怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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41 交差点

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「……召喚された悪魔と違い、自然召喚される悪魔に必要なのは【嫉妬】や【妬み】【嫉み】だとされている。人が多い場はそれらも当たり前に多く集まる」

少し見ているだけで、行き交う人々の服装にはかなりの差異がある。明らかに貧富が別れている。

見える人だけでそうなのだから、車で移動している人や華美な馬車で移動している人がいることを考えればこの交差点は人の坩堝と化しているのを想像するのは容易い。

異臭を放つ薄汚れた服を纏って体を引き摺るようにして歩く人を避けるようにして空間が割れているのが見えている。

コヨミ様はそれらを無感動に見ている。
色の薄い焦茶の瞳に、せわしなく行き交う人が映っている。

「階級の違う人間が同じ空間にいる、それだけで強熱な負のエネルギーが集まる」

ぼろぼろまでいかずとも、着古した服を着たものが半数以上だ。

目の前のコヨミ様は、服装からして上流階級の人だ。
そうして、それに付き従うサイリもまた同じ。

上流層には下層の人間を人とも思わないような横暴な人間がいることがあるためか、ちらちらとしたうかがうような視線を感じる。

ガリガリの身体に巻きつけるようにぼろをまとっているのはサイリよりもまだ年若い少年に見える。
親が貧しければ子供もまたそうならざるを得ない。
食いぶちを減らそうと子を捨てるものもいれば、もっと悪ければ子供を売るような親だっている。

人生の逆転劇が起こる確率はかなり低い。

「そうしてそれらは悪魔の好物だ」

「こんなところで悪魔召喚して目立ちませんか……?」

サイリは多くの人間がパニックになって押し合いへし合い逃げ惑う様が想像できてしまい、気持ちが滅入っている。

「気にすることはない」

コヨミ様は早くしろとばかりにサイリをじ、と見つめる。でも、せめて人通りが少ない時に、と思うがサイリが出歩けるような時間帯は常時人通りが多い。

「う……」

無言の圧力に負けて、サイリは悪魔召喚を行った。

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