14 / 14
12-蛇足
しおりを挟む
リアラと籍を入れたイザークは、入り婿という形で貴族の仲間入りをした。
平民がいきなり貴族の仲間入りなどすれば当然反発ややっかみがあるだろうと思っていたが、イザークの思うほどのことはない。
イザークが学園を主席卒業していることがいいように作用しているようだ。
学園では作法なども単位に関連していたため、イザークは一般的な貴族社会での立ち振る舞いについてはすでに取得済みだ。
それに加えてリアラは、人の弱みを握るのが上手なタイプの人間のようで、イザークに対して悪いうわさを流したものにはイザークには何も言わずに処理しているのだと思う。
とにもかくにも、イザークはまっとうに魔法を使用して仕事をすることが出来る部署に勤めることになった。
これまでは母親を養うためにと必死に仕事をしていたが、今度はリアラのために仕事をしよう。
心機一転、朝から元気にセックスしてきたおかげで心はすでに賢者モードに切り替わってしまっている。
自分のデスクがあるというのは新鮮だ。
「……うまくやりましたね」
ぼそ、と隣の席の陰気な男が呟いた。
独り言の多いタイプの人間か、もしくはイザークに対して何か思うところがあるのか。
俺は隣の席の男の顔を見て、見覚えはないなと席の右上に記載されている名前を確認する。
……やはり知らない名前だ。
「え、っと? 今日からよろしくお願いします」
とりあえずは挨拶だ。
イザークは何も事を荒立てたいわけではない。
「……もしかして俺のこと覚えてないとかいう?」
イザークは目を瞬かせた。
はっきりいってこんなもじゃもじゃ天パのことは全く知らない。
「どこかでお会いしました?」
もしかしてリアラと同じく配達先の人とかか、とイザークは考えた。基本的にイザークは配達先の人間の顔など一ミリも覚えていない。
「同じ学園に通っていたんだけど」
なんという薄いつながり。
「あー」
イザークは困って声を伸ばした。
知らんがな、お前のことなんか、知らねぇよ。
「ここは貴族の人間しか務められないんだからな、お前がどれほど優秀でも……いや、もう貴族になったからいいのか」
隣の陰険天パは、勝手に納得している。
自己と対話しておいてほしい。
「新婚生活は楽しいか?」
いやすごい話しかけてくるじゃん。
本当は俺と友達になりたいのか? 学園では勉学に励み、就職してからは仕事のみしか行ってこなかったため、俺は友達作りとかいうのが苦手だった。
「……まぁ……嫁さんめちゃくちゃ可愛いいし……(えっちだし)癒されるよ(精神的にも肉体的にも)」
「……」
隣の陰キャは自分で話を振ってきたくせに悔しそうに唇を噛んでいる。うわ、血が出るまで噛んでる。
もしかしてこの天パの陰キャはおもしろキャラか?
「毎日かわいい嫁とセックス三昧、か……」
俺は何も言っていないのに勝手に黄昏ている。
まぁ、そうだけど。
イザークの頭の中にはイザークに揺さぶられて恍惚とした表情のリアラの顔や、ぷるぷるで柔らかな胸やら具合の良すぎる膣の締め付けが思い起こされている。
あやうくゆる勃起するところを深呼吸で落ち着かせる。
家帰ったら絶対またリアラを抱く。
中毒性があるんだよな、幸せラブラブセックスってさ……
イザークは、リアラとお揃いで買った指輪を見つめて、与えられた仕事にとりかかった。
平民がいきなり貴族の仲間入りなどすれば当然反発ややっかみがあるだろうと思っていたが、イザークの思うほどのことはない。
イザークが学園を主席卒業していることがいいように作用しているようだ。
学園では作法なども単位に関連していたため、イザークは一般的な貴族社会での立ち振る舞いについてはすでに取得済みだ。
それに加えてリアラは、人の弱みを握るのが上手なタイプの人間のようで、イザークに対して悪いうわさを流したものにはイザークには何も言わずに処理しているのだと思う。
とにもかくにも、イザークはまっとうに魔法を使用して仕事をすることが出来る部署に勤めることになった。
これまでは母親を養うためにと必死に仕事をしていたが、今度はリアラのために仕事をしよう。
心機一転、朝から元気にセックスしてきたおかげで心はすでに賢者モードに切り替わってしまっている。
自分のデスクがあるというのは新鮮だ。
「……うまくやりましたね」
ぼそ、と隣の席の陰気な男が呟いた。
独り言の多いタイプの人間か、もしくはイザークに対して何か思うところがあるのか。
俺は隣の席の男の顔を見て、見覚えはないなと席の右上に記載されている名前を確認する。
……やはり知らない名前だ。
「え、っと? 今日からよろしくお願いします」
とりあえずは挨拶だ。
イザークは何も事を荒立てたいわけではない。
「……もしかして俺のこと覚えてないとかいう?」
イザークは目を瞬かせた。
はっきりいってこんなもじゃもじゃ天パのことは全く知らない。
「どこかでお会いしました?」
もしかしてリアラと同じく配達先の人とかか、とイザークは考えた。基本的にイザークは配達先の人間の顔など一ミリも覚えていない。
「同じ学園に通っていたんだけど」
なんという薄いつながり。
「あー」
イザークは困って声を伸ばした。
