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第1章 テンセズにて
第17話 旅立
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「……ううう……」
ズキズキと痛む頭を抱え込んで、エミリスは身体を起こす。
記憶はおぼろげにしか残っていない。とはいえ、今までは全く覚えていなかったことに比べると成長したらしい。
記憶を反芻すると、脳裏に昨晩の光景がうっすらと浮かぶ。
(ああぁ……私はなんてことを……!)
ベッドに運んでもらったあと、酔った勢いでつい自分からアティアス様にキスを……。
近づく彼の顔が目に浮かんだ。あまりの恥ずかしさに、頭から湯気が出そうになり、両手で顔を覆う。
(それに食事中も……! ……も、もしかして、以前お酒を飲んだ時も同じように……⁉︎)
頭が痛いのも忘れ、ベッドで身悶える。
彼女がアティアスに好意を持っているのは彼も含めて皆知っていることだろうが、普段は出来るだけ態度には出さないようにしていた。
だが、どうもお酒が入ると抑えきれなくなってしまう。これなら忘れてしまっていた方がマシだ。
――コンコン。
ドアがノックされる。
「はい、どうぞ」
どきっと心臓が跳ねるのが自覚できたが、彼女は出来るだけ平静を装って返事をする。
そしてすぐにベッドから降りて待つ。
ドアから顔を出したのはアティアスだった。その顔を見た途端、一瞬で頬が真っ赤に染まるのが自分でもわかった。
せめてもう少し頭を冷ましてからにして欲しかったが、今更どうしようもない。
ぽーっとして胸の高鳴りが抑えられない。
冷静さを保つのは得意なはずなのに……と、何度も頭の中で繰り返すが、それすら落ち着いて考えられなくなってしまう。
「あ、あ、アティアス様! おはようございます!」
動揺しつつも挨拶をする。
「ああ、おはよう。……気分は大丈夫?」
アティアスも気まずそうにエミリスを気遣う。
彼も当然昨晩のことを覚えているはずで、彼女にとってはそれが何よりも恥ずかしかった。
「だっ、だいじょうぶですっ! 昨晩は申し訳ありませんでした!」
深々と頭を下げる。
使用人が主人に介抱され、挙句に自分から告白してキスまで……だなんて、ありえない。
「…………もしかして、昨晩のことを覚えてるのか?」
彼女の様子を見たアティアスは、今までと違う雰囲気であることに気付く。
しかし、慌てて彼女は首を振って否定した。
「い、いいえっ……完全にっ、忘れてますよっ!」
どう見ても不審な彼女に確信を深めるが、ふと意地悪をしたくなった。
「そうか……。エミーはいつも正直だからな……。やっぱり飲み過ぎたら記憶無くなるんだな。……出発は急がないから無理はするなよ?」
うんうんと頷きながら、諭すように彼女に言う。
明らかに不自然なのだが、慌てている彼女はそれすら気付かない。
恥ずかしさと彼に対して嘘をつくことの葛藤で混乱したのか、エミリスは「あうぅ……」と呟き、斜め上を向いて固まってしまった。
しばらくの沈黙のあと、諦めたのかゆっくり俯くと、ぽつりぽつりと話し始めた。
「うぅ……嘘を言ってごめんなさい……。昨晩のこと、私覚えてます……。出過ぎたことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
そのまま深く頭を下げる。
彼が何か言うまで下げ続けるつもりだった。
ふと、そんな彼女の前にアティアスがしゃがみ込んで、下げた頭に手を遣る。
そのままいつものように撫でながら、口を開く。
「ありがとう。……俺もエミーが好きだよ。いつも頑張ってくれてるから」
彼女が昨日の晩のことを覚えているというのならばと、逆に不意打ちで返したのだ。もちろん、嘘や意地悪で言ったのではなく、彼女の言葉を受け一晩考えてのことだった。
