密にできないコイ

古波蔵くう

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Episode.2

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 翌日、朝のHRホームルーム前。私は自分の席に腰を下ろすなり、本を開く。すると、源くんが登校してきた。そして、手指消毒をする。そして、自分の席に向かっていたら、私が読んでいた本を見て目を見開いていた。すると、リュックを机に置いて私の席の前に立ちはだかる。私が顔を見ると、昨日のドス黒い目とは違い優しい黒い目をしていた。
「放課後……校門で待ってる」
そう言って、自分の席に戻った。
 放課後。私が校門を見ると、源くんが花壇の煉瓦レンガに腰を下ろしていた。私が校門に来ると、源くんは
「本とスマホ貸して」
と。言ってきた。私はスマホと例の本を出す。すると、源くんは本の1番最後のページを開いてスマホで写真を撮っていた。そして、スマホと本を返した。スマホの画面には、本と同じ文章が映し出されていた。
「全部読んだら、感想教えて」
源くんは、帰路へ向かった。私は登下校でその本を読み終えた。
 6月下旬、音楽I。私の通う奈留高校には芸術科目が選択制になっている。音楽、美術、書道の3つから選べる。第2希望まで選べた。私は第1希望を音楽に、第2希望を美術にしていた。そして、数学IAと英語、体育は合併クラスで数学、英語は『標準クラス』と『応用クラス』に分けられる。標準クラスは、HR教室で応用クラスは特別教室棟の4階にある空き教室で受ける。体育はAグループとBグループと男女別で分かれていて。Aグループは陸上競技、Bグループは水泳となっている。男女合同になるのは、バドミントンのみ。そして、不思議なことに私は音楽Iと数学IA、英語は源くんと同じクラスだった。話を戻して、私は授業の間の休み時間に源くんの席に向かう。源くんは、目にクマが出来ていた。あまり寝ていないのだろうか。私は源くんの席の机から頭だけ出して
「本、全ページ読んだよ」
私がそう伝えると
「どうだった?」
と。聞いてきた。私は
「なんか、何回も胸の辺りがジーンっと熱くなった」
と。伝えた。
「その感情は、胸がキュンキュンしたって言うんだ」
源くんは、そう教えてくれた。
 7月10日。レイノウイルスの影響で、休校が続いた学校は期末考査だけ行われた。今は、HR教室の席替えを行なっている。担任が青とピンクの付箋紙を机に貼る。青の付箋紙は男子、ピンクの付箋紙は女子と。そして、II組は女子が合計で10名しか居なくて、2、3人組でバラバラの席になる。私は、左から3列目の1番後ろの席。源くんは左から2列目の1番前。1番前の席と前から2席目は、目が悪い人や成績を上げたい人のための席で希望できる。
 席替え後。私は驚くことに気づいた。私の席は元源くんの席だった。そして、他にも
 7月15日、生物基礎。一年の必修科目である生物基礎と化学基礎は2クラスに分かれていて、担当の先生がランダムで生徒を選ぶ。私と源くんは同じ教室。化学基礎も私と源くんは同じ教室。私は左列の1番前。先生が点呼しながら、席を指定している。すると、源くんは、私の隣の席だった。源くんは鳩が豆鉄砲を喰らった目をしていた。
《ににゃも、驚いているけど……》
正に、奇跡と呼べる瞬間だった。
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