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第5章:教師の訴え
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体育館、プール。私は悠斗をおちょくっていた男子生徒数名に体育館のプールに呼ばれた。プールの水面にはトンボが飛んでいて、卵を産んでいたのだろう。すると、男子生徒数名の1人が
「お前さ、音楽の時間両手パタパタさせていただろ! やかましいからやめろよ!」
と言う。
「お前、障害持ってたよな?お前の親、マグロだったのか?」
と。私の親を侮辱する。母親は毒親だけどマグロじゃない。
「お前さ、マグロだったら陸で呼吸できねぇだろ……プールで生活しな!」
すると、男子生徒数名は突進して私を制服を着させたままプールに突き落とした。私は泳げず、溺れていた。
「マグロなんだから、泳げるだろ!」
男子生徒数名は、私を助けようともせず、プールを後にした。すると、悠斗が飛び込んで助けてくれた。
「星崎……大丈夫か?」
悠斗は問いかけて、体操着を渡す。
「何で体操着なの?」
私が問いかける。
「タオル持ってきてねぇから」
悠斗が答える。私は制服を脱いで、プールサイドの日向に当たる部分に置いて乾かした。すると、悠斗はまた鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。私は分かった。悠斗は男の子だから、私の下着姿を見て興奮している。
「ちょっと待ってて……」
悠斗はリュックからトレパンとジャージを取り出した。
「俺が後ろ向いている間に着替えて……下着も濡れているだろうし、脱いでいいから」
悠斗は私に背を向ける。悠斗は私にノーブラノーパンでジャージを着るように言った。
「ちょっと今回のは、先生に報告した方がいい……星崎、できるか?」
悠斗は私に背を向けたまま問う。
「真理子先生に言うの?」
私が問いかけ直す。真理子先生は私が小学校を卒業する年に同じく離任して桜丘中学校で特別支援学級の担任をしている。
「違う……通常学級の先生に」
悠斗は答える。
「俺らのクラス担任、伊藤先生でもいい」
悠斗はクラス担任でもいいと言う。2組のクラス担任伊藤光一先生は、心理学を研究していて生徒をよく理解している。
「分かった……」
私は制服と下着が乾くまで、プールで腰を下ろしていた。すると、悠斗がハンガーを持ってきた。
「プールサイドだと、床の小石みたいなのが付くだろ?」
悠斗が通学に使うリュックは何でも入っている。幸い、午後は国語と数学で通常学級に行くことは無かった。
道徳の時間。今日は教科書の内容ではなく、特別授業をするらしい。
「今日は、いじめや差別について考える時間を持ちたいと思います」
と。伊藤先生が言った。
「今回は、いじめや差別が人々にどのような影響を与えるのかを実例を上げて紹介しようと思う」
伊藤先生は、いじめと差別について語った後
「今日は、ある生徒が書いた手紙を紹介します……名前は伏せていますが、皆さんにとって大切なメッセージが含まれています」
と。言ってプロジェクターに読み込んだものを表示する。私は伊藤先生に今回のいじめを紙に書いて伝えた。喋ることが少なくて口下手だったから。
「では、先生が読み上げます」
私が書いた手紙は以下の通りだ。
『みなさんへ、
今日は、私が経験したことをお話ししたいと思います。私は障害を持っています。多動性が目立つため、じっとしているのが苦手で、時々周りの人に迷惑をかけてしまうことがあります。でも、それは私が悪いわけではなく、私の脳の特性なんです。
ある日、クラスメートから「お前の親、マグロだろ!」と言われました。さらに、「お前はプールで生活しろ!」と侮辱され、服を着たままプールに突き落とされました。その時、私はとても悲しくて、なぜこんなことを言われなければならないのか、なぜこんな目に遭わなければならないのか、理解できませんでした。
私は普通の人間です。みんなと同じように、笑ったり、泣いたり、友達と遊んだり、勉強したりします。私が障害を持っているからといって、差別される理由にはなりません。私もみんなと同じように尊重されるべきです。
この手紙を通じて、みなさんにお願いがあります。どうか、私のような人たちを理解し、受け入れてください。私たちはただ、少し違うだけで、みんなと同じように大切な存在です。
どうか、いじめや差別をやめて、みんなが安心して過ごせる学校を作りましょう。
ありがとうございます。』
と。生徒はざわめき始める。
「え? あの汚い字でそんなこと書いていたの?」
「いや、読めねぇよ……」
と言う声が聞こえる。私が書いたものだと一目瞭然で分かるのは、悠斗だろう。その後は先生が
「この手紙を聞いてどう感じましたか?」
「手紙の中で、どの部分が特に印象に残りましたか?」
「もし自分がこの手紙を書いた生徒だったら、どんな気持ちになると思いますか?」
などと質問し、ディスカッションして発表。感想書いて提出って感じだった。
放課後。悠斗が軽食を持ってきた。
「あの手紙、星崎が書いたの?」
悠斗が尋ねる。
「うん……報告には学習ノートに書いたらバレるから……」
私の通う中学校では、学校が作ったノートで学習しないといけない。ページが無くなったら、職員室まで行って新しいのを貰う。
「でも、星崎の気持ちがとても伝わった」