知らんがな、お前のことなんか、知らねぇよ。
「ここは貴族の人間しか務められないんだからな、お前がどれほど優秀でも……いや、もう貴族になったからいいのか」
隣の陰険天パは、勝手に納得している。
自己と対話しておいてほしい。
「新婚生活は楽しいか?」
いやすごい話しかけてくるじゃん。
本当は俺と友達になりたいのか? 学園では勉学に励み、就職してからは仕事のみしか行ってこなかったため、俺は友達作りとかいうのが苦手だった。
「……まぁ……嫁さんめちゃくちゃ可愛いいし……(えっちだし)癒されるよ(精神的にも肉体的にも)」
「……」
隣の陰キャは自分で話を振ってきたくせに悔しそうに唇を噛んでいる。うわ、血が出るまで噛んでる。
もしかしてこの天パの陰キャはおもしろキャラか?
「毎日かわいい嫁とセックス三昧、か……」
俺は何も言っていないのに勝手に黄昏ている。
まぁ、そうだけど。
イザークの頭の中にはイザークに揺さぶられて恍惚とした表情のリアラの顔や、ぷるぷるで柔らかな胸やら具合の良すぎる膣の締め付けが思い起こされている。
あやうくゆる勃起するところを深呼吸で落ち着かせる。
家帰ったら絶対またリアラを抱く。
中毒性があるんだよな、幸せラブラブセックスってさ……
イザークは、リアラとお揃いで買った指輪を見つめて、与えられた仕事にとりかかった。
0
お気に入りに追加
41
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【R18】偽りの夜 聖女は最愛の人の目の前で、同じ顔をした別の男に抱かれる
夕月
恋愛
今夜、聖女ブランシュは、神の子ジスランに抱かれる。
聖なる交わりには立会人が必要とされ、二人の行為を見守るのはジスランの双子の兄、アルマン。この国の第一王子でもある彼は、ブランシュの婚約者だった人だ。
かつて将来を誓い合った最愛の人の目の前で、ブランシュは同じ顔をした別の男に抱かれる――。
ムーンライトノベルズで開催されていた個人企画、NTR企画への参加作品です。
寝取り、寝取られ要素を含みますので、ご注意ください。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】
階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、
屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話
_________________________________
【登場人物】
・アオイ
昨日初彼氏ができた。
初デートの後、そのまま監禁される。
面食い。
・ヒナタ
アオイの彼氏。
お金持ちでイケメン。
アオイを自身の屋敷に監禁する。
・カイト
泥棒。
ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。
アオイに協力する。
_________________________________
【あらすじ】
彼氏との初デートを楽しんだアオイ。
彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。
目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。
色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。
だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。
ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。
果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!?
_________________________________
7話くらいで終わらせます。
短いです。
途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。
【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。
どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。
婚約破棄ならぬ許嫁解消。
外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。
※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。
R18はマーク付きのみ。
マフィアな彼から逃げた結果
下菊みこと
恋愛
マフィアな彼から逃げたら、ヤンデレ化して追いかけて来たってお話。
彼にとってはハッピーエンド。
えっちは後半がっつりと。
主人公が自業自得だけど可哀想。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる