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第6章 ミニーブルにて
第80話 想
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「……申し訳ありません」
エミリスが頭を下げる。
「やはりそうでしたか。彼から音信がないので、もしやと思っていました。……とはいえ、こちらが先に手を出したのです。むしろ私たちが詫びなければならないこと。ただ、ひとつだけ。彼の……私の友人の最期について教えてくれませんか?」
オスラムとマッキンゼ卿は、子供の頃からの友人だった。
アティアス達と会い、彼らの人柄を知るにつれ、オスラムを送り出したことを後悔するようになっていた。
「その方と直接会っているのは私だけですので、私からお話しします。……私はゼバーシュでその方と戦ったあと、少し話をしました。先ほどの女神……の話も、そのとき聞きました。そして、そのあと……私は……」
エミリスは視線を落として、次の言葉を紡ぎ出そうとする。しかし、その先の声が出ない。
代わりにその両目から涙を溢し始めた。
「ごめんなさい……。そのときはそうするしかなくて……」
いつもなら落ち着いて話すだろうに、それほど彼女に重くのしかかっていたのか。
アティアスはそんな彼女の頭をそっと撫で、自分が口を開く。
「エミリスは、私を守ろうとしただけです。本来、それは私がやらなければならなかったことです。責めるならば、私を……」
その言葉を聞き、はっとして彼の方に振り向くエミリスを横目に、アティアスが深く頭を下げる。
マッキンゼ卿は暫し無言で目を閉じていた。その様子を、両隣の2人も不安そうに見つめていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「言いにくいことを話していただいて、ありがとうございます。……先ほども申したとおり、こちらが先に手を出したのです。責めることはできません。……あの時の、私の判断が間違えていたのでしょう」
その言葉に、ウィルセアもほっとした表情を見せた。
「お言葉痛み入ります。……彼の部下だった2人は存命です。友誼を結んだ後にはなりますが、こちらへとお返しします」
「……わかりました。申し訳ない。私からも書状を出しましょう」
マッキンゼ卿が右手を差し出し、アティアスと固く握手をした。
ふぅ、とマッキンゼ卿が一息をつき、先程までよりも更に表情を柔らかくする。
「気になっていたことが聞けて良かった。エミリス殿も辛かったでしょうが、もう気になさらず」
「……ありがとう、ございます」
ようやく涙が止まったエミリスも頭を下げた。
これで会談は終わりかと思ったが、唐突にマッキンゼ卿が話し始める。
「ところで……先程の友誼の話とは別に、実は娘がアティアス殿をいたく気に入ってしまっていてね」
「と、言いますと……?」
あまりに急なことに、アティアスは真意を確認する。
「いえ、アティアス殿はご結婚されていますが、もしよろしければ将来、側室としてでもお預けできればと。……まだ子供ですので先の話ですが、考えていただけませんか?」
その横ではウィルセアが少し頬を染めてアティアスを見ているのが目に入った。
エミリスはそのことに驚いたが、表情には出さない。しかし、心中は穏やかではいられなかった。
なにしろ、向こうは子爵令嬢である。
家柄でいえば孤児の自分とは比較にならないのだ。
ゼルム家にとってどちらにメリットが大きいかなんて、彼女にでもわかる。普通に考えて、側室で済むわけがない。
そんな彼女の不安を他所に、アティアスが答える。
「それはありがたいことです……」
(――――っ!)
