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【おまけ】セマイセカイノナカ②
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「これからは外で会ってるのを見られても大丈夫だよな。やっと恋人らしいデートができる」
大樹が嬉しそうに笑った。
大樹が卒業するまでは外で会うのは控えよう、と言ったのは大樹だった。
西高の生徒なら伊沢の顔を知っているから、一緒にいるところを見られると言い訳に困るという理由だった。
卒業した伊沢はともかく、在学中の大樹は、何の接点もない二人が仲良く一緒にいるのを見られたら仲を追及されてしまう。伊沢が大樹の教室まで押しかけてしまった時も、周りへのフォローが大変だったと言っていた。
「どこに行きたい?」
尋ねると、すぐに返事が返ってくる。
「水族館」
「案外、定番だな」
「定番ってのがいいんだよ。デートって感じする。それに、薄暗いから手だって繋げるかも」
大樹が嬉しそうに笑うので、伊沢もつられて微笑む。大樹が喜んでいるのが嬉しい。
ベッドに座りながら伊沢の体をまさぐっていた大樹の手が、中心へと辿り着く。
久々に触られる感覚に、んっと小さく声が出た。
大樹に促され、大樹の方に体を向けた。
左足は座っていた時のままベッドの外に出しているが、正面を向くために右足を大樹を挟むように曲げてベッドに乗せているので、股を開いた状態になる。すでに緩やかに反応を見せている自身が大樹に丸見えだ。
「ん……っ、はぁ」
ゆっくりと形をなぞるように、大樹の手に触れられる。ぞくぞくと下半身に震えが走り、感覚がその場所に集中する。
伊沢も手を伸ばし、大樹の中心に触れた。
「蒼一郎……」
熱っぽい吐息を吐かれ名を呼ばれる。
次第に天を向くそれを見て、自分がそうさせているということに興奮した。
「はぁ……、ん、んっ」
部屋の中に、二人から零れる吐息が充満する。
大樹の先端からじわりと漏れたもので、手の平が濡れている。
感じてくれていると思うと、さらに感じさせたいという欲求が生まれた。
ふと視線を感じ目線を上げると、大樹にじっと顔を見られていた。
大樹の反応に気を取られていて気付かなかったが、いつから見られていたのだろう。
「な、何…?」
「興奮してて、エロい顔」
覗き込むようにして囁かれた。
自分が興奮しているのは分かってはいたが、改めて言われると羞恥に襲われる。
「美人は三日で飽きるって言うけど、イケメンは何日経っても飽きないなぁ」
大樹が口元を緩ませた。
自分の顔が、色んな人間から好まれているのは知っている。特に女性だ。同時に、自分の表面しか見ていないことも知っている。
顔も知らない相手から告白されるたびに、彼女たちは自分のことをどれくらい知ったうえで好きだと言うのだろうと、不思議に思う自分がいた。
伊沢のことをちゃんと中身まで知っているのは、長く付き合いのある男友達くらいだ。それでも、全てをさらけ出していたわけでもない。
大樹も、伊沢の顔が好きだと言う。遠慮なく見た目について感想を述べるところは、いっそ清々しいくらいだ。
でも、伊沢のことを見た目だけで好きになったのではないと分かっている。
むしろ、情けない男とまで言われた。それでも、そんな伊沢を好きになったと言ってくれた。
だが、顔が好きなことには変わらず、セックス中にもやたらと顔を見てくる。
平常じゃない状態で自分がどんな顔をしているのか分からず、正直恥ずかしい。
「ねえ。顔見られて感じる?」
大樹が尋ねてきた。
「俺はそんな変態じゃない」
恥ずかしさはあるが、顔を見られているだけで盛るような人間ではない。
大樹の問いかけに思わず眉間に皺を寄せる。
「むぅ」
伊沢の言葉が不満だったのか、大樹が頬を膨らませた。まだまだだなぁと、小さくぼやく。
