怪異退治はアクマでゴリ押し

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サイリが学校に行っている間は母が祖父のところに様子を見に行ったりしている。軽く洗濯を済ませてから祖父のところへ顔を出して、そこでもご飯を作ったりだとか洗濯をしたりだとかまた同じように家事をしてくれている。
サイリが学校から帰ってくる時間に合わせて家に戻ってきて、急ぎではない洗濯をして、夕ご飯の準備に取り掛かっている。
ここのところサイリは学校から祖父のところへ直行して、そこで宿題を済ませている。
何か用事があるときにはサイリが手伝いをして、極力祖父が動かなくてもいいようにしているのだ。
そのかいあって少しばかり回復の兆しがみえている。
お医者さんの岩国じいちゃんが、「この分で行けばあと二週間ちょっとで普通に動けるようになるかもしれん」と言ってくれたし、もう少しの辛抱だ。

と思っていたのに、サイリが鼻歌交じりに祖父の家のドアを開けると、そこには段ボールが山済みになっていた。
しかもそこそこ大きな段ボールが、ドンドンドンとこれでもか！とサイリの身長よりも高い立派な壁を作っている。

「ちょっとおじいちゃんこれどうしたの！？」

ただいまも言わないうちに叫びをあげたサイリは、困った顔をしている祖父に大声で問う。

「まさか仕事用の部品だなんて言わないよね！？」

少しの間休暇を取るというのは久須木田コヨミも認めたことだ。

「それがなぁ……期限は設けないからなるべく早めに作ってほしい。とだけ注文があってな……期限がないわけだから今は仕事を休んでいるから、と断れなくてな……」

つまり仕事の部品がこの段ボールの中にみっしりと詰まっているわけだ。
段ボールの外側には、部品数1000とかおぞましい個数が記載されている。

何という事でしょう。期限はなくともこれだけ大量の仕事を寄越せばまじめな祖父はまだ腰も完治していないうちから仕事と向き合ってしまうのは簡単に想像できる。

火山の噴火のように顔を真っ赤にして怒るサイリにもうしわけなさそうに祖父が布団の上でわずかにうつむいていて、その視線は掛け布団に描かれたよくわからない絵を見ている。

「いやっ！　おじいちゃんは全然悪くないじゃん！　休暇取るって言ってんのに急にこんな大量の部品を送り付けてくるなんてどんな神経！？　久須木田コヨミィ～～～～～～！」

あまり顔の造作は覚えていないが、頭の中で久須木田コヨミの無表情を八つ裂きにしたサイリは「ちょっと文句言ってくる！」と祖父の家を飛び出した。

サイリは思い立ったらすぐ行動するタイプの直情的な人間だ。