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第15章 南へ
第234話 氷の魔法
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かき氷とやらにスプーンを突き刺し、それをまずひと口含んだエミリスは、目を丸くしながらも溶ける氷の感触を味わいながら飲み込んだ。
「んんーっ! これは……っ!」
細かい粒の氷はキラキラと光を反射させて、まるで細かい宝石を皿に盛ったようだ……と、彼女には見えた。
「冷たくて美味しいな」
「ええ、暑いときには良いですわね」
アティアスとウィルセアも、それぞれ違う味のかき氷を味わっていた。
「こんなものがあったなんて……。アイスクリームとはまた違っていて、甘いのにさっぱりして最高ですねっ」
そう言いながらも手は止まらず、続けてどんどんと食べ進めているエミリスを見て、アティアスにはすぐにお代わりを注文するだろうことは容易に想像できた。
しかし――。
「――んん??」
突然彼女の手が止まり、眉を顰めた。
そして、目を強く閉じ肩をすくめてプルプルと震えていた。
「どうした?」
聞いても彼女は答えない。
しばらく口を半開きで固まっていたエミリスだったが、やがて目を開いて大きく息を吐き出した。
「――んはぁ! きゅ、急に頭が痛くなって」
「慌てて食べ過ぎなんじゃないか? 急がなくても時間はあるんだから」
「むー、そうかもしれませんけど、ゆっくり食べてるとアティアス様にご迷惑をおかけしますし……」
申し訳なさそうに言ったエミリスだが、それはひとりで何杯も食べる前提のことだ。
他のふたりを待たさないよう一気に何杯も食べてしまおうとしたのだろうが、これほど冷たいものを大量に食べると身体が冷え切ってしまうことまでは考えが及ばなかったのだろう。
「別にいいさ。待っててやるから。本来ならここまで歩いて1日かかる予定だったんだから」
元々の工程だと、今日は炎天下のなか歩き通しでこの町に向かう予定だった。
それが午前中のうちに来ることができているのだから、多少待つことくらい何でもないと言えた。
「ありがとうございます。それでは、ゆっくり全メニュー制覇させていただきますね」
エミリスはメニュー表を見ながら「うんうん」と頷いた。
しかし、それを聞いていた店主が口を挟む。
「お嬢ちゃん、申し訳ないがね。今日はまだこんな時間だけど、氷がもうあまり残ってなくてね。あと3杯くらいしか作れないんだよ」
「えー......」
それを聞いたエミリスはあからさまにガッカリした様子を見せた。
「悪いね。今日はいつも氷を作ってくれる魔導士さんが礼拝に行っていてね。この町には魔導士さんはいっぱいいるんだが、氷を作れる方は一部に限られているから」
「……その氷って、普通の氷なんですか?」
「普通の、ってのは?」
エミリスの質問に、店主は首を傾げた。
「ええと、だからただ水を凍らせただけのものですか、って意味です」
「ああ、そういう意味ならそうだね」
「なるほど……」
その返答に満足したのか、エミリスは納得したように頷くと、手に持っていたかき氷を一度カウンターの上に置いた。
「……水よ」
そして小さな声で呟くと、彼女の目の前に水の塊が生まれ、ふわふわと漂う。
大きさはバケツ1杯分くらいだろうか。
彼女がその水の塊をじっと凝視すると、みるみるうちにそれが固まり始めて、すぐに透き通った氷の塊に生まれ変わった。
「えっと、氷ってこのくらいあれば、いっぱいかき氷作れますか?」
その氷塊を宙に浮かべたまま、店主の目の前に移動させたエミリスは、軽い調子で尋ねた。
店主は唖然とした顔でそれを見ていたが、ハッと正気に戻って答える。
「あ、ああ……。……驚いた。お嬢ちゃん、魔導士なのかい?」
「一応、そうなりますかね?」
「へぇ、若いのにすごいね。お礼に少しサービスしとくよ。なんでも注文してくれ」
店主は氷が溶けてしまわないように保冷庫に保管しながら、エミリスに尋ねた。
彼女も食べかけのかき氷の残りを口に運びつつ、改めてメニューに視線を向ける。