「……あ……あっ…………」
何か返答しないと……と思うが、うまく言葉にできない。
代わりに頭を下げたままの彼女の目から涙がこぼれ、床に染みを作った。
彼の言う「好き」というのが、どこまでの意味を持つのか、彼女はまだ分からなかった。ただ単に妹のように思われているだけかもしれないが、それでも良かった。
「さ、まだ体調は万全じゃないだろ? しばらくゆっくりしていいから」
あまり泣き顔を見続けるのもどうかと思い、彼は立ち上がって部屋を出ようとする。
「……あ、ありがとう……ございます」
その背中に向けて彼女は声を絞り出し、改めて深く頭を下げた。
◆
とりあえず体調を整えなければ出発できない。
エミリスは重い身体を押して、まずはお風呂に入ってすっきりさせることにした。
以前はできなかったが、今は自分の魔法でお湯を沸かすことができる。なんて便利なんだろうと、初めてそれができるようになったときは感動した。
「はー……」
湯船に深くまで浸かって大きく息を吐く。
先ほどの彼の言葉が頭に浮かぶ。
「うふふ……、好きって言われちゃった……」
思い出すたびに、顔がにやけてしまうのが自分でも分かる。
昨晩の自分を思い出すと顔から火が出るほど恥ずかしいが、これはファインプレーだったと思わざるを得ない。
「さー、これからも私がんばるぞー」
ひとり拳を握りしめて、更なる飛躍を誓った。いろんな意味で。
身体が温まってすっきりしたら、ほとんど体調も戻っていた。もう少し休めば問題なく出発できるだろう。
昼食を作りたいが、あいにく材料は昨日殆ど使い切ってしまっていた。
そこで、アティアスの提案で最後はギルドに行って食べることになった。
◆
「おや? 三人で来られるのは珍しいですね」
2か月の間にすっかり顔馴染みとなったギルド受付のグランツが声をかけてくれた。
「ああ、今日でこの町を発とうと思う。だから最後に挨拶にな」
「それは寂しくなりますね。また戻られたときにはいつでもお越しください」
寂しそうにグランツが言う。
「わかった。しばらくはたまに様子を見に来るつもりだからそうさせてもらうよ」
「お嬢ちゃんも元気でね」
「ありがとうございます」
彼女はぺこりと頭を下げた。
「今日は最後に食事をしていくよ。では」
「ごゆっくりどうぞ」
◆
ギルドでの食事のあと、一度借りていた家に戻り、出発のために装備を整える。
アティアスは町でも安全のために普段から帯剣していたが、防具を身に付けるのは久しぶりだった。革製の簡易鎧に袖を通す。戦いに行く訳ではないので、重い重装備などは着けない。
エミリスはいつもの着慣れたワンピースの上に、新品の胸当てとグローブを身に付ける。ブーツはアティアスたちと同じようにハイカットで、しっかりと足をカバーできるものを選んでいる。
胸当てはまだ馴染んでなく違和感があるが、そのうち慣れるだろう。
次にアティアスに以前買ってもらったブルー鋼の剣を、左利きの彼女は右腰に装着する。
最後に腰の後ろに水平にナイフを付けた。これはアティアスと出会った夜、彼を刺そうとしたナイフだった。元々はシオスンから渡されていたものだが、扱いやすいのでそのまま使っていた。
「似合ってるぞ」
そんな彼女の姿をアティアスが褒める。
「ありがとうございます」
ようやく旅に出る。このために2か月間、必死で練習を積んできたのだ。
「じゃ、行くか!」
先に準備を終えていたノードが声をかけた。
「ああ。行こう」
「はいっ!」
家を出るとまずは購入した馬に荷物を括り付け、ノードが手綱を引き歩かせる。そして町の南側の門に向かう。
馬の後ろにアティアスが続き、その左斜め後ろをエミリスが歩く。
「歩き疲れたら馬に乗っても良いからな」
「わかりました。でも大丈夫です!」
彼の声に彼女は笑顔で答える。毎日体力をつけるために、かなり走っていたのだ。自信も付いていた。
――どんな旅になるのだろうか?
