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五.拘束
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大和が次に目を覚ましたのは、当然ながらベッドの上だった。
部屋の明かりはついたままで、一瞬寝入ってしまっただけのようだった。
体を起こそうと手を動かそうとして、思っていた位置にないことに気付く。
肩から伸びた腕は、下ではなく頭上に向かっていた。首を動かして見ることはできなかったが、両手首を布か何かで一括りにされていることが分かった。
状況が呑み込めずに、ただぽかんと口を開ける。
「目が覚めた?」
悠仁の声がし、大和は足の方へと視線をやる。
ギシ、とベッドが軋む。
何故悠仁がここに、と思うと同時に、悠仁を挟むように足を開脚させられている自分の状況に気付かされる。しかも、衣服どころか下着すら何一つ身に着けていない。
「なっ、え? 何?」
自分の状況が理解できず、大和は瞬きする。
先程の優しい態度の悠仁、あそこからじつは夢なのでは、と思う。
しかし、内股を撫でられる感触に驚き、それが現実だと思い知らされる。
悠仁が、両手を大和の両脇に置き身を乗り出す。ギシリとベッドのスプリングが沈み、悠仁の顔が近づく。
その表情はいつもと変わらない。見慣れた冷たい目で見下ろされた。
「兄さん。俺怒ってるの……知ってた?」
静かに顔の傍で囁かれ、大和は表情をこわばらせる。
大和がゲイであることだろうか。“告”の責任を投げ出したことだろうか。それとも、楽しく過ごせるはずの青春時代を大和がぶち壊してしまったことだろうか。
色々心当たりがありすぎて、どれについて言われているのかが分からない。ただ、もう何年も怒っているということだけは分かる。
すぐ間近にある悠仁の顔に、大和は視線だけを向ける。黙ったままなので、分からないということは伝わったようだ。
悠仁はため息をつき、体を起こした。
「こないだの尻軽っぽい男、何。恋人? あんなのが兄さんの好みなわけ? そもそも、そういう相手をよくも家に連れてこれたもんだね」
雨の日に充を連れてきたことを言っているのだと、大和はようやく分かった。
確かに家にセフレを連れてきたのは、不愉快に思われたかもしれない。だが、家でやましいことをしたわけではない。
それに、それなりに仲の良い充のことを尻軽呼ばわりされるのは、聞き捨てならない。大和のしたことで怒るならまだしも、充が何をしたというのか。
「恋人じゃない。でも、人の好みにケチつけられる謂れはない」
むっとした顔で、悠仁を見る。
怒っていると言うなら、大和に対する恨みつらみがもっと色々あるはずだ。
「………」
大和の態度が気に入らないとばかりに、悠仁は小さく舌打ちをした。
手に小さなボトルを持ち、キャップを開ける。それが何かと分かったのは、それを萎えたままの大和自身に垂らされた時だった。
いつも大和がセックスの時に使っているローションだ。箪笥の引き出しにしまっていたはずだ。
「お、おい」
思わず大和の声が焦ったものになる。それを使用することの意味が分かるからだ。
ローションは大和の膨らみに沿ってその下へと垂れていく。ローションを受け止めるように、悠仁の手が大和の奥の窄みへと触れた。
大和は男を抱いたことはあるが、抱かれたことはない。だから、その部分に触られるのは初めてだった。
思わず力んで、触れられることを拒んでしまう。だが、ローションの滑りを借りて、無理矢理に一本の指が身体の内部に押し込められたのが分かった。
「ゆ、悠仁…っ」
自分では幾度となくその行為をしたことがあるので、自分がされていることがどう相手の目に映っているのか、大和には手に取るように分かる。
ローションで濡らされた指が、指の第二関節まで入れられては抜かれる。想像して、足先がヒクリと震えた。想像以上の異物感だ。
「や……やめろって、悠仁」
ローションが追加され、指が二本に増やされたのが分かった。圧迫感で言葉が出ない。
大和は唇を噛んで耐えた。
静かな部屋の中に、ローションで濡れた指が抽挿される音だけがいやらしく聞こえる。
「う……」
悠仁が大和のことを憎く思っていることは分かっていたつもりだ。だが、今まで侮蔑するような態度は見せられても、嫌がらせのようなことまではされたことがなかった。
こんな仕打ちをするほど、憎まれているということなのか。
「ねえ、兄さん。これって解すのは二本くらいでいいの? それとも三本した方がいい?」
悠仁が熱っぽい吐息を零す。
その言葉に、信じがたい表情で悠仁を見る。
本当に、挿入するつもりなのか。指を突っ込まれている時点で薄々予想してはいたが、嫌がらせならそこまでするとも思いたくなかった。しかし、悠仁の言葉で現実味を帯びてくる。
「……な、なあ。本当にやめろって」
情けないことに声が震える。
大和は一括りにされた両腕を動かして抵抗を見せるが、ベッドのヘッドボードにも縛られていて、動かすことができない。左足は悠仁の足で押さえられ、右足は左腕でしっかりと固定されていた。
更なる圧迫感で、大和の中に三本目の指が入ったのが分かった。
「…っ、う」
何度か抽挿を繰り返し、悠仁の指が抜かれる。両足の膝裏をぐっと掴まれ、左右に大きく開かされた。