悠斗はそんなことを言う。私はその言葉に背中を押さえた気持ちになった。
《紙に書いて気持ちを伝えることが出来るんだ!》
と。初めてみんなと話せる方法が分かった。
「お前さ、音楽の時間両手パタパタさせていただろ! やかましいからやめろよ!」
と言う。
「お前、障害持ってたよな?お前の親、マグロだったのか?」
と。私の親を侮辱する。母親は毒親だけどマグロじゃない。
「お前さ、マグロだったら陸で呼吸できねぇだろ……プールで生活しな!」
すると、男子生徒数名は突進して私を制服を着させたままプールに突き落とした。私は泳げず、溺れていた。
「マグロなんだから、泳げるだろ!」
男子生徒数名は、私を助けようともせず、プールを後にした。すると、悠斗が飛び込んで助けてくれた。
「星崎……大丈夫か?」
悠斗は問いかけて、体操着を渡す。
「何で体操着なの?」
私が問いかける。
「タオル持ってきてねぇから」
悠斗が答える。私は制服を脱いで、プールサイドの日向に当たる部分に置いて乾かした。すると、悠斗はまた鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。私は分かった。悠斗は男の子だから、私の下着姿を見て興奮している。
「ちょっと待ってて……」
悠斗はリュックからトレパンとジャージを取り出した。
「俺が後ろ向いている間に着替えて……下着も濡れているだろうし、脱いでいいから」
悠斗は私に背を向ける。悠斗は私にノーブラノーパンでジャージを着るように言った。
「ちょっと今回のは、先生に報告した方がいい……星崎、できるか?」
悠斗は私に背を向けたまま問う。
「真理子先生に言うの?」
私が問いかけ直す。真理子先生は私が小学校を卒業する年に同じく離任して桜丘中学校で特別支援学級の担任をしている。
「違う……通常学級の先生に」
悠斗は答える。
「俺らのクラス担任、伊藤先生でもいい」
悠斗はクラス担任でもいいと言う。2組のクラス担任伊藤光一先生は、心理学を研究していて生徒をよく理解している。
「分かった……」
私は制服と下着が乾くまで、プールで腰を下ろしていた。すると、悠斗がハンガーを持ってきた。
「プールサイドだと、床の小石みたいなのが付くだろ?」
悠斗が通学に使うリュックは何でも入っている。幸い、午後は国語と数学で通常学級に行くことは無かった。
道徳の時間。今日は教科書の内容ではなく、特別授業をするらしい。
「今日は、いじめや差別について考える時間を持ちたいと思います」
と。伊藤先生が言った。
「今回は、いじめや差別が人々にどのような影響を与えるのかを実例を上げて紹介しようと思う」
伊藤先生は、いじめと差別について語った後
「今日は、ある生徒が書いた手紙を紹介します……名前は伏せていますが、皆さんにとって大切なメッセージが含まれています」
と。言ってプロジェクターに読み込んだものを表示する。私は伊藤先生に今回のいじめを紙に書いて伝えた。喋ることが少なくて口下手だったから。
「では、先生が読み上げます」
私が書いた手紙は以下の通りだ。
『みなさんへ、
今日は、私が経験したことをお話ししたいと思います。私は障害を持っています。多動性が目立つため、じっとしているのが苦手で、時々周りの人に迷惑をかけてしまうことがあります。でも、それは私が悪いわけではなく、私の脳の特性なんです。
ある日、クラスメートから「お前の親、マグロだろ!」と言われました。さらに、「お前はプールで生活しろ!」と侮辱され、服を着たままプールに突き落とされました。その時、私はとても悲しくて、なぜこんなことを言われなければならないのか、なぜこんな目に遭わなければならないのか、理解できませんでした。
私は普通の人間です。みんなと同じように、笑ったり、泣いたり、友達と遊んだり、勉強したりします。私が障害を持っているからといって、差別される理由にはなりません。私もみんなと同じように尊重されるべきです。
この手紙を通じて、みなさんにお願いがあります。どうか、私のような人たちを理解し、受け入れてください。私たちはただ、少し違うだけで、みんなと同じように大切な存在です。
どうか、いじめや差別をやめて、みんなが安心して過ごせる学校を作りましょう。
ありがとうございます。』
と。生徒はざわめき始める。
「え? あの汚い字でそんなこと書いていたの?」
「いや、読めねぇよ……」
と言う声が聞こえる。私が書いたものだと一目瞭然で分かるのは、悠斗だろう。その後は先生が
「この手紙を聞いてどう感じましたか?」
「手紙の中で、どの部分が特に印象に残りましたか?」
「もし自分がこの手紙を書いた生徒だったら、どんな気持ちになると思いますか?」
などと質問し、ディスカッションして発表。感想書いて提出って感じだった。
放課後。悠斗が軽食を持ってきた。
「あの手紙、星崎が書いたの?」
悠斗が尋ねる。
「うん……報告には学習ノートに書いたらバレるから……」
私の通う中学校では、学校が作ったノートで学習しないといけない。ページが無くなったら、職員室まで行って新しいのを貰う。
「でも、星崎の気持ちがとても伝わった」
悠斗はそんなことを言う。私はその言葉に背中を押さえた気持ちになった。
《紙に書いて気持ちを伝えることが出来るんだ!》
と。初めてみんなと話せる方法が分かった。
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