85 / 123
ケモノはシーツの上で啼く Ⅱ
7.介抱したい
しおりを挟む
柴尾はベッドから投げ出された斎賀の足に、するりと手を這わした。
一瞬、斎賀の体が強張った。
斎賀の顔がふいっと逸らされる。
「どうせ介助されるのなら……穂積の方がマシだった」
小さく聞こえた言葉に、瞠目する。
「……まさか、斎賀様はそういう意味で穂積先生のことがお好きなのですか」
二人の間にあった、入り込めないような空気。親友以上のものを感じていた。
柴尾はショックを隠せず、斎賀を見た。
「違う……っ。そんなわけなかろう」
少し怒ったように斎賀に睨まれる。
斎賀は口にするのを、一瞬だけ躊躇した。
「あいつは……、私に恋愛感情を持っていないからだ」
静かに斎賀が告げた。
それはつまり、斎賀に恋愛感情を持つ者が相手では、後腐れするからだ。
斎賀は柴尾を無下にはしない。けれど、柴尾に恋愛感情を持たれていることを面倒に感じていたのだ。
男同士なのだから、当然だ。分かった上での恋だ。改めて分かったところで傷つくこともない。
そう思っていたのに、それでも少し胸がちくりと痛んだ。
「僕の気持ちは……」
迷惑ですか、という言葉は口に出せなかった。
迷惑だと答えられるのが怖い。
項垂れそうになる代わりに、尾が元気なく垂れ下がる。
柴尾は目を閉じ、首を横に振った。
斎賀にどう思われようと、今は斎賀を早く楽にしてあげるのが最優先だ。
しゃがんだ柴尾の目の前に、ベッドから投げ出された斎賀の足。その先には、そそり立つ斎賀自身がある。
柴尾はゆっくりと手を伸ばした。
恐る恐る、触れる。天を向いたそれは、とろりと蜜を零していた。誘うように、柴尾を待つ。
手で扱くよりも先に、柴尾はそれを口に含んだ。何の抵抗感もなく、男のものを口に咥えた。
「……っ」
びくりと斎賀の太腿が動いた。
まさか斎賀も、口でされるとは思っていなかっただろう。柴尾ですら、自分で驚いた。
「うっ……」
堪えるようなくぐもった声が聞こえる。斎賀を見ると、左手で口を押えていた。声を出したくない、ということらしい。
男のものを咥えるなど初めてだが、要領は分かっている。
柴尾は自身の知る知識と経験で、紅く熟れた果実を頬張り、舐め上げ、甘美な蜜を吸い上げようとした。
「……っ、ふ……っ」
口を押える斎賀の手は両手になっていた。何が何でも声を出したくないらしい。
それでも時々漏れ出る声が、たまらなくいやらしく、柴尾を興奮させた。
「も……出る……離せ……っ」
達することを訴える斎賀の言葉を無視し、柴尾は蜜を強く吸引した。
斎賀の足がびくびくと震え、口の中に苦味が広がる。柴尾は躊躇することなく、それを飲み込んだ。
声は出さずとも、斎賀がたまらなく感じているのは手に取るように分かった。
インバスの熱を解放することが目的だったはずなのに、それよりもただ斎賀の乱れる姿が見たいという気持ちの方が強くなり始める。
さらに口淫を続けると、腕に温かなものがぱさっと触れた。思いがけないものに、柴尾は驚いた。
以前志狼から、斎賀は自分の意志で耳と尾を動かさないようにしてるのだと聞いた。
その尾が、もう一度ぱさっと動く。
尾が動いてしまうのを制御できないほど、興奮しているのだ。
そう分かると、嬉しさが込み上げてくる。
インバスのせいもあるが、柴尾の行為で興奮してくれているのだ。柴尾はより一層、夢中で果実を頬張り続けた。
一瞬、斎賀の体が強張った。
斎賀の顔がふいっと逸らされる。
「どうせ介助されるのなら……穂積の方がマシだった」
小さく聞こえた言葉に、瞠目する。
「……まさか、斎賀様はそういう意味で穂積先生のことがお好きなのですか」
二人の間にあった、入り込めないような空気。親友以上のものを感じていた。