「ありがとうございます。なら……」
その様子を見ていたアティアスには、次に彼女の言うセリフがなにか予想できて、ウィルセアと視線を交わす。
ウィルセアも同じことを思ったのだろう。
「ふふっ」と小さく笑った。
「それじゃ、メニューの上から順番に全部お願いしますー」
そしてエミリスは皆の予想通りの言葉を発した。
◆
「ふー、美味しかったですー」
時間はかかったものの、全メニューを制覇したエミリスは満足そうな顔で宿に向かう。
「すごいな。俺は2杯目でお腹痛くなったけどなぁ……」
「私も……」
あれほどの氷を摂取したのにケロッとしているエミリスとは対照的に、時間があるからと2杯目を食べた残るふたりは、途中で身体を冷やし過ぎて腹痛に見舞われていた。
「軟弱ですねぇ」
「いや、俺たちが普通だって。やっぱエミーのお腹は異空間に繋がってるんだろ」
そうとしか思えなかった。
食べた量を考えると、あの氷の塊をぜんぶお腹に入れてしまったようなものだ。
どう考えてもおかしい。
「まぁまぁ。氷をたっぷり提供して感謝してくれましたし、良いことをした気分です」
「そういえば、氷を作る魔法ってそんなに珍しいんですかね? 誰でもできそうな気がしますけど……」
ふと思いついたようにウィルセアが呟く。
自分も含めて、氷の魔法を使うことはできる。
エミリスのように水から器用にお湯や氷を作ったりすることはできないけれど、魔法としては炎系のものと並んで基本だと思っていた。
「そうだな。まぁ、魔法は地域性があるからな。この辺りでは珍しいのかもしれん」
「なるほど……」
その話にウィルセアも頷く。
ウィルセアは父であるヴィゴールと同じく、雷系の魔法を得意としていた。
一方で、アティアスのように強力な爆裂魔法は使うことができない。
それはどうやら血筋にも影響されているようだが、詳しいことは分からない。
いずれにしても、この辺りの魔導士は氷を扱う魔法を苦手としているのかもしれないと予想できた。
「ま、なんでもいいじゃないですか。早く宿で休みましょうよ」
小難しいことは気にしないとばかりに、エミリスは大きな荷物を背負ったまま、足取り軽くスキップしていた。
――この町の人々の注目を集めていることなど気にせずに。
「んんーっ! これは……っ!」
細かい粒の氷はキラキラと光を反射させて、まるで細かい宝石を皿に盛ったようだ……と、彼女には見えた。
「冷たくて美味しいな」
「ええ、暑いときには良いですわね」
アティアスとウィルセアも、それぞれ違う味のかき氷を味わっていた。
「こんなものがあったなんて……。アイスクリームとはまた違っていて、甘いのにさっぱりして最高ですねっ」
そう言いながらも手は止まらず、続けてどんどんと食べ進めているエミリスを見て、アティアスにはすぐにお代わりを注文するだろうことは容易に想像できた。
しかし――。
「――んん??」
突然彼女の手が止まり、眉を顰めた。
そして、目を強く閉じ肩をすくめてプルプルと震えていた。
「どうした?」
聞いても彼女は答えない。
しばらく口を半開きで固まっていたエミリスだったが、やがて目を開いて大きく息を吐き出した。
「――んはぁ! きゅ、急に頭が痛くなって」
「慌てて食べ過ぎなんじゃないか? 急がなくても時間はあるんだから」
「むー、そうかもしれませんけど、ゆっくり食べてるとアティアス様にご迷惑をおかけしますし……」
申し訳なさそうに言ったエミリスだが、それはひとりで何杯も食べる前提のことだ。
他のふたりを待たさないよう一気に何杯も食べてしまおうとしたのだろうが、これほど冷たいものを大量に食べると身体が冷え切ってしまうことまでは考えが及ばなかったのだろう。
「別にいいさ。待っててやるから。本来ならここまで歩いて1日かかる予定だったんだから」
元々の工程だと、今日は炎天下のなか歩き通しでこの町に向かう予定だった。
それが午前中のうちに来ることができているのだから、多少待つことくらい何でもないと言えた。
「ありがとうございます。それでは、ゆっくり全メニュー制覇させていただきますね」
エミリスはメニュー表を見ながら「うんうん」と頷いた。
