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第9章 ドワーフの村
第125話 散策
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「ギルドがあるのは街の入り口の方だから、少し中心部に行ってみるか」
アティアスはそう言いながら、腕に密着しているエミリスを連れて王都の街を歩く。
この王都の名前は、国の名前と同じメラドニアと正式には呼ばれるが、誰もそう呼ばずに皆「王都」と呼んでいた。
「でもこの広さだと、ゼバーシュみたいにちょっと歩いたら中心部、ってことはないですよね……?」
「だな。ただ、逆に人が集まる場所も、街の色んなところにバラけてるんだ。だからまずはギルドから一番近い商店街に行ってみようかなって」
「なるほど。これだけの人が一ヶ所に集まると大変ですもんね。……アティアス様はそこ行ったことあるんですか?」
彼女の問いにアティアスは頷く。
「ああ。ただ、王都に来たのはこれが4回目で、冒険者になってからは1回しかない。その時にノードと行ったことがあるだけだな」
「さっき言ってた、3年前のとき……ですか?」
「そうだ。俺がまだ17の頃だ」
アティアスは懐かしむように話す。
あの頃は冒険者になってまだ1年ほど。遠くに行ってみたくて、無理を言って王都まで来たことを思い出した。
「そういえば、冒険者って何歳くらいからやってる人が多いんですかね? 17ってかなり若いと思うんですけど」
彼女は今までギルドで見てきた冒険者たちの顔を思い浮かべる。
現在20歳のアティアスでも、かなり若い部類に入るように思ったが、17歳だと相当だ。
実年齢を別とすれば、今の彼女の方が若く見えるが。
「兵士である程度鍛えてからって人が多いからな。たまに若いうちから冒険者になる人もいるけど、20歳以下は珍しいんじゃないかな」
「そうですよね。30歳超えてる人が多いような感じがしました」
「特に魔道士は独学だと難しいから、どうしても兵士上がりが多いんだ」
それは以前にも説明してもらった記憶があった。
「意外と高齢の人も多いですしね」
「依頼内容によっては、それほど難しくないからな。魔道士なら体力よりも経験ってこともあるし。それに冒険者を引退しても他で働くのが大変だから」
「なるほど……」
確かにずっと冒険者や傭兵をやっていた人の引退後のことを考えてなかった。
一部の人はギルドで働いたり、酒場を経営したりするのだろう。
ただ、そのまま簡単な依頼をこなしながら、続けていく人たちもそれなりにいた。
「そんなところかな。……そろそろ商店街が近いぞ」
「人増えてきましたね」
彼が指差す先には、軒から日除けのオーニングが出ている店が、道の両側に連なっていた。
その間を歩く人もさっきまでに比べると格段に多い。
「ここの通りだけで、ゼバーシュの店くらいあると思う。大抵のものは揃うはず」
「そうみたいですね。……で、クレープ屋さんはどの辺りに?」
今の彼女はスイーツにしか興味がないようで、キョロキョロと周りを見回していた。
「どうだろう? 以前の店がそのまま残ってるかどうかもわからないしな」
「むぅ……。あ、あそこにドーナツ屋さんはありますね。……でも今はクレープ……クレープが……」
彼女はうわごとのように呟きながら商店街を歩く。
ずっと鼻をくんくんさせていたが、ふいにピクッと反応したかと思うと、「見つけました!」と叫んでアティアスを引きずっていく。
角を曲がった裏手に、クレープを扱っている店がひっそりと佇んでいた。
「……よくこんな店見つけたな」
アティアスは呆れるが、彼女の嗅覚なら不思議ではない。
食べ慣れたクレープの匂いくらい、すぐに嗅ぎ分けられるのだろう。
「やったぁ! ここ、普通のクレープだけじゃなくて、アイスが入ったクレープもあるみたいです!」
店の前に貼り出されたメニューを見て、彼女が歓喜する。
以前アティアスに紹介されたときから、ずっと食べてみたかったものだった。
「いらっしゃい。何にしますか?」
若い女性のスタッフが2人に声をかける。
彼女はもちろんメニューを見た時から決めていた。アイスが入ったクレープは4種類。それを全制覇しようと。