柴尾はショックを隠せず、斎賀を見た。
「違う……っ。そんなわけなかろう」
少し怒ったように斎賀に睨まれる。
斎賀は口にするのを、一瞬だけ躊躇した。
「あいつは……、私に恋愛感情を持っていないからだ」
静かに斎賀が告げた。
それはつまり、斎賀に恋愛感情を持つ者が相手では、後腐れするからだ。
斎賀は柴尾を無下にはしない。けれど、柴尾に恋愛感情を持たれていることを面倒に感じていたのだ。
男同士なのだから、当然だ。分かった上での恋だ。改めて分かったところで傷つくこともない。
そう思っていたのに、それでも少し胸がちくりと痛んだ。
「僕の気持ちは……」
迷惑ですか、という言葉は口に出せなかった。
迷惑だと答えられるのが怖い。
項垂れそうになる代わりに、尾が元気なく垂れ下がる。
柴尾は目を閉じ、首を横に振った。
斎賀にどう思われようと、今は斎賀を早く楽にしてあげるのが最優先だ。
しゃがんだ柴尾の目の前に、ベッドから投げ出された斎賀の足。その先には、そそり立つ斎賀自身がある。
柴尾はゆっくりと手を伸ばした。
恐る恐る、触れる。天を向いたそれは、とろりと蜜を零していた。誘うように、柴尾を待つ。
手で扱くよりも先に、柴尾はそれを口に含んだ。何の抵抗感もなく、男のものを口に咥えた。
「……っ」
びくりと斎賀の太腿が動いた。
まさか斎賀も、口でされるとは思っていなかっただろう。柴尾ですら、自分で驚いた。
「うっ……」
堪えるようなくぐもった声が聞こえる。斎賀を見ると、左手で口を押えていた。声を出したくない、ということらしい。
男のものを咥えるなど初めてだが、要領は分かっている。
柴尾は自身の知る知識と経験で、紅く熟れた果実を頬張り、舐め上げ、甘美な蜜を吸い上げようとした。
「……っ、ふ……っ」
口を押える斎賀の手は両手になっていた。何が何でも声を出したくないらしい。
それでも時々漏れ出る声が、たまらなくいやらしく、柴尾を興奮させた。
「も……出る……離せ……っ」
達することを訴える斎賀の言葉を無視し、柴尾は蜜を強く吸引した。
斎賀の足がびくびくと震え、口の中に苦味が広がる。柴尾は躊躇することなく、それを飲み込んだ。
声は出さずとも、斎賀がたまらなく感じているのは手に取るように分かった。
インバスの熱を解放することが目的だったはずなのに、それよりもただ斎賀の乱れる姿が見たいという気持ちの方が強くなり始める。
さらに口淫を続けると、腕に温かなものがぱさっと触れた。思いがけないものに、柴尾は驚いた。
以前志狼から、斎賀は自分の意志で耳と尾を動かさないようにしてるのだと聞いた。
その尾が、もう一度ぱさっと動く。
尾が動いてしまうのを制御できないほど、興奮しているのだ。
そう分かると、嬉しさが込み上げてくる。
インバスのせいもあるが、柴尾の行為で興奮してくれているのだ。柴尾はより一層、夢中で果実を頬張り続けた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

お人好しは無愛想ポメガを拾う
蔵持ひろ
BL
弟である夏樹の営むトリミングサロンを手伝う斎藤雪隆は、体格が人より大きい以外は平凡なサラリーマンだった。
ある日、黒毛のポメラニアンを拾って自宅に迎え入れた雪隆。そのポメラニアンはなんとポメガバース(疲労が限界に達すると人型からポメラニアンになってしまう)だったのだ。
拾われた彼は少しふてくされて、人間に戻った後もたびたび雪隆のもとを訪れる。不遜で遠慮の無いようにみえる態度に振り回される雪隆。
だけど、その生活も心地よく感じ始めて……
(無愛想なポメガ×体格大きめリーマンのお話です)
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる