the birth of a king

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仏和国 東家

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「鄕炎国の王が亡くなられたらしい」
護衛の東路 有界上長がいった。何事にも疎く、羊羹を知らない東路上長が知ってるほどの噂ということは、城下まで降りてる話だろう。
「もうお年だったしなぁ。鄕炎国は気性が荒いから統治には大変な国だ。」
同期の門地がリンゴを食べながらいう。
「理由は?なんなんです上長」
俺 西条 正吉が尋ねた。
「さぁ、俺が知るわけないだろう」
言われてみればそうだと思い、昼飯を終える。交代制の護衛をしているが、東家は何年も戦争をしていないどころか、村人の一揆も、反乱も奇襲もない。

「門地、お前はどう思う?」
俺が尋ねると、門地は少し考えた風の顔をした。
「おん?やっぱり昼は果物も取った方がいいと思うぜ」
「違うよ。何故、鄕炎国の王が殺されたかだよ。年っていっても40そこらだろ?」
俺がそう聞くと、門地はそんなことかとため息をつく、死因は風の便りではやってこない。
「俺の婆は60で死んだ。王家の寿命はもっと短いと聞いた。何も驚くことはない」
「40は現役だ。王の息子、なんていったか、、カース王子、次期王子が20か」
「ましじゃね?いま東の親方様が亡くなられら、次期殿は養子か赤子だぜ。俺らは助丸殿様と呼んで病気からも守らなくちゃいけなくなる」
酷い言い様だ。上長に聞かれたら体罰だけで済むかもわからない。俺は少し笑って、城の門の前から城下を見る。仏和国は平和だ。


「鄕炎国にお悔やみの書を」
「何か送られますか?」
「松治に任せる」
東城 松治は、大老の1人であった。こういう催事の諸々のマナーは松治が詳しかった。松治が考えた書の内容に印鑑を押しているところに俺は到着した。いつものことながら最低限政治ができる仕事場だ。質素で謙虚だ。
「誠、待たせてすまない」
「父上」
「殿と」
「殿、私は何故呼ばれたのでしょう?」
俺は父上を見る。
「鄕炎国の王の最期を知っているか?」
死因は東家の当主は知らされてあった。葬儀の参加も促されている。
「王妃様との心中と、、」
「まぁそんなところだ。
それで、、な、お前は私の最初の妻との息子だ」
その言い方に少し引っかかる。私は養子だ。東家の常套手段で、子の出来ない貴族は皆、他国の物や他の城持ちの家から子を貰って来ている。私もその1人だっ
「その言い方には不満が?」
「いえ、不満など、、ただ私は養子です」
「そうだ養子だ。で、だなぁ。
鄕炎国との話に戻そう。鄕炎国の王妃が王を殺したらしい」
「理由は」
「明確にはわからない。手紙にも記載はなかった。だが2人は

揉めていた。鄕炎国は一夫多妻制だから、そういう後継者争いが王の生きているうちに起こるらしい」
 話が見えてきた。母上がなくなり、新たな母が来て子を授かって、弟が生まれたときにすでに覚悟ができていたことだ。
「殿、私は助丸をお守りする覚悟はすでに出来ております」
「悪い」
東家が仏和国を治めるようになって数十年が経ち、争う事を嫌い守りを固めて平和主義を貫く父上は嫌いではない。
だから、気性の激しい新しい母上のことを考え先に手を打ったことも納得だ。
「まだ15のお前に称号を先に与える」
「なんでしょう」
「指揮官だ。そして、高松の娘を貰い受け高松をやる」
「それは、、」
それは流石に、、、



「誠様に私を?」
「まぁ許嫁という形だが、春もその心構えでいなさい」
春様はチラリとこちらを見る。高松様の相談役として、同じ場に座っているのが申し訳ない。
「甲斐、どう思う?」
「東家は、都です。高松は古くから東家に仕えてました。戦闘民族だった我らを1つの家とし、双子山を与えてくれたのは先代の東家です。縁談は古くからあり、あの松下 大吾郎様の娘も東家の嫁となり、今やその息子は大老の1人です」
「そんなのわかってます。高松の歴史はお前よりは詳しい」
「出過ぎた真似を」
「どう思うかを聞いておる」
「何故、甲斐に聞く」
さすがの高松様も、春様の様子を変に思ったらしい。
「彼は父上の相談役でもあり、私の幼馴染でもあり、相談役よ」
「恐れながら、春様、この縁談は断らないほうがよろしいかと」
「春、甲斐やお前がどう言おうと、決まったことだ。誠様に来月会いに行くからな」
東家は広い。山も海もあり、城も都なだけあり広くて難攻不落にできている。ほりは深くでかい。見通しのいい高台にできている。
錆びついているはずの武具も豊富で馬も多い。
元戦闘民族の高松家の成り上がり貴族な雰囲気とは違い高貴な貴族達がいる。
春様の部屋を出た後、ずっと引っかかていたことを相談役として訴えた。
「親方様」
「どうした?」
「この縁談は不可解です」
「悪い話ではない」
「私達の国にとっては良いところしかない。それが変なのです」
「と、いうと?」
「我が国は東家とも近く、古くからの親交があります。我が国があるのは東家のおかげ。それに忠義には熱い」
「いかにも」
「何故、今さら高松の娘を欲しがるのです」
「それはいえているな」
「東家は信頼関係に重きをおいているのにもかかわらず疑り深い。何か、我が国への後ろめたさがあるのでは?」
「それか近々戦争でも起きるか?」
「それは、、東家ですよ?」
「油断は禁物だ。長きに渡る平和主義も崩れる前触れなのかもしれない」
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