「ええと、このバニラアイスのクレープをください!」
「はい。お待ちくださいね」
まずは1つ目を注文すると、すぐに焼き上がったクレープ生地に、生クリームとアイスがたっぷり乗せられ、冷凍されたぶどうなどがトッピングされたクレープができあがった。
エミリスはそれを涎を垂らしながらじっと見つめていた。
「どうぞ~」
「はいっ! 待ってました!」
差し出されたそれを受け取ると、上から思い切りかぶりつく。
「んー! 冷たい!」
アイスが冷たくて、目を閉じ、声を出した。
「どうだ? 美味しいか?」
「はいっ! これは最強ですねっ!」
いたく気に入ったらしく、冷たいと言いながらもどんどん食べ進めていく。
クレープは生ぬるいのが普通で、それはそれで美味しいのだけれど、アイスが入ることで更に美味しく感じられた。
欠点はアイスが溶けやすいことだが、彼女はその前に食べてしまうので関係なかった。
「じゃ、次はこれを!」
食べ切ったあと、すぐに次のものを注文する。
――そのあと予定通り全種類食べ切ったのは言うまでもない。
◆
「なんでゼバーシュにはこういう店ないんですかねぇ?」
クレープを食べたあと、ついでに商店街を歩きながら彼女は聞いた。
「そりゃ、こういうのを知ってる人が少ないからじゃないかな。王都以外じゃ見かけないし、普通の人が王都に来るって滅多にないことだから、広まらないし」
当たり前といえば当たり前の話だ。
知らなければ作って売ろうとも思わないだろう。
「なら、ゼバーシュ帰ったあと、紹介すれば作ってくれる店もあったりするんでしょうか?」
「かもな。いつもの店に話してみたらどうだ?」
「それ良いですねっ! 美味しいものが毎日食べられると幸せです~」
「おいおい、毎日通う気か?」
機嫌よく話す彼女に釘を刺す。
彼女のことだと、本当に毎日通って何個もクレープを食べるに違いない。
「むぅ……。なら何日に一回なら許可いただけますか?」
上目遣いで見上げる彼女にアティアスは答える。
「まぁ、前にいくらでも食べていいって言ったからな。……好きにしてくれて良い」
その言葉にパッと笑顔を弾けさせて、彼をギュッと抱きしめた。
「ありがとうございますっ! アティアスさま大好きですー」
アティアスはそう言いながら、腕に密着しているエミリスを連れて王都の街を歩く。
この王都の名前は、国の名前と同じメラドニアと正式には呼ばれるが、誰もそう呼ばずに皆「王都」と呼んでいた。
「でもこの広さだと、ゼバーシュみたいにちょっと歩いたら中心部、ってことはないですよね……?」
「だな。ただ、逆に人が集まる場所も、街の色んなところにバラけてるんだ。だからまずはギルドから一番近い商店街に行ってみようかなって」
「なるほど。これだけの人が一ヶ所に集まると大変ですもんね。……アティアス様はそこ行ったことあるんですか?」
彼女の問いにアティアスは頷く。
「ああ。ただ、王都に来たのはこれが4回目で、冒険者になってからは1回しかない。その時にノードと行ったことがあるだけだな」
「さっき言ってた、3年前のとき……ですか?」
「そうだ。俺がまだ17の頃だ」
アティアスは懐かしむように話す。
あの頃は冒険者になってまだ1年ほど。遠くに行ってみたくて、無理を言って王都まで来たことを思い出した。
「そういえば、冒険者って何歳くらいからやってる人が多いんですかね? 17ってかなり若いと思うんですけど」
彼女は今までギルドで見てきた冒険者たちの顔を思い浮かべる。
現在20歳のアティアスでも、かなり若い部類に入るように思ったが、17歳だと相当だ。
実年齢を別とすれば、今の彼女の方が若く見えるが。
「兵士である程度鍛えてからって人が多いからな。たまに若いうちから冒険者になる人もいるけど、20歳以下は珍しいんじゃないかな」
「そうですよね。30歳超えてる人が多いような感じがしました」
「特に魔道士は独学だと難しいから、どうしても兵士上がりが多いんだ」
それは以前にも説明してもらった記憶があった。
「意外と高齢の人も多いですしね」
「依頼内容によっては、それほど難しくないからな。魔道士なら体力よりも経験ってこともあるし。それに冒険者を引退しても他で働くのが大変だから」
「なるほど……」
