怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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「あの……あんまり目立つのは困るなって思うんてますけど……?」

こいつ人の心とかないんか?

大人ばかりの【トキ】の中で、サイリだけ特別な制服を着ているなんて、悪目立ちして仕方がない。いじめがあるとは思わないが、強い悪魔が呼べるからと過度に期待されてしまうのはどうにも面倒だ。

「どうせ俺の秘書になるなら嫌でも目立つと思うが?」

なにを当たり前のことを言っているんだとでも言いたげな、言葉にサイリはむっとする。

「別に秘書なんて……なりたいわけじゃないですけど」

「あぁ、だが、お前の両親と約束したしな。契約書にも、一番力のあるものの近くで働くこと、と書いている」

サイリはもっともらしいことを言う目の前の男を睨みつける。だいたいまだまだひよっこの学生を会社組織に組み込もうと言うこと自体がおかしい。
しかしサイリも契約書を書いた身、契約の重要性は理解しているつもりだ。
それに、いまさら契約はなしにして危ない仕事も受けさせていただきます!という心情にまではなっていない。

だって危ないの嫌だし。
怪我したくないし。

痛いのは嫌いだ。

「でも、さっきはこの美人さんが指導役だって言ってたじゃないですか?」

美人と真っ向から言われて、照れている顔もかわいい。名前を覚えられなかった、なんだっけ……

「あぁ、入野な……まずば座学から始めるからな。その建物の中で座ってやるお勉強だ。なにも危ないことはないだろうさ」

「座学……?」

「まずば使役する悪魔のことをよく知ることから始めるんだ」

「えぇ?」

学校終わってこっちきてまた勉強するのか……

露骨に嫌な顔をした私を、入野さんはにこにこした顔で見ている。

「テストに合格次第、外回り解禁とする」

ということは、この男と一緒に行動するのか。
サイリは端正な顔をジロジロと見ているが、見られることに慣れているのか、なんの反応もない。
見たいなら見たいだけ見ろ、という感じだ。

もうなんならずっと座学でもいいかもしんない。


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