彼女はこれからの旅に思いを馳せる。天気も良く、明るい未来を暗示しているようにも感じた。
◆◆◆
【第1章 あとがき】
「ええっと……町から出るだけで第1章終わっちゃいましたけど……?」
エミリスが呆然としながら呟いた。
「……だな。まぁ、魔法使えるようになって良かったじゃないか。便利だぞ?」
「それはそうなんですけど、読み返してみても、私の有能っぷりがあんまり発揮されてなくないですか? タイトル詐欺ですよ、これじゃ……」
「う……。その文句は作者に言ってくれ。でも、噂だとここから凄いらしいぞ?」
「ほんとですかぁ? これじゃ『身寄りのない少女を引き取ったらドジっ子すぎて困る(やっぱり困る)』ですよ?」
ジト目で彼を見上げるが、アティアスは頭を掻きながら斜め上を見上げた。
「まぁまぁ……」
「むむー。まぁこれから私がすっごく成長するんですよね、きっと。……それと、アティアスさまと……ふふふふふ」
アティアスは自分の世界に旅立っていった彼女を呼び戻す。
「どっちにしても、まだまだ序盤中の序盤だからな。続けて読んでもらうしかないだろ?」
「ですねぇ……。ぜひぜひお願いしますね。……私がアティアスさまとあんなことやこんなことするのはこれからですから。えへへ……」
「おい、ちょっと待て。なに勝手に……」
「え? そういう話なんじゃないんですか?」
彼女はきょとんとしながらアティアスに聞き返す。
「それは読んで貰ってからの話だって」
「だって私が正ヒロインで、『ハッピーエンド』タグが付いてるんですよ? そうならない訳、なくないですか?」
彼は苦笑いしながら、正論を言う彼女に言う。
「それはそうかもしれないけど、こういうときは『読んでからのお楽しみ』って言っておくもんだ」
「はーい。承知いたしました。……それじゃ『ぜひぜひ、これからの私の活躍をお楽しみくださいね(はーと)』ってことで」
「……エミー、なんか本編と性格変わってないか?」
「そ、そうですか?」
「もっと控えめだったような気がするんだが……」
「むむ、言われてみれば……。でもまぁ『おまけ』ですし?」
彼にたしなめられ、エミリスは少し肩を落とした。
「それはそれとして、引き続きお楽しみいただければ幸いです。えへっ」
ズキズキと痛む頭を抱え込んで、エミリスは身体を起こす。
記憶はおぼろげにしか残っていない。とはいえ、今までは全く覚えていなかったことに比べると成長したらしい。
記憶を反芻すると、脳裏に昨晩の光景がうっすらと浮かぶ。
(ああぁ……私はなんてことを……!)
ベッドに運んでもらったあと、酔った勢いでつい自分からアティアス様にキスを……。
近づく彼の顔が目に浮かんだ。あまりの恥ずかしさに、頭から湯気が出そうになり、両手で顔を覆う。
(それに食事中も……! ……も、もしかして、以前お酒を飲んだ時も同じように……⁉︎)
頭が痛いのも忘れ、ベッドで身悶える。
彼女がアティアスに好意を持っているのは彼も含めて皆知っていることだろうが、普段は出来るだけ態度には出さないようにしていた。
だが、どうもお酒が入ると抑えきれなくなってしまう。これなら忘れてしまっていた方がマシだ。
――コンコン。
ドアがノックされる。
「はい、どうぞ」
どきっと心臓が跳ねるのが自覚できたが、彼女は出来るだけ平静を装って返事をする。
そしてすぐにベッドから降りて待つ。
ドアから顔を出したのはアティアスだった。その顔を見た途端、一瞬で頬が真っ赤に染まるのが自分でもわかった。
せめてもう少し頭を冷ましてからにして欲しかったが、今更どうしようもない。
ぽーっとして胸の高鳴りが抑えられない。
冷静さを保つのは得意なはずなのに……と、何度も頭の中で繰り返すが、それすら落ち着いて考えられなくなってしまう。
「あ、あ、アティアス様! おはようございます!」
動揺しつつも挨拶をする。
「ああ、おはよう。……気分は大丈夫?」
アティアスも気まずそうにエミリスを気遣う。
彼も当然昨晩のことを覚えているはずで、彼女にとってはそれが何よりも恥ずかしかった。
