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第4章:合唱コンクールの日
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音楽室。私たちは今、合唱コンクールで歌う『平和の響き』を歌っている。女子はソプラノとアルトに分かれて男子は男声というパートしかない。三部合唱だ。
♫『いーつぅかー』男声
♫『自由な空がー』ソプラノ・アルト
♫『虹がかかりぃ』男声
♫『翼を広げ、てー』ソプラノ・アルト
♫『飛び立つ』男声
♫『風に乗せてー』ソプラノ・アルト
♫『大きな(風に)幸せを贈ろう』
男声、ソプラノ・アルトの合わさるところが少しズレた。
「はい、もう一回『いつか』から!」
音楽の先生がやり直しを支持する。私は合唱中、両手をパタパタと動かしていた。そして偶然なのか私の隣は丁度悠斗がいた。なんか、動脈が浮き出ていた。
《両手をパタパタするのやめろ!》
とでも、言いたげだが合唱中のためか口に出していない。あと、この多動性も私が動かしたくて動かしているわけじゃない。止めたいけど、前頭葉の働きが弱くて制御ができない。ついに我慢できなくなった悠斗は、私の片方の手に甲を合わせて無理やり止めていた。また離すとパタパタと動かすため、合唱中は手をくっつけていた。
音楽の授業終了後。悠斗が音楽の授業の教材を持って帰ろうとすると
「お前さ、付き合ってんの?」
と。聞いていた。
「違う! 俺は星崎となんて……」
悠斗は断固拒否する。
「お幸せになぁー!」
クラスメイトは悠斗をいじっていた。この日から『悠斗は輝のこと好きなんじゃないか説』という噂が誕生した。あと、私は中学校から1日1食の日が何日かあった。母親が最初の中間テストで全教科90点以上を取らなかったから朝食・夕食を抜かした。自分の飯は用意して空腹な私を前に美味しそうに食べている。ご飯に毒でも混ぜてやりたい気分だった。
放課後。悠斗が軽食を持ってきた。栄養失調で保健室に運ばれた際に、悠斗がお見舞いに来て
「これから俺が軽食を買ってくる」
と。言ってくれた。それから、夕食と明日の朝食をコンビニで買ってきてくれる。
「音楽の時間のあの両手をパタパタさせる行動やめてほしいんだけど?」
悠斗が私に怒鳴る。
「私だって好きであんな動きしたわけじゃなくて……」
私が動かしたくて動いたわけじゃないと言うと
「意思無関係に体が動く……星崎の手って義手なの?」
悠斗が私の手を引っ張る。
「悠斗、ち、違うよ! 義手じゃない!」
私が義手じゃないと言うと、手を引っ張るのをやめた。
「星崎さ、遅刻も多いよな……筆記用具忘れたら俺の筆箱丸ごと盗んでさ、窃盗だからな?」
私はよく授業に遅刻したり忘れ物をすることが多かった。そして、通常学級には頼れる人が悠斗しか居なかったから借りた。一応、授業が終わればちゃんと返した。
「太郎から、筆記用具借りているから何とかなっているけど……もう今後一切俺の筆箱盗るな! 自分の持ってこい!」
悠斗に筆記用具を取らないよう忠告された。たぶん、もう2度と貸してくれない。太郎とは、悠斗とは別クラスの岡田太郎のことだ。悠斗と友達だった。
♫『いーつぅかー』男声
♫『自由な空がー』ソプラノ・アルト
♫『虹がかかりぃ』男声
♫『翼を広げ、てー』ソプラノ・アルト
♫『飛び立つ』男声
♫『風に乗せてー』ソプラノ・アルト
♫『大きな(風に)幸せを贈ろう』
男声、ソプラノ・アルトの合わさるところが少しズレた。
「はい、もう一回『いつか』から!」
音楽の先生がやり直しを支持する。私は合唱中、両手をパタパタと動かしていた。そして偶然なのか私の隣は丁度悠斗がいた。なんか、動脈が浮き出ていた。
《両手をパタパタするのやめろ!》
とでも、言いたげだが合唱中のためか口に出していない。あと、この多動性も私が動かしたくて動かしているわけじゃない。止めたいけど、前頭葉の働きが弱くて制御ができない。ついに我慢できなくなった悠斗は、私の片方の手に甲を合わせて無理やり止めていた。また離すとパタパタと動かすため、合唱中は手をくっつけていた。
音楽の授業終了後。悠斗が音楽の授業の教材を持って帰ろうとすると
「お前さ、付き合ってんの?」
と。聞いていた。
「違う! 俺は星崎となんて……」
悠斗は断固拒否する。
「お幸せになぁー!」
クラスメイトは悠斗をいじっていた。この日から『悠斗は輝のこと好きなんじゃないか説』という噂が誕生した。あと、私は中学校から1日1食の日が何日かあった。母親が最初の中間テストで全教科90点以上を取らなかったから朝食・夕食を抜かした。自分の飯は用意して空腹な私を前に美味しそうに食べている。ご飯に毒でも混ぜてやりたい気分だった。
放課後。悠斗が軽食を持ってきた。栄養失調で保健室に運ばれた際に、悠斗がお見舞いに来て
「これから俺が軽食を買ってくる」
と。言ってくれた。それから、夕食と明日の朝食をコンビニで買ってきてくれる。
「音楽の時間のあの両手をパタパタさせる行動やめてほしいんだけど?」
悠斗が私に怒鳴る。
「私だって好きであんな動きしたわけじゃなくて……」
私が動かしたくて動いたわけじゃないと言うと
「意思無関係に体が動く……星崎の手って義手なの?」
悠斗が私の手を引っ張る。
「悠斗、ち、違うよ! 義手じゃない!」
私が義手じゃないと言うと、手を引っ張るのをやめた。
「星崎さ、遅刻も多いよな……筆記用具忘れたら俺の筆箱丸ごと盗んでさ、窃盗だからな?」
私はよく授業に遅刻したり忘れ物をすることが多かった。そして、通常学級には頼れる人が悠斗しか居なかったから借りた。一応、授業が終わればちゃんと返した。
「太郎から、筆記用具借りているから何とかなっているけど……もう今後一切俺の筆箱盗るな! 自分の持ってこい!」
悠斗に筆記用具を取らないよう忠告された。たぶん、もう2度と貸してくれない。太郎とは、悠斗とは別クラスの岡田太郎のことだ。悠斗と友達だった。
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