大和はその時が来たことに体をこわばらせた。
「ゆ、悠仁! お、俺、ソッチは…っ」
部屋の明かりはついたままで、一瞬寝入ってしまっただけのようだった。
体を起こそうと手を動かそうとして、思っていた位置にないことに気付く。
肩から伸びた腕は、下ではなく頭上に向かっていた。首を動かして見ることはできなかったが、両手首を布か何かで一括りにされていることが分かった。
状況が呑み込めずに、ただぽかんと口を開ける。
「目が覚めた?」
悠仁の声がし、大和は足の方へと視線をやる。
ギシ、とベッドが軋む。
何故悠仁がここに、と思うと同時に、悠仁を挟むように足を開脚させられている自分の状況に気付かされる。しかも、衣服どころか下着すら何一つ身に着けていない。
「なっ、え? 何?」
自分の状況が理解できず、大和は瞬きする。
先程の優しい態度の悠仁、あそこからじつは夢なのでは、と思う。
しかし、内股を撫でられる感触に驚き、それが現実だと思い知らされる。
悠仁が、両手を大和の両脇に置き身を乗り出す。ギシリとベッドのスプリングが沈み、悠仁の顔が近づく。
その表情はいつもと変わらない。見慣れた冷たい目で見下ろされた。
「兄さん。俺怒ってるの……知ってた?」
静かに顔の傍で囁かれ、大和は表情をこわばらせる。
大和がゲイであることだろうか。“告”の責任を投げ出したことだろうか。それとも、楽しく過ごせるはずの青春時代を大和がぶち壊してしまったことだろうか。
色々心当たりがありすぎて、どれについて言われているのかが分からない。ただ、もう何年も怒っているということだけは分かる。
すぐ間近にある悠仁の顔に、大和は視線だけを向ける。黙ったままなので、分からないということは伝わったようだ。
悠仁はため息をつき、体を起こした。
「こないだの尻軽っぽい男、何。恋人? あんなのが兄さんの好みなわけ? そもそも、そういう相手をよくも家に連れてこれたもんだね」
雨の日に充を連れてきたことを言っているのだと、大和はようやく分かった。
確かに家にセフレを連れてきたのは、不愉快に思われたかもしれない。だが、家でやましいことをしたわけではない。
それに、それなりに仲の良い充のことを尻軽呼ばわりされるのは、聞き捨てならない。大和のしたことで怒るならまだしも、充が何をしたというのか。
「恋人じゃない。でも、人の好みにケチつけられる謂れはない」
むっとした顔で、悠仁を見る。
怒っていると言うなら、大和に対する恨みつらみがもっと色々あるはずだ。
「………」
大和の態度が気に入らないとばかりに、悠仁は小さく舌打ちをした。
手に小さなボトルを持ち、キャップを開ける。それが何かと分かったのは、それを萎えたままの大和自身に垂らされた時だった。
いつも大和がセックスの時に使っているローションだ。箪笥の引き出しにしまっていたはずだ。
「お、おい」
思わず大和の声が焦ったものになる。それを使用することの意味が分かるからだ。
ローションは大和の膨らみに沿ってその下へと垂れていく。ローションを受け止めるように、悠仁の手が大和の奥の窄みへと触れた。
大和は男を抱いたことはあるが、抱かれたことはない。だから、その部分に触られるのは初めてだった。
思わず力んで、触れられることを拒んでしまう。だが、ローションの滑りを借りて、無理矢理に一本の指が身体の内部に押し込められたのが分かった。
「ゆ、悠仁…っ」
自分では幾度となくその行為をしたことがあるので、自分がされていることがどう相手の目に映っているのか、大和には手に取るように分かる。
ローションで濡らされた指が、指の第二関節まで入れられては抜かれる。想像して、足先がヒクリと震えた。想像以上の異物感だ。
「や……やめろって、悠仁」
ローションが追加され、指が二本に増やされたのが分かった。圧迫感で言葉が出ない。
大和は唇を噛んで耐えた。
静かな部屋の中に、ローションで濡れた指が抽挿される音だけがいやらしく聞こえる。
「う……」
悠仁が大和のことを憎く思っていることは分かっていたつもりだ。だが、今まで侮蔑するような態度は見せられても、嫌がらせのようなことまではされたことがなかった。
こんな仕打ちをするほど、憎まれているということなのか。
「ねえ、兄さん。これって解すのは二本くらいでいいの? それとも三本した方がいい?」
悠仁が熱っぽい吐息を零す。
その言葉に、信じがたい表情で悠仁を見る。
本当に、挿入するつもりなのか。指を突っ込まれている時点で薄々予想してはいたが、嫌がらせならそこまでするとも思いたくなかった。しかし、悠仁の言葉で現実味を帯びてくる。
「……な、なあ。本当にやめろって」
情けないことに声が震える。
大和は一括りにされた両腕を動かして抵抗を見せるが、ベッドのヘッドボードにも縛られていて、動かすことができない。左足は悠仁の足で押さえられ、右足は左腕でしっかりと固定されていた。
更なる圧迫感で、大和の中に三本目の指が入ったのが分かった。
「…っ、う」
何度か抽挿を繰り返し、悠仁の指が抜かれる。両足の膝裏をぐっと掴まれ、左右に大きく開かされた。
大和はその時が来たことに体をこわばらせた。
「ゆ、悠仁! お、俺、ソッチは…っ」
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