけないぜ? 島崎が勝手に言っているだけだ」
長田くんは、そう言った。だけど、真実が分からない。私はこの先、源くんを避けることになった。
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