怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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学校の門の付近は帰宅する学生でごった返している。

サイリの腕の時計がキリキリと小さな音を立てた。

癖の強い黒髪はきっちりと結い紐で結い上げられていいる。赤から紺に徐々に色合いの変わっていく結い紐はここ最近のサイリのお気に入りだ。
先端には花を閉じ込めたような模様の入った美しい透明なトンボ玉がつけられている。
高い位置に結んだ髪はサイリが少し頭を下に傾けただけでも良く揺れた。

小袖のオレンジ色が鮮やかで、その下に履いた袴が一段明るく見える。

赤茶のブーツを履いた足が大きめの砂利を踏みつけて、危うくバランスを崩しそうになり、サイリはよそ見をやめて立ち止まった。

周りの女学生もサイリと似たり寄ったりな服装をしている。
大きな赤いリボンが今の流行りで、上半分の髪を纏めて頭よりも大きなリボンをつけた女学生がたくさんいるため、人が多いとまるでお祭りのように賑やかだ。

サイリは左腕につけた腕時計をじ、と見る。
その時ちょうど学校の鐘が鳴る。辺り一体に響く大きな音だ。
今やサイリの時計の長い針はぐるぐると回り続けていて、時間を見るには到底役に立ちそうにない。小さな透明なガラスの中にいくつもの歯車が噛み合い、ごく小さな軋んだ音を鳴らしながら次々に回転している。

「ちょっと噛み合わせが悪いかな……」

サイリはごく軽く首を傾げて腕を下ろした。
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