確かにずっと冒険者や傭兵をやっていた人の引退後のことを考えてなかった。
一部の人はギルドで働いたり、酒場を経営したりするのだろう。
ただ、そのまま簡単な依頼をこなしながら、続けていく人たちもそれなりにいた。
「そんなところかな。……そろそろ商店街が近いぞ」
「人増えてきましたね」
彼が指差す先には、軒から日除けのオーニングが出ている店が、道の両側に連なっていた。
その間を歩く人もさっきまでに比べると格段に多い。
「ここの通りだけで、ゼバーシュの店くらいあると思う。大抵のものは揃うはず」
「そうみたいですね。……で、クレープ屋さんはどの辺りに?」
今の彼女はスイーツにしか興味がないようで、キョロキョロと周りを見回していた。
「どうだろう? 以前の店がそのまま残ってるかどうかもわからないしな」
「むぅ……。あ、あそこにドーナツ屋さんはありますね。……でも今はクレープ……クレープが……」
彼女はうわごとのように呟きながら商店街を歩く。
ずっと鼻をくんくんさせていたが、ふいにピクッと反応したかと思うと、「見つけました!」と叫んでアティアスを引きずっていく。
角を曲がった裏手に、クレープを扱っている店がひっそりと佇んでいた。
「……よくこんな店見つけたな」
アティアスは呆れるが、彼女の嗅覚なら不思議ではない。
食べ慣れたクレープの匂いくらい、すぐに嗅ぎ分けられるのだろう。
「やったぁ! ここ、普通のクレープだけじゃなくて、アイスが入ったクレープもあるみたいです!」
店の前に貼り出されたメニューを見て、彼女が歓喜する。
以前アティアスに紹介されたときから、ずっと食べてみたかったものだった。
「いらっしゃい。何にしますか?」
若い女性のスタッフが2人に声をかける。
彼女はもちろんメニューを見た時から決めていた。アイスが入ったクレープは4種類。それを全制覇しようと。
「ええと、このバニラアイスのクレープをください!」
「はい。お待ちくださいね」
まずは1つ目を注文すると、すぐに焼き上がったクレープ生地に、生クリームとアイスがたっぷり乗せられ、冷凍されたぶどうなどがトッピングされたクレープができあがった。
エミリスはそれを涎を垂らしながらじっと見つめていた。
「どうぞ~」
「はいっ! 待ってました!」
差し出されたそれを受け取ると、上から思い切りかぶりつく。
「んー! 冷たい!」
アイスが冷たくて、目を閉じ、声を出した。
「どうだ? 美味しいか?」
「はいっ! これは最強ですねっ!」
いたく気に入ったらしく、冷たいと言いながらもどんどん食べ進めていく。
クレープは生ぬるいのが普通で、それはそれで美味しいのだけれど、アイスが入ることで更に美味しく感じられた。
欠点はアイスが溶けやすいことだが、彼女はその前に食べてしまうので関係なかった。
「じゃ、次はこれを!」
食べ切ったあと、すぐに次のものを注文する。
――そのあと予定通り全種類食べ切ったのは言うまでもない。
◆
「なんでゼバーシュにはこういう店ないんですかねぇ?」
クレープを食べたあと、ついでに商店街を歩きながら彼女は聞いた。
「そりゃ、こういうのを知ってる人が少ないからじゃないかな。王都以外じゃ見かけないし、普通の人が王都に来るって滅多にないことだから、広まらないし」
当たり前といえば当たり前の話だ。
知らなければ作って売ろうとも思わないだろう。
「なら、ゼバーシュ帰ったあと、紹介すれば作ってくれる店もあったりするんでしょうか?」
「かもな。いつもの店に話してみたらどうだ?」
「それ良いですねっ! 美味しいものが毎日食べられると幸せです~」
「おいおい、毎日通う気か?」
機嫌よく話す彼女に釘を刺す。
彼女のことだと、本当に毎日通って何個もクレープを食べるに違いない。
「むぅ……。なら何日に一回なら許可いただけますか?」
上目遣いで見上げる彼女にアティアスは答える。
「まぁ、前にいくらでも食べていいって言ったからな。……好きにしてくれて良い」
その言葉にパッと笑顔を弾けさせて、彼をギュッと抱きしめた。
「ありがとうございますっ! アティアスさま大好きですー」
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