セマイセカイ

藤沢ひろみ

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10.四回目①

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 たった二週間が、こんなに長く感じたのは初めてかもしれない。
 大樹はとても久々に訪れるような気持ちで、二週間後に伊沢の家を訪問した。

 その日の伊沢は白いシャツにライトグレーのカーディガンと黒のズボンで、モノトーンでカッコよさが強調され大人っぽく、久々に顔を見たせいか大樹は妙にドキリとした。

 部屋に入りみどりの待つダイニングテーブルに向かうと、大樹はテーブルの上に小さな箱を置いた。
「いつも先輩の家に遊びに行ってるって言ったら、親が持って行けって」

 みどりは箱を開けて、ぱぁっと顔を明るくする。
「美味しそう」
「うちの近所のパティスリーで、プリンがマジ美味いんです」

「嬉しい、ありがとう。ねぇ、今皆で食べましょ。あお、紅茶入れてくれないかしら」
 いつものように冷茶を入れかけていた伊沢は、みどりの言葉に慌てて紅茶を準備し始めた。

 やがて伊沢がテーブルの上に、湯気の立つ紅茶のティーカップを三つ置いた。

「すっごく美味しいわ。とろけちゃいそう」
「でしょ」

 みどりがあまりにも幸せそうな顔をするので、向かいに座っていた大樹もつられて口元が緩んでしまう。

 ふとはす向かいに座っている伊沢を見ると、姉の幸せそうな表情に嬉しそうに微笑んでいた。
 生徒会長と一生徒という関係であれば、学校では絶対に見ることはできない表情だ。

 あんなことを強制されているくせに、姉を嫌いにならないなんて変な弟だ。
 プリンを食べながら、大樹は妙な姉弟を交互に見た。


 そして、どんなに楽しいお茶の時間を過ごそうが、伊沢にとって憂鬱な時間はやってくる。

「今日はどんなポーズにしようかしら」
 ソファの方へと車椅子を動かしながら、みどりが呟く。

「ねえ、イツキくんはやってみたいポーズある?」
 みどりの後ろを歩いていた大樹は、突然訊ねられ慌てた。

 伊沢が尻を高く突き出したエロいポーズを見てみたいとも思ったが、それだとみどりがフェラチオの絵を描けない。

 悩んでいる間に、片付けをして遅れてソファの方へとやってきた伊沢が服を脱ぎ始めた。

 考えてから、大樹はみどりに提案した。
「俺、リクエストあるんですけど、いいですか?」
「いいわ。どんなポーズかしら」

 みどりが了承したので、大樹はシャツのボタンを外している伊沢を止める。
「会長、シャツは着たままにして下さい」

 大樹の言葉に伊沢が戸惑いの顔を返す。ボタンを途中まで外していたが、シャツを羽織ったまま、それ以外を脱いだ。

 大樹は伊沢をみどりの方に向くように、ソファにごく普通に座らせた。

「両足を開いてソファの上に乗せて下さい」
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