彼の言い始めに、心の中で叫ぶ。
今まで何のためにここまでやってきたのか、それを失いたくなかった。
アティアスは続ける。
「……ですが、私はこのエミリスにいつも助けられています。彼女がいなかったら、自分は今ここにいないでしょう。……それに私は彼女と生涯共に過ごすと誓いました。ウィルセア嬢には申し訳ないけれど、中途半端なことはできません」
「…………アティアス……さま……」
エミリスは冷静に努めていたはずだったが、その言葉に、つい彼の名を呟いてしまう。
先程は辛くて涙を流した彼女だったが、今度は嬉しくて涙が溢れる。
「……そうですか。……ウィルセア、振られたみたいだぞ?」
マッキンゼ卿は残念そうに自分の娘に目を遣る。
「……はい。とても残念ですけど……私の入る余地はないみたいですね」
ウィルセアは、ふぅ……と大きく息を吐いた。
その目にうっすら涙が浮かんでいるのも見え、心が痛む。
「まぁそれはそれとして、明後日の誕生日パーティでは、よろしくお願いします。……また後日ゆっくりお話しましょう」
「はい。それでは今日のところは失礼します」
アティアスが席を立つと、それに続けて目を腫らしたエミリスも立ち、深く礼をする。
「……失礼いたしました」
退出しようとすると、セリーナがさりげなく先導してくれ、2人は城を出た。
◆
「――――アティアスさまぁっ‼︎」
「うわっ!」
2人が宿の部屋に入った途端、エミリスはぶつかるように激しく、アティアスの背中に抱きついた。
そのまま顔を擦り付けるようにして彼の感触を確かめる。
帰る間、ずっとこうしたかったのを必死で我慢してきたが、もう限界だった。
しばらくそのまま時が過ぎ、落ち着いた彼女は心のうちをぽつりと漏らした。
「……ありがとうございます。……私、ずっと不安で……」
先程の会談で彼女がそこまで思い詰めていたとは思っておらず、少し驚きを感じた。
「……もっと自信を持て。俺がエミー以外を選ぶなんてありえないよ」
そして、背中の彼女のほうを見るようにして、ゆっくりと言い聞かせるように語る。
「……それに、昨日夜景見ながら誓ったばっかりだろ? 最初会った時に約束したように、エミーを悲しませるようなことはしないさ」
「――――!」
彼女は目を見開いて彼の顔を見上げた。
……確かに彼の言う通りだった。
最初の夜、彼の部屋へと忍び込んだ時から、彼の優しさに救われ続けてきた。
いつも彼は私が辛い思いをしないよう、気を遣ってくれていた。
だから――私もそんな彼のために全てを捧げることを誓ったのだと。
「……そうでしたね。私が一番アティアス様を信じないといけないのに。申し訳ありません……」
「良いって。……心配かけてすまないな」
「謝らないでください……! 私が一人で勝手に不安になっただけなのに……!」
なぜ――こんなに優しいのだろう。
自然と涙が溢れる。
彼と出会うまでは、涙なんか枯れてしまっていたと思っていた。
でも、今の自分はこんなに涙脆くなってしまった。
もし彼を失うことがあれば、命が尽きるまで泣き続けてしまうんじゃないかとも思えるほど。
彼の背中越しに、囁くように声をかける。
「アティアス様……わがまま言って申し訳ありません。……でも、今日は……言わせてください。…………思いっきり、愛して欲しいです。……私のもやもやが全部吹き飛ぶくらい」
いつも遠回しにしか言わない彼女が、はっきりと自分から彼を求めたのは初めてだった。
彼に回した手の上に、大きな手が重ねられる。
暖かい手だった。
「……良いよ。エミーが満足するまで」
「はい……。アティアス様の愛情で私を満たしてください」
エミリスが頭を下げる。
「やはりそうでしたか。彼から音信がないので、もしやと思っていました。……とはいえ、こちらが先に手を出したのです。むしろ私たちが詫びなければならないこと。ただ、ひとつだけ。彼の……私の友人の最期について教えてくれませんか?」
オスラムとマッキンゼ卿は、子供の頃からの友人だった。
アティアス達と会い、彼らの人柄を知るにつれ、オスラムを送り出したことを後悔するようになっていた。
「その方と直接会っているのは私だけですので、私からお話しします。……私はゼバーシュでその方と戦ったあと、少し話をしました。先ほどの女神……の話も、そのとき聞きました。そして、そのあと……私は……」
エミリスは視線を落として、次の言葉を紡ぎ出そうとする。しかし、その先の声が出ない。
代わりにその両目から涙を溢し始めた。
「ごめんなさい……。そのときはそうするしかなくて……」
いつもなら落ち着いて話すだろうに、それほど彼女に重くのしかかっていたのか。
アティアスはそんな彼女の頭をそっと撫で、自分が口を開く。
「エミリスは、私を守ろうとしただけです。本来、それは私がやらなければならなかったことです。責めるならば、私を……」
その言葉を聞き、はっとして彼の方に振り向くエミリスを横目に、アティアスが深く頭を下げる。
マッキンゼ卿は暫し無言で目を閉じていた。その様子を、両隣の2人も不安そうに見つめていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「言いにくいことを話していただいて、ありがとうございます。……先ほども申したとおり、こちらが先に手を出したのです。責めることはできません。……あの時の、私の判断が間違えていたのでしょう」
その言葉に、ウィルセアもほっとした表情を見せた。
「お言葉痛み入ります。……彼の部下だった2人は存命です。友誼を結んだ後にはなりますが、こちらへとお返しします」
「……わかりました。申し訳ない。私からも書状を出しましょう」
マッキンゼ卿が右手を差し出し、アティアスと固く握手をした。
ふぅ、とマッキンゼ卿が一息をつき、先程までよりも更に表情を柔らかくする。
「気になっていたことが聞けて良かった。エミリス殿も辛かったでしょうが、もう気になさらず」
「……ありがとう、ございます」
ようやく涙が止まったエミリスも頭を下げた。
これで会談は終わりかと思ったが、唐突にマッキンゼ卿が話し始める。
「ところで……先程の友誼の話とは別に、実は娘がアティアス殿をいたく気に入ってしまっていてね」
「と、言いますと……?」
あまりに急なことに、アティアスは真意を確認する。
「いえ、アティアス殿はご結婚されていますが、もしよろしければ将来、側室としてでもお預けできればと。……まだ子供ですので先の話ですが、考えていただけませんか?」
その横ではウィルセアが少し頬を染めてアティアスを見ているのが目に入った。
エミリスはそのことに驚いたが、表情には出さない。しかし、心中は穏やかではいられなかった。
なにしろ、向こうは子爵令嬢である。
家柄でいえば孤児の自分とは比較にならないのだ。
ゼルム家にとってどちらにメリットが大きいかなんて、彼女にでもわかる。普通に考えて、側室で済むわけがない。
そんな彼女の不安を他所に、アティアスが答える。
「それはありがたいことです……」
(――――っ!)