「だっ、だいじょうぶですっ! 昨晩は申し訳ありませんでした!」
深々と頭を下げる。
使用人が主人に介抱され、挙句に自分から告白してキスまで……だなんて、ありえない。
「…………もしかして、昨晩のことを覚えてるのか?」
彼女の様子を見たアティアスは、今までと違う雰囲気であることに気付く。
しかし、慌てて彼女は首を振って否定した。
「い、いいえっ……完全にっ、忘れてますよっ!」
どう見ても不審な彼女に確信を深めるが、ふと意地悪をしたくなった。
「そうか……。エミーはいつも正直だからな……。やっぱり飲み過ぎたら記憶無くなるんだな。……出発は急がないから無理はするなよ?」
うんうんと頷きながら、諭すように彼女に言う。
明らかに不自然なのだが、慌てている彼女はそれすら気付かない。
恥ずかしさと彼に対して嘘をつくことの葛藤で混乱したのか、エミリスは「あうぅ……」と呟き、斜め上を向いて固まってしまった。
しばらくの沈黙のあと、諦めたのかゆっくり俯くと、ぽつりぽつりと話し始めた。
「うぅ……嘘を言ってごめんなさい……。昨晩のこと、私覚えてます……。出過ぎたことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
そのまま深く頭を下げる。
彼が何か言うまで下げ続けるつもりだった。
ふと、そんな彼女の前にアティアスがしゃがみ込んで、下げた頭に手を遣る。
そのままいつものように撫でながら、口を開く。
「ありがとう。……俺もエミーが好きだよ。いつも頑張ってくれてるから」
彼女が昨日の晩のことを覚えているというのならばと、逆に不意打ちで返したのだ。もちろん、嘘や意地悪で言ったのではなく、彼女の言葉を受け一晩考えてのことだった。
「……あ……あっ…………」
何か返答しないと……と思うが、うまく言葉にできない。
代わりに頭を下げたままの彼女の目から涙がこぼれ、床に染みを作った。
彼の言う「好き」というのが、どこまでの意味を持つのか、彼女はまだ分からなかった。ただ単に妹のように思われているだけかもしれないが、それでも良かった。
「さ、まだ体調は万全じゃないだろ? しばらくゆっくりしていいから」
あまり泣き顔を見続けるのもどうかと思い、彼は立ち上がって部屋を出ようとする。
「……あ、ありがとう……ございます」
その背中に向けて彼女は声を絞り出し、改めて深く頭を下げた。
◆
とりあえず体調を整えなければ出発できない。
エミリスは重い身体を押して、まずはお風呂に入ってすっきりさせることにした。
以前はできなかったが、今は自分の魔法でお湯を沸かすことができる。なんて便利なんだろうと、初めてそれができるようになったときは感動した。
「はー……」
湯船に深くまで浸かって大きく息を吐く。
先ほどの彼の言葉が頭に浮かぶ。
「うふふ……、好きって言われちゃった……」
思い出すたびに、顔がにやけてしまうのが自分でも分かる。
昨晩の自分を思い出すと顔から火が出るほど恥ずかしいが、これはファインプレーだったと思わざるを得ない。
「さー、これからも私がんばるぞー」
ひとり拳を握りしめて、更なる飛躍を誓った。いろんな意味で。
身体が温まってすっきりしたら、ほとんど体調も戻っていた。もう少し休めば問題なく出発できるだろう。
昼食を作りたいが、あいにく材料は昨日殆ど使い切ってしまっていた。
そこで、アティアスの提案で最後はギルドに行って食べることになった。
◆
「おや? 三人で来られるのは珍しいですね」
2か月の間にすっかり顔馴染みとなったギルド受付のグランツが声をかけてくれた。
「ああ、今日でこの町を発とうと思う。だから最後に挨拶にな」
「それは寂しくなりますね。また戻られたときにはいつでもお越しください」
寂しそうにグランツが言う。
「わかった。しばらくはたまに様子を見に来るつもりだからそうさせてもらうよ」
「お嬢ちゃんも元気でね」
「ありがとうございます」
彼女はぺこりと頭を下げた。
「今日は最後に食事をしていくよ。では」