しかし、それを聞いていた店主が口を挟む。
「お嬢ちゃん、申し訳ないがね。今日はまだこんな時間だけど、氷がもうあまり残ってなくてね。あと3杯くらいしか作れないんだよ」
「えー......」
それを聞いたエミリスはあからさまにガッカリした様子を見せた。
「悪いね。今日はいつも氷を作ってくれる魔導士さんが礼拝に行っていてね。この町には魔導士さんはいっぱいいるんだが、氷を作れる方は一部に限られているから」
「……その氷って、普通の氷なんですか?」
「普通の、ってのは?」
エミリスの質問に、店主は首を傾げた。
「ええと、だからただ水を凍らせただけのものですか、って意味です」
「ああ、そういう意味ならそうだね」
「なるほど……」
その返答に満足したのか、エミリスは納得したように頷くと、手に持っていたかき氷を一度カウンターの上に置いた。
「……水よ」
そして小さな声で呟くと、彼女の目の前に水の塊が生まれ、ふわふわと漂う。
大きさはバケツ1杯分くらいだろうか。
彼女がその水の塊をじっと凝視すると、みるみるうちにそれが固まり始めて、すぐに透き通った氷の塊に生まれ変わった。
「えっと、氷ってこのくらいあれば、いっぱいかき氷作れますか?」
その氷塊を宙に浮かべたまま、店主の目の前に移動させたエミリスは、軽い調子で尋ねた。
店主は唖然とした顔でそれを見ていたが、ハッと正気に戻って答える。
「あ、ああ……。……驚いた。お嬢ちゃん、魔導士なのかい?」
「一応、そうなりますかね?」
「へぇ、若いのにすごいね。お礼に少しサービスしとくよ。なんでも注文してくれ」
店主は氷が溶けてしまわないように保冷庫に保管しながら、エミリスに尋ねた。
彼女も食べかけのかき氷の残りを口に運びつつ、改めてメニューに視線を向ける。
「ありがとうございます。なら……」
その様子を見ていたアティアスには、次に彼女の言うセリフがなにか予想できて、ウィルセアと視線を交わす。
ウィルセアも同じことを思ったのだろう。
「ふふっ」と小さく笑った。
「それじゃ、メニューの上から順番に全部お願いしますー」
そしてエミリスは皆の予想通りの言葉を発した。
◆
「ふー、美味しかったですー」
時間はかかったものの、全メニューを制覇したエミリスは満足そうな顔で宿に向かう。
「すごいな。俺は2杯目でお腹痛くなったけどなぁ……」
「私も……」
あれほどの氷を摂取したのにケロッとしているエミリスとは対照的に、時間があるからと2杯目を食べた残るふたりは、途中で身体を冷やし過ぎて腹痛に見舞われていた。
「軟弱ですねぇ」
「いや、俺たちが普通だって。やっぱエミーのお腹は異空間に繋がってるんだろ」
そうとしか思えなかった。
食べた量を考えると、あの氷の塊をぜんぶお腹に入れてしまったようなものだ。
どう考えてもおかしい。
「まぁまぁ。氷をたっぷり提供して感謝してくれましたし、良いことをした気分です」
「そういえば、氷を作る魔法ってそんなに珍しいんですかね? 誰でもできそうな気がしますけど……」
ふと思いついたようにウィルセアが呟く。
自分も含めて、氷の魔法を使うことはできる。
エミリスのように水から器用にお湯や氷を作ったりすることはできないけれど、魔法としては炎系のものと並んで基本だと思っていた。
「そうだな。まぁ、魔法は地域性があるからな。この辺りでは珍しいのかもしれん」
「なるほど……」
その話にウィルセアも頷く。
ウィルセアは父であるヴィゴールと同じく、雷系の魔法を得意としていた。
一方で、アティアスのように強力な爆裂魔法は使うことができない。
それはどうやら血筋にも影響されているようだが、詳しいことは分からない。
いずれにしても、この辺りの魔導士は氷を扱う魔法を苦手としているのかもしれないと予想できた。
「ま、なんでもいいじゃないですか。早く宿で休みましょうよ」
小難しいことは気にしないとばかりに、エミリスは大きな荷物を背負ったまま、足取り軽くスキップしていた。
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