彼の言い始めに、心の中で叫ぶ。
今まで何のためにここまでやってきたのか、それを失いたくなかった。
アティアスは続ける。
「……ですが、私はこのエミリスにいつも助けられています。彼女がいなかったら、自分は今ここにいないでしょう。……それに私は彼女と生涯共に過ごすと誓いました。ウィルセア嬢には申し訳ないけれど、中途半端なことはできません」
「…………アティアス……さま……」
エミリスは冷静に努めていたはずだったが、その言葉に、つい彼の名を呟いてしまう。
先程は辛くて涙を流した彼女だったが、今度は嬉しくて涙が溢れる。
「……そうですか。……ウィルセア、振られたみたいだぞ?」
マッキンゼ卿は残念そうに自分の娘に目を遣る。
「……はい。とても残念ですけど……私の入る余地はないみたいですね」
ウィルセアは、ふぅ……と大きく息を吐いた。
その目にうっすら涙が浮かんでいるのも見え、心が痛む。
「まぁそれはそれとして、明後日の誕生日パーティでは、よろしくお願いします。……また後日ゆっくりお話しましょう」
「はい。それでは今日のところは失礼します」
アティアスが席を立つと、それに続けて目を腫らしたエミリスも立ち、深く礼をする。
「……失礼いたしました」
退出しようとすると、セリーナがさりげなく先導してくれ、2人は城を出た。
◆
「――――アティアスさまぁっ‼︎」
「うわっ!」
2人が宿の部屋に入った途端、エミリスはぶつかるように激しく、アティアスの背中に抱きついた。
そのまま顔を擦り付けるようにして彼の感触を確かめる。
帰る間、ずっとこうしたかったのを必死で我慢してきたが、もう限界だった。
しばらくそのまま時が過ぎ、落ち着いた彼女は心のうちをぽつりと漏らした。
「……ありがとうございます。……私、ずっと不安で……」
先程の会談で彼女がそこまで思い詰めていたとは思っておらず、少し驚きを感じた。
「……もっと自信を持て。俺がエミー以外を選ぶなんてありえないよ」
そして、背中の彼女のほうを見るようにして、ゆっくりと言い聞かせるように語る。
「……それに、昨日夜景見ながら誓ったばっかりだろ? 最初会った時に約束したように、エミーを悲しませるようなことはしないさ」
「――――!」
彼女は目を見開いて彼の顔を見上げた。
……確かに彼の言う通りだった。
最初の夜、彼の部屋へと忍び込んだ時から、彼の優しさに救われ続けてきた。
いつも彼は私が辛い思いをしないよう、気を遣ってくれていた。
だから――私もそんな彼のために全てを捧げることを誓ったのだと。
「……そうでしたね。私が一番アティアス様を信じないといけないのに。申し訳ありません……」
「良いって。……心配かけてすまないな」
「謝らないでください……! 私が一人で勝手に不安になっただけなのに……!」
なぜ――こんなに優しいのだろう。
自然と涙が溢れる。
彼と出会うまでは、涙なんか枯れてしまっていたと思っていた。
でも、今の自分はこんなに涙脆くなってしまった。
もし彼を失うことがあれば、命が尽きるまで泣き続けてしまうんじゃないかとも思えるほど。
彼の背中越しに、囁くように声をかける。
「アティアス様……わがまま言って申し訳ありません。……でも、今日は……言わせてください。…………思いっきり、愛して欲しいです。……私のもやもやが全部吹き飛ぶくらい」
いつも遠回しにしか言わない彼女が、はっきりと自分から彼を求めたのは初めてだった。
彼に回した手の上に、大きな手が重ねられる。
暖かい手だった。
「……良いよ。エミーが満足するまで」
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