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そしてケモノは愛される

25.斎賀の愛<志狼>

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「しまった。私も服を脱いでおけば良かったな」
 肌に張り付いた服を、斎賀が摘まんだ。

 シャワーを止めると、脱ぎにくそうにしながら上の服を剥ぎとる。
 目の前に現れた斎賀の裸の上半身を見て、志狼は吐息を零した。

「斎賀様がキレイすぎて……迫力すぎて……。心臓、壊れそう……」
 うわ言のように呟くと、斎賀が優しく微笑んだ。

 ハンターを引退して昔より衰えてはいるはずだが、引き締まった綺麗な体だ。無駄な肉もなければ頼りないわけでもなく、バランスがいい。
 どうしてこんなに綺麗なのか。今までいやらしい目で見たこともないのに、その裸に興奮を隠せず目が離せない。
 同時に、綺麗でも何でもない自分の体が途端に恥ずかしく感じた。

「ひゃ」
 見惚れている隙に、泡をまとった斎賀の手に体を撫でられた。
 洗ってくれるようだ。くすぐったさを感じながらも、志狼は大人しくされるがままになった。

「……っ。さ、斎……っ」
 次第に降りてきた手に中心を包まれ、思わず志狼は後ずさる。
 柔らかな泡と優しく触れる手が、そこを一気に昂らせた。
「あ、う……っ」

 濡れた音が鼓膜をくすぐる。自分が濡らしているのか泡のせいなのか、分からない。ただ、もうすでにそこが蜜を零していることは想像できた。

 再びシャワーの湯が降り注ぎ、全身に点々と残っていた泡が洗い流されると、すっかり自己主張をした中心が現れ、志狼は恥ずかしくなった。

「お、俺……」
 言い訳のしようも隠しようもない。まさに丸裸、斎賀の前に曝け出されてしまった。

「これで、もう触れてもいいだろうか?」
 斎賀に優しく問いかけられる。

 まるで遠慮していたように言うが、さっきからいやらしい動きで触れていたのに。

 こういう場合、いいと言えばいいのか、志狼はどう返せばいいか分からず俯いた。
 目の前で斎賀が膝をつく。ぎくりとするのと、温かな湿ったものに中心が包まれたのは同時だった。

 そんな場所に斎賀が顔を埋めている状況も信じがたいが、斎賀が自分のものを口淫しているということも衝撃だった。

「あ……っ。う、嘘、ダメ……斎賀様っ」
 後ろに逃げようとするが壁に阻まれ、腰を斎賀に引き寄せられる。
「あ、あっ、や……っ。やだ、あ……っ」

 体中の熱がそこに集中する。斎賀の口の熱さで、そこが蕩けてしまいそうだった。

 気持ちが良すぎて、膝ががくがくと震え出す。壁に後ろ手をついて崩れそうになるのを支えた。だが、ほとんど斎賀の手に支えられているようなものだった。

「ダ…メ……。俺、コレ弱…っ……。あ、あ……あっ」

 斎賀の口の中に出すわけにはいかないと頑張ったが、堪えきれずに放ってしまった。

 肩で息をしながら、呆然とした。
 斎賀の口の中に出してしまうなんて、とんでもないことをしてしまった。

 尻を掴む斎賀の手が緩み、志狼は膝が崩れてぺたんと尻をつけて座り込んだ。目の前で膝をついた斎賀を見上げる。

 こういう時、恋人なら謝るのはおかしいような気もした。
 それよりも、もっと別なことがいい。

 志狼はそっと視線を下ろした。
「……お、俺も。斎賀様の……したい」

 男のものを咥えるという尋常ではないことなのに、妙に興奮していた。
 性別を超越した美しさのおかげかもしれないが、こんなことができるなんて、これが男を好きになるということなのだと思えた。

 志狼は斎賀のズボンの腰紐を解くと、濡れたズボンを下ろした。布の上からでもすでに斎賀が昂っていることが分かっていたが、現れたものを見て息を呑む。

 少ししゃがむと顔を近づけ、恐る恐るその熱を口に含んだ。見よう見まねで、顔を上下させて根元から先端に動かす。

「志狼……」
 熱っぽい吐息が頭上から聞こえ、さらに興奮した。あむっと必死で咥える。

 雄の部分を垣間見て、今更ながらに斎賀が男なのだと改めて思った。

 いくら斎賀がキレイでも、生物学上は男だということは分かっている。
 だが、高潔な斎賀は肉欲などという俗なことは無縁だと勝手に思い込んでいた。どんな美女に言い寄られてもかわしていて、誰かとそういった関係になるということを欠片も匂わせたことがない。

 だから、斎賀もこんなふうに興奮することがあるのだと、不思議な高揚感があった。しかも、そうさせている相手が自分なのだ。

 志狼の知る限りは、斎賀には女の影はない。だが、斎賀ほどのモテる男が経験豊富でないわけがない。
 はたして志狼で満足してもらえるのか。

 志狼は、そういった経験があまりない。というよりも、昔付き合った彼女と一度だけだ。
 その時に感じすぎてしまった志狼に対する彼女の反応に、以来そういった関係を持つことに消極的になってしまった。
 斎賀にも同じように、呆れられてしまったらどうしようと不安になる。

「ん……んむ、ふ……」
 一生懸命に斎賀自身に舌を這わせていると、斎賀に呼び止められ、志狼は顔を上げた。

「志狼。ベッドに行こうか」
 中心を張りつめさせて、斎賀が甘く囁いた。
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