「ごゆっくりどうぞ」
◆
ギルドでの食事のあと、一度借りていた家に戻り、出発のために装備を整える。
アティアスは町でも安全のために普段から帯剣していたが、防具を身に付けるのは久しぶりだった。革製の簡易鎧に袖を通す。戦いに行く訳ではないので、重い重装備などは着けない。
エミリスはいつもの着慣れたワンピースの上に、新品の胸当てとグローブを身に付ける。ブーツはアティアスたちと同じようにハイカットで、しっかりと足をカバーできるものを選んでいる。
胸当てはまだ馴染んでなく違和感があるが、そのうち慣れるだろう。
次にアティアスに以前買ってもらったブルー鋼の剣を、左利きの彼女は右腰に装着する。
最後に腰の後ろに水平にナイフを付けた。これはアティアスと出会った夜、彼を刺そうとしたナイフだった。元々はシオスンから渡されていたものだが、扱いやすいのでそのまま使っていた。
「似合ってるぞ」
そんな彼女の姿をアティアスが褒める。
「ありがとうございます」
ようやく旅に出る。このために2か月間、必死で練習を積んできたのだ。
「じゃ、行くか!」
先に準備を終えていたノードが声をかけた。
「ああ。行こう」
「はいっ!」
家を出るとまずは購入した馬に荷物を括り付け、ノードが手綱を引き歩かせる。そして町の南側の門に向かう。
馬の後ろにアティアスが続き、その左斜め後ろをエミリスが歩く。
「歩き疲れたら馬に乗っても良いからな」
「わかりました。でも大丈夫です!」
彼の声に彼女は笑顔で答える。毎日体力をつけるために、かなり走っていたのだ。自信も付いていた。
――どんな旅になるのだろうか?
彼女はこれからの旅に思いを馳せる。天気も良く、明るい未来を暗示しているようにも感じた。
◆◆◆
【第1章 あとがき】
「ええっと……町から出るだけで第1章終わっちゃいましたけど……?」
エミリスが呆然としながら呟いた。
「……だな。まぁ、魔法使えるようになって良かったじゃないか。便利だぞ?」
「それはそうなんですけど、読み返してみても、私の有能っぷりがあんまり発揮されてなくないですか? タイトル詐欺ですよ、これじゃ……」
「う……。その文句は作者に言ってくれ。でも、噂だとここから凄いらしいぞ?」
「ほんとですかぁ? これじゃ『身寄りのない少女を引き取ったらドジっ子すぎて困る(やっぱり困る)』ですよ?」
ジト目で彼を見上げるが、アティアスは頭を掻きながら斜め上を見上げた。
「まぁまぁ……」
「むむー。まぁこれから私がすっごく成長するんですよね、きっと。……それと、アティアスさまと……ふふふふふ」
アティアスは自分の世界に旅立っていった彼女を呼び戻す。
「どっちにしても、まだまだ序盤中の序盤だからな。続けて読んでもらうしかないだろ?」
「ですねぇ……。ぜひぜひお願いしますね。……私がアティアスさまとあんなことやこんなことするのはこれからですから。えへへ……」
「おい、ちょっと待て。なに勝手に……」
「え? そういう話なんじゃないんですか?」
彼女はきょとんとしながらアティアスに聞き返す。
「それは読んで貰ってからの話だって」
「だって私が正ヒロインで、『ハッピーエンド』タグが付いてるんですよ? そうならない訳、なくないですか?」
彼は苦笑いしながら、正論を言う彼女に言う。
「それはそうかもしれないけど、こういうときは『読んでからのお楽しみ』って言っておくもんだ」
「はーい。承知いたしました。……それじゃ『ぜひぜひ、これからの私の活躍をお楽しみくださいね(はーと)』ってことで」
「……エミー、なんか本編と性格変わってないか?」
「そ、そうですか?」
「もっと控えめだったような気がするんだが……」
「むむ、言われてみれば……。でもまぁ『おまけ』ですし?」
彼にたしなめられ、エミリスは少し肩を落とした。
「それはそれとして、引き続きお楽しみいただければ幸いです。えへっ」
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