「嫉妬する。意地悪しちゃお」
嫉妬って何だ?と疑問を口にする間もなく、ベッドに押し倒される。大樹を挟んで座っていたので、足を広げた格好で仰向きにされた。
さっきまで中心を触っていた手が、胸の尖りに触れた。左胸を指で優しく摘ままれながら、右胸に舌を這わされる。
「ん…っ」
意地悪って何だろう、と気になりながらも肉厚な舌で転がすように小さな粒を弄られると、下腹部に熱を持ったままそこにも意識がいく。
今やすっかり胸ですら感じるようになってしまった。
「だ、大樹…? 嫉妬って何だ?」
胸に顔を密着させる大樹を見ると、ちらりとだけ上目遣いで見られたが返事はもらえなかった。
心当たりがまったくなくて、戸惑いながら愛撫を受ける。
胸を弄るのが意地悪なのだろうか。大樹の意図が分からない。
胸を指先で弄びながら、首を甘く噛まれる。胸に意識がいっていた為、ふいに自身を掠めたものに腰がびくりと震えた。
「…っ」
お互いに先走りで濡れていたそれは、胸への愛撫のせいで中断されたままだ。あと少し互いに続けていれば達したであろう状態で放り出されている。
掠めたのは大樹自身だ。
胸の愛撫を続けたまま、大樹が腰を少し動かすと、また伊沢のものを掠めるように当たった。
「あ……」
一瞬だけ触れたそれは、すぐに離れてしまう。
大樹が角度を変えると、また伊沢のものに触れた。今度は膨らみからすりすりと裏側を擦るように撫でられたが、安定しないそれはすぐに滑るように離れてしまう。
「あ……。う……んっ」
じれったくて身を捩る。
触られるわけでもなく中途半端な刺激を与えられて、熱が溜まる。胸よりもそこをどうにかして欲しい。
だが大樹は胸を弄ぶばかりだ。けれど腰だけを時々動かして、つっと伊沢に触れてはじわりとした熱を与えていく。
わざとしているとしか思えない。
「大……、あ…っ」
いっそ触れないでいてくれればいいのに。こんないたずらに熱を孕ませるだけのような触り方は辛い。
手を伸ばして自分で慰めたかったが、大樹に阻まれ手を伸ばすことができない。
とうとう我慢できずに、伊沢は腰を浮かせてしまった。
大樹が嬉しそうに笑った。
大樹が卒業するまでは外で会うのは控えよう、と言ったのは大樹だった。
西高の生徒なら伊沢の顔を知っているから、一緒にいるところを見られると言い訳に困るという理由だった。
卒業した伊沢はともかく、在学中の大樹は、何の接点もない二人が仲良く一緒にいるのを見られたら仲を追及されてしまう。伊沢が大樹の教室まで押しかけてしまった時も、周りへのフォローが大変だったと言っていた。
「どこに行きたい?」
尋ねると、すぐに返事が返ってくる。
「水族館」
「案外、定番だな」
「定番ってのがいいんだよ。デートって感じする。それに、薄暗いから手だって繋げるかも」
大樹が嬉しそうに笑うので、伊沢もつられて微笑む。大樹が喜んでいるのが嬉しい。
ベッドに座りながら伊沢の体をまさぐっていた大樹の手が、中心へと辿り着く。
久々に触られる感覚に、んっと小さく声が出た。
大樹に促され、大樹の方に体を向けた。
左足は座っていた時のままベッドの外に出しているが、正面を向くために右足を大樹を挟むように曲げてベッドに乗せているので、股を開いた状態になる。すでに緩やかに反応を見せている自身が大樹に丸見えだ。
「ん……っ、はぁ」
ゆっくりと形をなぞるように、大樹の手に触れられる。ぞくぞくと下半身に震えが走り、感覚がその場所に集中する。
伊沢も手を伸ばし、大樹の中心に触れた。
「蒼一郎……」
熱っぽい吐息を吐かれ名を呼ばれる。
次第に天を向くそれを見て、自分がそうさせているということに興奮した。
「はぁ……、ん、んっ」
部屋の中に、二人から零れる吐息が充満する。
大樹の先端からじわりと漏れたもので、手の平が濡れている。
感じてくれていると思うと、さらに感じさせたいという欲求が生まれた。
