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27 ねぇさまと呼ばせてください
しおりを挟む「だから、コヨミ様に特別扱いされてるサイリちゃんにつっかかって嫌がらせしてくる人もいるかもしれないわ。だから、初めのうちは私と一緒に行動しましょうね」
つまるところ入野先輩が言いたかったことはそれだったようだ。
私はじーんとした
美人で優しくて、頼りになる……!
なんか仕組まれたように仕事しにくることになったサイリは、本心不安だったのだ。
四方全てが知らないことばかり。
大人だらけの世界に放り出されてしまい、そのツテである久須木田コヨミは、人間関係的なところではまったく役に立たなさそうな雰囲気しか出していないという現実。
いざという時誰を頼ればいいのかわからないというのはかなりの精神的な重荷になっていたのだ。
それが今、解消された。
ぱっと目の前が開けた。
困った時には頼れる人がいると言うだけで心強い。
「わかりました! 色々とありがとうございます。……入野先輩の下の名前はなんでしたでしょうか!」
サイリは前のめりに返事をする。
「え? 早都子よ」
「それでは!これからは早都子ねぇさまと呼ばせていただきます!」
サイリはにこにこと満面の笑みを目の前の先輩に向ける。
「ぇ、えぇ? ねぇさま???」
早都子ねぇさまは、戸惑って目をぱちぱちと瞬いている。
「はい! 早都子ねぇさま! 私の通ってる学園では、尊敬する先輩をねぇさまと呼んでお慕いするんです。早都子ねぇさまと呼ばせてください!」
「そ、そうなの……?」
早都子ねぇさまはどうやらそういった学校のしきたりゆ知らないらしかった。
しきりに私が「ねぇさま……?」と不思議そうにしていたが、目の前のサイリが目を輝かせて自身を見つめていることに気づくと、まんざらでもなさそうに頬を緩めた。
「今日からよろしくね、サイリちゃん」
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