ふと視線を感じ目線を上げると、大樹にじっと顔を見られていた。
大樹の反応に気を取られていて気付かなかったが、いつから見られていたのだろう。
「な、何…?」
「興奮してて、エロい顔」
覗き込むようにして囁かれた。
自分が興奮しているのは分かってはいたが、改めて言われると羞恥に襲われる。
「美人は三日で飽きるって言うけど、イケメンは何日経っても飽きないなぁ」
大樹が口元を緩ませた。
自分の顔が、色んな人間から好まれているのは知っている。特に女性だ。同時に、自分の表面しか見ていないことも知っている。
顔も知らない相手から告白されるたびに、彼女たちは自分のことをどれくらい知ったうえで好きだと言うのだろうと、不思議に思う自分がいた。
伊沢のことをちゃんと中身まで知っているのは、長く付き合いのある男友達くらいだ。それでも、全てをさらけ出していたわけでもない。
大樹も、伊沢の顔が好きだと言う。遠慮なく見た目について感想を述べるところは、いっそ清々しいくらいだ。
でも、伊沢のことを見た目だけで好きになったのではないと分かっている。
むしろ、情けない男とまで言われた。それでも、そんな伊沢を好きになったと言ってくれた。
だが、顔が好きなことには変わらず、セックス中にもやたらと顔を見てくる。
平常じゃない状態で自分がどんな顔をしているのか分からず、正直恥ずかしい。
「ねえ。顔見られて感じる?」
大樹が尋ねてきた。
「俺はそんな変態じゃない」
恥ずかしさはあるが、顔を見られているだけで盛るような人間ではない。
大樹の問いかけに思わず眉間に皺を寄せる。
「むぅ」
伊沢の言葉が不満だったのか、大樹が頬を膨らませた。まだまだだなぁと、小さくぼやく。
「嫉妬する。意地悪しちゃお」
嫉妬って何だ?と疑問を口にする間もなく、ベッドに押し倒される。大樹を挟んで座っていたので、足を広げた格好で仰向きにされた。
さっきまで中心を触っていた手が、胸の尖りに触れた。左胸を指で優しく摘ままれながら、右胸に舌を這わされる。
「ん…っ」
意地悪って何だろう、と気になりながらも肉厚な舌で転がすように小さな粒を弄られると、下腹部に熱を持ったままそこにも意識がいく。
今やすっかり胸ですら感じるようになってしまった。
「だ、大樹…? 嫉妬って何だ?」
胸に顔を密着させる大樹を見ると、ちらりとだけ上目遣いで見られたが返事はもらえなかった。
心当たりがまったくなくて、戸惑いながら愛撫を受ける。
胸を弄るのが意地悪なのだろうか。大樹の意図が分からない。
胸を指先で弄びながら、首を甘く噛まれる。胸に意識がいっていた為、ふいに自身を掠めたものに腰がびくりと震えた。
「…っ」
お互いに先走りで濡れていたそれは、胸への愛撫のせいで中断されたままだ。あと少し互いに続けていれば達したであろう状態で放り出されている。
掠めたのは大樹自身だ。
胸の愛撫を続けたまま、大樹が腰を少し動かすと、また伊沢のものを掠めるように当たった。
「あ……」
一瞬だけ触れたそれは、すぐに離れてしまう。
大樹が角度を変えると、また伊沢のものに触れた。今度は膨らみからすりすりと裏側を擦るように撫でられたが、安定しないそれはすぐに滑るように離れてしまう。
「あ……。う……んっ」
じれったくて身を捩る。
触られるわけでもなく中途半端な刺激を与えられて、熱が溜まる。胸よりもそこをどうにかして欲しい。
だが大樹は胸を弄ぶばかりだ。けれど腰だけを時々動かして、つっと伊沢に触れてはじわりとした熱を与えていく。
わざとしているとしか思えない。
「大……、あ…っ」
いっそ触れないでいてくれればいいのに。こんないたずらに熱を孕ませるだけのような触り方は辛い。
手を伸ばして自分で慰めたかったが、大樹に阻まれ手を伸ばすことができない。
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